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ひとっ風呂浴び終えた私たちは早速エルウィンがいると思われる錬金術工房を訪れることにした。
私は別に今日は宿屋に泊まって明日工房を訪れるのでも良かったのだが、フィーナが「遠慮しないで。」って。いや、意味わかんないんですけど!
私は恐る恐る工房のドアを少し開けて中の様子を見る。
「あ」
「あ」
・・・早速中にいたエルウィンと目が合ってしまった。
「まったく、ここにお前たちが現れるなんて聞いてなかったぞ。視界にシズクが映ったときは何かの目の錯覚かと思った・・・。」
エルウィンは私たちが現れた時点で今日の仕事を終了し、錬金術師たち行きつけの酒場へとやってきた。と、席に着いた早々、愚痴をこぼし始めた。
「そりゃあ、いろいろニルード王子に手回しをお願いしていたけどエルウィンには内緒できちゃったんだもん!」
と胸を張るフィーナ。
「しかし、なんでこんな時期に・・・。」
「ん?こんな時期?タイミングが悪かった?」
私は間髪入れずにたずねる。
「ああ、最悪なタイミングだよ。・・・もし面倒事に巻き込まれたくなかったら明日すぐリーゼガングへ帰るんだ。」
「そう言われると余計に帰るわけにはいかないわね。みんな話したいこと一杯あるだろうし、私だってあなたに用があってここに来たんだし!」
「へぇ、どんな用なんだ?」
「それは・・・えっと・・・その・・・、ほら、きちんとご飯食べてるかとか!」
「ああ、飯はちゃんと食べてるぞ。下宿先のおばさんがきちんと用意してくれている。いろいろと世話焼き好きでな、食事だけでなく掃除や洗濯もやってくれているんだ。だから家事関係はとくに問題は無い。他には?」
「ほ、ほかには?えっと、その・・・。」
私が発言に困っていると、
「ほら、頑張れ、雫ちゃん!」
・・・フィーナ・・・。
「雫、顔が赤くなってないか?」
と信也。
「き、気のせいでしょ。ほら、お酒!お酒のせいよ!」
そう言って私はビール(この世界では麦酒と呼んでいる)を一気に飲み干した。
「一気に飲むと体に悪いぞ。」
「うっさいわね!ほら、お代わり!」
「そういえば、フィーナ、お前たちはあのへっぽこ王子の手引きでここに来てるんだよな?」
「そ、そうだけど。」
急にどもり始めるフィーナ。
「じゃあ、ここに来る資金も大量に用意してきているわけだよな。」
「そ、そうだけど、ほら、このお金は旅の資金であって・・・。」
あ、エルウィンの目論見が読めた。
「おーい、みんな、今日の酒代はこいつらの奢りだぞ!」
その一言を聞いたディルガントの錬金術師達は「うぉーっ!」を歓声を上げて次々とお酒を飲み始めた。
「ふん、どっちが一枚上手だか、勝負だ。ニルード。」




