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「さて!納品も終わりましたしお買い物して帰りましょう!」
「お買い物?」
「そうです!まずはそのシズクさんのお洋服を買いましょう!さすがにその格好では目立ちすぎますからね!」
確かにこの世界で学校の制服であるセーラー服姿というのは目立ちすぎるのかもしれない。いつ元の世界に帰れるかわからない。もしかしたら一生帰れないのかもしれない。どちらにせよ、しばらくの間はこの世界で生活しなければならないのだ。
そうして、私たち2人は2番目の城壁内にあり、その中でも一番賑わっている商業地区の洋服店に入った。
「うわー!素敵な洋服がいっぱい!」
「シズクさんの気に入ったもの、何でもいいので何着か選んでください。」
「でもお金は大丈夫なの?お金使いすぎたらエルウィンに怒られるんじゃ・・・。」
「大丈夫です!実はあの家の財布は私が握っているのです!だからお金の心配はいりません!」
「あ、そういうことね。じゃあ遠慮無く!」
私は洋服店の中から気に入ったものを選び、次々と試着していった。そしてその中から特に気に入った洋服を3着選んだ。
そして、私たちは洋服店を後にした。
「どうでしたか?シズクさん。実はあの洋服店、リーゼガングの数ある洋服店の中でも私のお気に入りのお店なんです。」
「うん、可愛い洋服が沢山買えて良かった!帰ったら早速着替えよっと!」
「へへ、喜んでもらえたみたいで良かったです。さて、今度は今夜のお食事の材料を買いに行きましょう!」
そう言って私たちはリーゼガングの市場へと向かった。
ここは私がいた日本とは違う。
いや、世界そのものが違うと言ってもいいかもしれない。
とにかく、こんな物が地球上にあるのか?本当に食べられるのか?というものが至る所で売られているのだ。
いや、私が昔見たテレビ番組で世界のゲテモノ料理が紹介されているのを見たことがあるが、それと似たような物が売られているのだ。
「ね、ねぇ、これ、本当に食べられるの?」
「そうですよ。これスープにして食べるととってもおいしいんですよ。これなんてステーキにして食べると絶品なんですよ。今度付くってあげますね。」
恐る恐る訪ねる私にリリカは笑顔で答える。
「あ、これ、今朝シズクさんが食べたスープの中にも入ってましたよ。」
う・・・、吐きそうになってきた。
私はこの世界で生き抜くことはできるのだろうか・・・?
そんな心配をよそにリリカは次々と食材を選んで買い物袋に詰め込んでいった。
私たちが3番目の城壁内にある工房に戻ってきた頃には、日はすでに沈みかけていた。
「ただいまです、師匠!あれ?」
「どうしたの?リリカ?」
工房の入り口には鍵はかかっていなかった。だが、工房の中はシーンと静まりかえっている。人がいる気配は全くない。出かける前はリビングにあるソファーでエルウィンがいびきをかいて寝ていたはずなのだが。
「師匠がいません。あ、もしかしてまた!」
「どこに行ったか心当たりあたりあるの?」
「大ありです!師匠が1人で出かけると言ったらあそこしかありません!シズクさん、直ぐに師匠の所に行きましょう!」
「あ、ちょっと待って!着替えてから!」