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宿屋を後にした私たちは再び馬車に揺られながら街道を進んでいく。
ここまで来ると、街道と言ってもほとんど荒れ地が続く道となっていた。周りは岩や崖ばかりで草木などは一つも生えていない。
このような道だと馬車の揺れも激しくなる。
「うっ・・・。」
「大丈夫か?なんか顔色が悪いようだけど。」
「だ、大丈夫、かな・・・。」
だめだ吐きそう・・・。
少し横になってみるも、激しい揺れで症状は一向に回復しない。
宿屋の柔らかいベッドが懐かしい。あのふかふかした布団でぐっすり眠りたい・・・。 「もう・・・だめ・・・。」
「わりい、フィーナ、馬車を止めてくれ!」
馬車が止まったその直後、私は馬車を降り、道の脇へ駆け出すと、その場所で胃の中のものを吐いた。
「参ったわね。この調子だと予定が大幅に狂っちゃうわ。」
「ご、ごめん・・・。」
「い、いや、雫を責めているわけじゃないから、決して!もう少ししたら国境の砦が見えてくるはずだから。そこまで行けばまたゆっくり休めるよ!」
心配そうに声をかけてくれるフィーナ。しかし、自分がみんなの足を引っ張っていることも確実だ。しかし、自分がこんなに乗り物酔いに弱いとは・・・。
「なぁ、馬の上ならそんなに揺れないんじゃないか?」
と信也の提案。だが、
「無理だな。まず鞍がない。初心者が鞍のない馬に乗ることはまず不可能だ。」
とアーカム。
「うーん、予定が遅れてもしょうが無いよ。休みながら行こう。雫、また気持ち悪くなったら遠慮無く行ってね。」
「う、うん、ごめん、みんな・・・。」
「大丈夫、ちょっとぐらい遅れたって。」
「ああ、みんなシズクを見捨てよう何て思わないさ。ゆっくり行こう。」
こうして、休み休み街道を進み、予定より遅れること2日。ついに国境の砦までたどり着いた。
この砦は渓谷を境にリーゼガングとディルガントに別れていて、その両国の間には一本の橋でつながっている。
フィーナはこの砦を守っている兵士にニルード王子からの手紙を渡した。その内容を見た兵士は快く私たちを迎え入れてくれた。
「えー!ここには宿泊施設はないの!?」
私はやっとの思いで馬車から降りて砦の壁に寄りかかって座り込むとそう叫んだ。
「あ、いや、施設はないわけではないんですが・・・兵士が寝泊まりするための簡易的なものしかなくて、あなた方のような旅行者のためのベッドは用意されていないんです。」
と、砦の兵士。
「それでも仕方が無いよ。いいでしょう?雫。」




