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エルウィンのメモが見つかったことで、ならば、と早速調合に取りかかったリリカ。私は当然、邪魔だ、と言うことで作業部屋から追い出されてしまった。その前に散らかしてしまった錬金術の本を片付ける作業を手伝ったのだが。
作業場の外で私は古い本に挟まっていたメモを取り出し、内容を見てみる。
「・・・これは・・・!?」
そのメモに書かれていたのは、この世界の文字ではない。私でも読むことができる。これは日本語だ!日本語で書かれている!
しかし、書かれている内容についてはさっぱりだ。おそらく錬金術に関する事が書かれているのだが内容が難解すぎて全く理解できない。エルウィンにこのメモを見せれば何かわかるかもしれない。しかし、エルウィンはここにはいない。
「あいつ・・・今頃何しているのかな・・・。」
私は夜空に浮かぶ月を見つめならばそうつぶやいた。
「シズクさん!シズクさん!!起きてください!!」
私はリリカの大きな声にたたき起こされた。
「ど、どうしたの、そんなに大きな声を出して・・・。」
「完成したんですよ!師匠直伝の傷薬が!」
そう言ってリリカは私の目の前に軟膏を差し出す。
・・・間違いない、あいつ、エルウィンがいつも作っている傷薬と同じ色をしている。
しかし、効果の程はどうだろう?
私が今ここで試してみようか?そう思い、ベッドの側に置いてあったカタナに手をかけようとすると、
「し、シズクさん!何しようとしているんですか!」
「い、いや、この傷薬の効果を確かめようと・・・。」
「いや、それよりもっと確実で良い方法があります!」
そう言ってやってきたのはファナさんの雑貨屋さんだ。
なるほど、実際に商品を取り扱っている人に見せるのが一番早いってことか。
私は早速ファナさんの店の中に入る。
「あら、朝早くから珍しいわね。」
いつもと変わらない笑顔で私たちを迎え入れてくれるファナさん。
「今日はどんなご用?」
「実はファナさんに見てほしいものがあるんです。」
そう言って私はリリカが今朝作った傷薬を差し出した。
「これが売り物になるかどうか、見て欲しいんです。」
「なるほど、エルウィンくんの弟子リリカちゃんが作った傷薬ね。どれどれ・・・。」
しばらく静寂の時間が流れる。
そしてファナさんはこう告げた。
「うん、これなら問題なさそうね。実はエルウィン君がいなくなってから傷薬が入荷しなくなって困ってたのよ。早速だけど、傷薬の発注、お願いして良いかしら?」
「・・・はい!!」
私に満面の笑みが浮かんだ。
これでリリカにいい報告ができる!




