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異世界のアルケミスト  作者: 多岐川ノリ
錬金術師が消えた街
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 「ただいまーって何これ!?何があったの?」

 私が10日ぶりに工房へ帰ってくると、中の様子は出発前と大きく変わっていた。


 まず、部屋の中が埃だらけだ。部屋の中に一歩文いれば、それだけで床に積もった埃が舞い上がってしまうだろう。

 何日間掃除していなかったのだろう?いや、それ以前にたった10日でここまで汚すことができるのだろうか?

 そして、台所だ。食事をした後の食器がそのまま洗われる事無く積み重なっている。いや、これはおそらくここ数日間は食事はしていないだろう。


 とにかく几帳面なのが取り柄のリリカがここまで汚すことができるだろうか?いや、それよりリリカ本人はどこにいるのだろう?


 部屋の中をぐるりと見渡すと、その姿はすぐに発見することができた。

 部屋のソファーの上で大きな錬金術の本を抱えたままぐっすりと眠っている。これではあのエルウィンと同じじゃないか?




 ・・・とりあえず、リリカを起こそう。


 「ふぇ?あ、シズクさん、おはようございます・・・。」

 寝ぼけなまこな声でリリカはそうつぶやいた。

 「おはようございますじゃないよ!どうやったらこの部屋ここまで汚すことができるの?」

 「あ、すいません、錬金術に夢中になってたら・・・。気がついたらこんなところで眠ってて・・・。」

 「とりあえず、掃除しましょう!って、リリカ!また眠っちゃダメー!!」




 なんかデジャブを感じる。ソファーで疲れ切った顔で眠る姿。師匠と弟子はここまで似るものだろうか?


 とりあえず、リリカはこのまま寝かしておこう。

 そうして仕事から帰ってきた、疲れ切った体に鞭を打って、私は部屋の掃除に取りかかった。




 「で、錬金術の勉強は進んでいるの?」

 私は買ってきたパンをかじりながらリリカにたずねる。

 「・・・それが・・・思ったよりも難しくて・・・一応作ってはみたんですけど・・・。」

 そう言ってリリカが差し出したのは小さな容器に入った軟膏だった。

 「これは?」

 「傷薬です。師匠が作った者とは遠く及びませんが。」

 確かにその傷薬を見てみると、色もエルウィンのものより緑がかっており、においもきつい。エルウィンが作った傷薬はきれいなクリーム色をしていてにおいもしなかったはずだ。


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