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私たちはエルウィンの乗せた馬車が視界から消えるまでその姿を見送り続けた。
そして私たちはそれぞれの道、やるべき事をやるべく行動を起こす。だが、リリカだけはいつまでも同じ方向を眺めたまま立っていた。その瞳からは滝のように涙があふれ出し止まる気配はない。
「リリカ、私たちにはやらなくちゃ行けないことがある。そうでしょ?」
「わかってます。わかってます、けど・・・。」
「リリカ!しっかり!」
「・・・そうですね。すみません、シズクさん・・・。」
リリカは溢れる涙を袖で拭い、工房の中へと入っていった。
「さて、まずは何からしようか?」
私はリリカに話しかける。
「まずは傷薬の作成から学ぼうと思います。師匠の代表的で大人気商品ですから。これができなければ師匠の後を継げたとは言えません!」
そう言ってリリカは思いっきりエルウィンの仕事場の扉を開ける。
部屋の中からは大量の埃が吹き出してきた。
「・・・まずは部屋の掃除からですね。」
「・・・そうだね・・・。」
結局この日は部屋の掃除だけで一日が終わってしまった。
一体どうやったらこんなに汚すことができるのだろうか・・・?
リリカはここまで汚すことはないよね?
「さて、早速勉強開始です!」
そう言ってリリカは大量の厚い本をドスンとテーブルの上に置いた。
「な、なにこれ・・・?」
「何って、錬金術の本ですよ。とにかく基礎から勉強しなくちゃいけないから、これだけの本を読んで頭にたたき込まなくちゃいけないんです!」
「うわ、私だったら絶対挫折してるわ・・・。」
エルウィンが私を後継に指名していたらどうなっていただろう?
「と、とりあえず、私は仕事に行ってくるね。錬金術の材料があったらついでに集めてきておいてあげるから。」
私もやるべき事をしよう。
ニルードからの支援があると言っても、どれだけの支援を得られるかわからない。万が一のことを考えて、とにかく傭兵としての仕事をして少しでも生活の支えにしなければならない。
そしてもう一つ、錬金術を行うには材料がいる。その材料集めを行うのも私の役目だ。とにかく最初は失敗の連続だろう。そのことを考えていつもより大量の材料を集めてこなければならない。
こうして錬金術師エルウィンのいなくなった街は、少しずつ動き始めていった。




