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私が鍛冶工房から戻ってくるとエルウィンはリリカと一緒に荷物の整理を始めていた。
「ディルガント行き・・・決まったんだね。」
「あぁ、シズクか。その通りだ。」
「と言うことは戦争は回避できたんだね。」
「ああ、さすがニルード王子だよ。まぁ、俺がディルガント行き決めなかったら全面戦争になっていたんだけどな。」
まぁ、それは・・・その通りなんだけど・・・。
「で、リリカは大丈夫なの?」
「正直不安です。私だけでこの工房をやっていける自信が無くて・・・。」
「心配するな。俺だってやってこれたんだ。正直に言う。お前は俺より錬金術の才能がある。自信持って取り組んで欲しい。必ず努力は報われるはずだ。それになによりお前は周りの人達に恵まれている。キット力になってくれるさ。」
「師匠・・・。」
「ま、最悪、ニルードやシズクが生活費を何とか工面してくれるさ。」
「寂しくなるね。」
私は旅立つ準備を続けるエルウィンを見ながらソファーでそっとつぶやく。
「何言ってやがる。本当はうるさい奴がいなくなってせいせいするとか思ってんじゃないのか?」
エルウィンが私のつぶやきに反応した。
「ええ、そうね。うるさい奴がいなくなってせいせいするわ。さらに言うならば稼いだお金を酒代に使う奴がいなくなって家計も楽になるわ。」
「ああ、悪かったな。稼いだお金を酒代に使い切るような生活をしていて!」
エルウィンは作業の手を止めてこちらをにらみ返す。
私も不気味な笑みを浮かべてエルウィンをにらみ返す。
「うふふ・・・。」
「ははは・・・。」
そのような状態がしばらく続いた。
「もう!シズクさん、師匠止めてください!さっさと準備終わらせますよ!」
そして出発の日がやってきた。大勢の人がリーゼガングの錬金術師の出発を見送りに工房に集まっている。その中にはアーカムや、フィーナ、信也の姿もある。
「忘れ物はないですか?」
「ああ、荷物はこれで全部だ。」
「師匠!きちんとご飯食べてくださいね!睡眠も十分とってください!お酒も飲み過ぎないで!体調管理も仕事の内ですからね!」
リリカは半分泣きながらエルウィンに話しかけている。
「わかった。わかったからもう泣くな。俺は大丈夫だ。それよりお前の方こそ頑張れよ。この工房、任せたぞ。」
「はい、師匠・・・。」
「シズク、リリカを頼む。」
「任せて。リリカは私が守るから。それにみんなもいるし。」
「よし、じゃあ、出発してくれ。」
「はい。」
そう言ってエルウィンを乗せた馬車は走り始めた。




