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「こんにちわ~!」
私は鍛冶屋のドアを開けて工房中に響くぐらいの明るさで元気よく挨拶した。
「おう、シズクちゃん!頼まれていたカタナの調整、終わってるよ!」
工房の奥から聞こえてきたのはこの町で唯一の女鍛冶士で私の刀を鍛え上げてくれたリーズの声だ。
「ありがとう~いつも助かるわ~。」
「でも今回はそんなに使っていないんだろ?いつもなら1ヶ月間隔なのに今回はまだ一週間ちょっとしか経って無いじゃないか。」
「うん。でも今回ばかりは十分に準備しておかないとね。」
「・・・ディルガントとの戦争かい?」
「・・・うん。」
「大丈夫だよ。あの王子が旨くやってくれる。」
そう、普段は頼りなさそうな王子でも仕事はきちんとこなしている。今回もニルード王子に任せておけば戦争は回避できるだろう。しかし・・・。
時間は2日前にさかのぼる。
ニルード王子が正装で工房を訪れたときだ。
「ディルガントが要求しているのは錬金術の技術だ。そのため、この街にいる錬金術師を差し出すように言われている。」
「・・・人質みたいなものか。」
エルウィンはニルード王子の言葉にすかさず返事を返す。
「・・・そこまで扱いはひどくは無いと思うよ。むしろその逆だろうね。最上級の待遇で迎えてくれると思う。」
ディルガントにとっては錬金術師の技術を享受してくれるエルウィンの存在はこれ以上のない客人なのだろう。
「・・・期間は?どれだけディルガントにいればいい?」
「・・・細かくはわからないが、少なくとも1年以上は行くことになるだろうね。」
「・・・一年・・・か。」
しばらくの沈黙の後、口を開いたのはニルード王子だった。
「あーもう面倒な回りくどい話は後にしよう!率直に言う!エルウィン、リーゼガングの為にディルガントへ行ってくれないか?その間、リリカ君やシズクさんの面倒は我々が責任を持って面倒を見よう!」
「・・・まだ決定じゃないんだろ?」
「まあ、そうだが。」
「・・・だが良い機会だ。リリカ。お前、この工房を引き継いでみろ。」
「わ、私がこの工房を、ですか!?」
「そうだ。俺がいない間、お前が錬金術師としてこの工房を切り盛りして見ろ。」
「で、でも、私、錬金術のこと、何も教わっていませんよ!域なりそんなこと言われても無理です!」
「俺だってこの工房を引き継いだときは何も知らなかったさ。なんせ、俺の両親は材料採取先でくたばったからな!条件は俺と同じだ。一から勉強し、俺が帰ってくるまでに一人前の錬金術師になって見せろ。」




