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それは突然訪れた。
私はリリカとフィーナで工房のリビングでくつろいでいた。エルウィンは相変わらずソファーの上でいびきをかいて眠っている。
何でも無いたわいもない会話。それでも次から次へと話題が移り、リーゼガングの町の話題だったり、日本の芸能の話だったり、リリカは興味津々で耳を傾けてくれる。話が途切れるような気配は一向に訪れない。
そんなとき、遠くから馬車が走る音が聞こえた。
こんなことは特ある事だ。特に気にしないで会話を続けていた所、その馬車の走る音は工房の前で止まった。
そして工房の外から声が聞こえる。
「エルウィン殿!いらっしゃいますか!?」
・・・いつもと違う雰囲気。
リリカは何だろうと後部の扉を開けた。
扉の向こうにはニルード王子が立っていた。しかし、いつものようにお城を抜け出した時のような少し汚らしい服装ではない。ピシッと決めた正装らしき姿で立っていたのだ。
「ああ、リリカ殿、エルウィン殿はいらっしゃいますか?」
「あ、はい、今起こします。」
そう言ってリリカは眠っているエルウィンを起こす。
エルウィンは寝ぼけた顔で入り口に立っているニルード王子を見つめる。その姿を見て一気に目が覚めたようだ。
「フィーナ、済まないが今日はこれで引き取ってもらえないだろうか?」
「えっ、それはどうして・・・?」
「あいつが正装で来ると言うことは、単なる遊びできたわけじゃない。ただ事じゃ無い重要な話があるということだ。」
「いや、さすがはエルウィン殿。話が早くて助かる。」
「わかった。じゃあ今日はこれで帰るわ。また酒場に遊びに来てね。」
そう言ってフィーナは工房を後にした。
「エルウィン?何だったら私も席を外そうか?」
「いや、シズク殿にも関係のある話だ。一緒に話を聞いて欲しい。」
「・・・そういうことなら。」
私はそのままソファーに座った。
ん?ニルード王子の口調がいつもと違う?いつもならエルウィンや私たちの事を呼び捨てで呼ぶのに今日に限って「殿」をつけて呼ぶなんて・・・。
やっぱりいつもと雰囲気が違う!なにか大変なことが置きそうな予感・・・。
そして私たちは全員ソファーに腰掛けた。目の前のテーブルの上にはリリカが入れたお茶が置かれている。ニルード王子はそのお茶を無言ですする。
「で?一体何のようだ?ただ事じゃない事が起ころうとしているんだろ?」
沈黙を破ったのはエルウィンだった。
「はっきり言ったらどうなんだ。」
「そうだな・・・どこから話そうか・・・。」
そう言ってニルード王子は一息ついたあと衝撃の一言を発した。
「隣国ディルガントがリーゼガングに攻めてくる。」




