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次の日。
俺たちはリリカとシズクを連れてリーゼガングの西の森へとやってきた。
この森には貴重な錬金術の素材が豊富に収集できる。ここでしか手に入らない物も多い。それには理由があり、この森にはシズクが倒れていた場所とは異なり、ほとんど人が寄りつかないためだ。それには当然理由がある。このあたりに出てくる野獣は他の森より凶暴でどう猛な物が多く、大抵の旅人はこの森を迂回するルートを通る。
それだけではない。この森にはエルフが住んでいると言われ、近づく人間を攻撃してくると言われている。詳しいことは俺にもわかっていないが、触らぬ神にたたりなしだ。面倒なことには関わらない方が良い。ただでさえ面倒なことが多すぎるというのに。
「よし、こんなもんで良いだろう。これだけあれば依頼に必要な分は作れる。」
「エルウィン、もうちょっと奥へ行ってみようよ。もっとレアな素材がみつかるかもしれないよ。」
「止めておけ。死にたくなかったらな。」
「大丈夫だよ、エルウィン、ちょっとだけだからさ。」
「あ、待てこら!・・・いっちまった。」
「まぁシズクさんなら大丈夫だと思いますよ。その実力は師匠も知っているはずです。」
「いや、そうじゃない。これ以上奥に進んだら・・・。」
この先はエルフのテリトリーだと言われている。だからこそこれ以上進まないように止めたのだが。
「シズクが心配だ。追いかけるぞ。」
「はい。」
不安は的中した。
森の奥から悲鳴が聞こえたのだ。
「あの声は!」
「シズクさんです!」
「急ぐぞ!」
森の中を走って行ったその先。
底にはシズクが横たわっていた。方には弓矢が刺さっている。おそらくここはエルフのテリトリー。その中に不用意に踏み込んだためにエルフから狙い撃ちされたのだろう。
「シズク!大丈夫か?」
「シズク?そいつは日本人か?」
「ああ、たしかにそいつはニホンという国からやってきた人間だ。」
「ちょっと待て。」
そう言って姿を現したのは、エルフとは似ても似つかない姿、いや、人間そのものだった。
「なんてこった、同じ日本人がここにやってくるとは・・・。」
「お前もニホンからやってきた人間か?」
「・・・その通りだ。この子は俺がエルフの村へ連れて帰る。毒矢の治療をしなければならないからな。」
「俺たちはこいつの保護者だ。俺たちもついて行くことはできないか?」
「・・・長老に話をしてみよう。それがダメなら大人しく帰ってくれ。」
「・・・わかった。」
「・・・師匠。」
心配そうにリリカは俺を見つめる。
「大丈夫だ。シズクはきちんと連れて帰る。」




