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それからシズク達との3人の生活が始まった。
はじめはただで苦しい家計を食いつぶすだけの存在かと思われてきたシズクだが、ニホンという国でケンドーという剣術を習っていたおかげで、自らの得物「カタナ」を手にしてからは傭兵業を営むようになった。そのおかげで家計も少しは楽になり、俺の素材収集作業にも付いてきてもらうことが多くなった。
それから半年後、ちょうど今現在だ。
調合の作業を終え、いつも通り俺は今のソファーで熟睡しようとしていたところだ。
「それでさー、あのアイドルの子がさー。」
「へーそれでどうなったの?」
「なんですか、そのアイドルって?」
「アイドルって・・・そうだなぁ、テレビで歌を歌ったり?」
「とにかくいろんなメディアに出てきてはいろんな活動やっているよね。」
「へー、シズクさん達の世界っていろんな物があるんですね。」
「あーうるさい!ゆっくり昼寝もさせてくれないのか!こっちは徹夜で仕事してたんだぞ!」
今、俺の工房にはシズクとフィーナとリリカがお茶とお菓子をテーブルに並べてガールズトークを繰り広げていた。とにかく女の子が3人以上集まると何かとうるさい。何が楽しいのか延々とおしゃべりをずーっと続けている。その会話には一向に終わりが見えない。たかが女3人と思っていたが甘く見ていた。こんなに工房の中が騒がしくなるとは。
「そんな徹夜続きの仕事しているから悪いのよ。ちゃんと規則正しく生活していればそんな昼寝なんてしなくても大丈夫なのにね。」
「そうそう、体にも悪いし。」
「絶対寿命を縮めてますよ。」
「「「ねー。」」」
こ、こいつら・・・。次から次へと・・・。
「そういえばリリカ、新しい仕事を受注してきたんじゃないのか?」
「あ、そうでした。シズクさんとフィーナさんとのおしゃべりですっかり忘れていましたよ。」
リリカも当初この工房に来た時はこんなやつじゃなかった。俺の言うことは忠実に守り、仕事もきちんとこなしてきた。しかし、シズクと出会ってからだろうか。その日を境にずいぶん性格も変わってきた。よく言えば明るくなったといえるが、その反面、俺に不満があれば遠慮無く言うようになった。シズクも当初からそうだったように、リリカもシズクに性格が似てきたのだろうか。
「はい、これが依頼のリストです。」
そう言ってリリカはポケットの中から紙切れを差し出した。俺は何も言わずそれを受け取り、それに書かれている依頼品のリストを眺める。
「ふう、これだとまた材料収集に行かなきゃならんようだな。しかもちょっと遠くなる。リリカ、シズク、明日出発するから準備しておけ。」
「了解ー!」
「わかりました、師匠。」
「と言うわけでお茶会は終わりだ。フィーナも酒場の仕事があるだろう。さぁ、帰った帰った。」
「ちょっと、フィーナに対して冷たくない?」
「そんなことないぞ。俺は誰にだって冷たい。」
「ひどいです。師匠。」
本当に変わったな、リリカ・・・。
「ま、そろそろ帰らなくちゃと思ってた所だし。あまり家主さんを悪く言わないで。じゃ、またねー。」
「うん、またねー。」
「ふん。」
そう俺たちに見送られながらフィーナは工房を後にした。




