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爆弾が爆発したと同時に俺はオオカミの群れの中心、彼女が倒れている所へと飛び出す。そして腰につけた片手剣を引き抜くと、近くにいるオオカミたちから次々と切りつけていった。
彼女はその姿を呆然と眺めているだけだった。
そして、最後の一匹を切りつけたあと、剣を鞘に収め、俺は彼女の方へと向かった。
「あ、ありがとうござ・・・」
「こんなところで何をしている!死ぬつもりか!?」
俺は彼女の言葉を遮り、思いっきり怒鳴りつけた。
とにかく苛立ちしかなかった。こんなか弱い女の子が何も持たずにこんな野獣ばかりの森の中で何をしていたんだ?
「い、いえ、そんなわけじゃ。」
彼女は申し訳なさそうに俺に告げた。
「師匠、そんな言い方しなくてもいいじゃないですか!怯えてますよ!」
後から茂みの中に隠れていたリリカが俺の元へとやってきてそう告げた。
まあいい、無事ならそれに越したことはない。幸い、彼女の体には怪我は無いようだ。ならば次にすることは。
「とりあえずここは危険だ。安全なところまで移動しよう。話はそれからだ。ついてこられるか?」
「は、はい。」
彼女はそう告げると自力で立ち上がった。
とりあえず、この森を出よう。いろいろと聞きたいことは山ほどあるが、まずは彼女の安全を確保してからだ。
俺たちは森を出たところで飯にすることにした。
リリカは草が生い茂る草原の上にシートを敷き、カバンの中からサンドイッチを広げた。俺はその一つをつかむと口の中に運ぶ。うん、リリカの作る飯はいつ食べても美味しい。
彼女もようやく落ち着き始めたのか、リリカのサンドイッチに手をつけ始めた。よっぽどお腹が減っていたのか、彼女は俺の分のサンドイッチもぺろりと平らげてしまった。
彼女はミナミ・シズクと名乗った。聞き慣れない名前だ。しかし、彼女にはなぜこの場所にいたのか、どうやってこの場所に来たのか、一切覚えていないのだという。彼女が言うにはニホンという国からやってきたらしい。効いたことのない国だ。どこか東方の国だろうか?とりあえず、この子をどうしようか・・・。
「あの、師匠!シズクさんも連れて行くことはできませんでしょうか?」
やはりそうするしかないだろう。このままここで死なれても後味が悪い。それからのことは工房に帰ってからにするか。とりあえず必要な材料は一通り取り終えた。ここで採取作業を切り上げ、工房に戻るとしよう。
「あ、ありがとうございます。えっと・・・。」
「私はリリカです。で、こっちが私の師匠のエルウィンです。」
「よ、よろしくお願いします!エルウィンさん、リリカさん!」
シズクと名乗った女の子は俺たちに向かって深々と頭を下げた。
「こちらこそ!」
リリカはその彼女に満面の笑みを浮かべて返事を返す。
「ふん。まぁ、仕事の邪魔だけはするなよ。」
俺はシズクに対して素っ気ない返事を返した。




