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異世界のアルケミスト  作者: 多岐川ノリ
足枷の踊り子
53/104

18

 今の時間は深夜。私はリリカを連れて第二の城壁の中、リーゼガングの市街地の中にある酒場へと向かっていた。目的はただ一つ。酒場にいるエルウィンを連れて帰ることだ。

 「たのもーっ!」

 私は勢いよく酒場の扉を開ける。

 「あ、いらっしゃーい!」

 それと同時に聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。

 その声の方へ視線を向けると・・・

 「あれ?フィーナ!?」

 「へへ。久しぶり。」

 フィーナが大量の酒を注いだジョッキ、数にして両手に8つぐらいか。それを持って酒場の中を駆け回っていた。

 「好きなところへ座ってよ。もうちょっとで手が空くからさ。」

 「う、うん。」

 そう言って私は周りを見渡した。

 いた。エルウィン。私のターゲット。そしてその向かいにはアーカムまでいる。

 「よぉ、シズク、お前も飲んでいくか?って痛ってえなあ!」

 私はすかさずエルウィンに力一杯脳天にチョップを食らわせた。

 「あんたねぇ、せっかく稼いだお金をまたお酒に使って!」

 「いいだろ、俺が稼いだお金だ。」

 「私が稼いだお金も含まれているわよ!」

 「じゃあ、お前も飲んでけば良いだろ。ってぇ!」

 私はもう一発チョップを食らわせた。

 「まあまあシズク、とりあえず落ち着けよ。」

 そこにアーカムが口を挟んだ。

 「アーカムは黙ってて!これは我が家の問題だから!」

 「あ、いや、俺、エルウィンさんの奢りで飲んでます。ごちそうさぶあっ!」

 私はアーカムの顔面に裏拳をお見舞いした。

 「ちょっと雫!」

 そこにフィーナがやってきた。

 「あ、ごめん、ちょっと家庭の家計の問題で。」

 「もう、今日は私の奢りにしてあげるから、雫も落ち着いて飲んでってよ。」

 「む、そ憂宇事なら遠慮無くってだから痛いんだよ!」

 私は三度エルウィンにチョップを食らわせた。

 「ちょっとは遠慮しろっつーの!」




 「でもなんでフィーナがここで働いているの?」

 私はビールを喉に流し込みながらフィーナに訪ねる。

 「うん、これからのことを考えたんだけど、とりあえず、働いて生活費を稼がなくちゃ行けないと思って。そうしたらここの酒場で住み込みで働かせてくれるって。」

 「フィーナちゃんがきてから売り上げが上がって儲けもんよ!フィーナはうちの看板娘だな!」

 と、酒場のマスターはガハハと笑いながらそう話した。

 「それに酒場なら、いろんな人達が集まるでしょ?それなら私たちが日本に帰る方法を聞き出せるかなって。」

 「なるほど!フィーナって頭良いかも!」

 「あ、それと私も傭兵業も請け負っているから。人手が足りなくなったら読んでよ。マスターにも話してあるからさ。」

 「うん、わかった。でもフィーナを危険な目に遭わせることはしないよ。」

 「ありがと。それじゃあ、何かわかったら情報交換といきましょ。」

 「了解!」

 こうしてこの日は夜明け近くまで酒を飲みながら語り合った。


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