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「フィーナ、ここにいたんだ。」
私はビールをしこたま飲んだ後、フィーナの姿が無いことに気がついて酒場の外に出たところだ。ちなみにエルウィンとアーカムの二人は酔いつぶれて眠っている。
「うん、ちょっと風に当たりにね。ちょっと飲み過ぎちゃった。」
「仕方が無いよ。やっと手に入れた自由だもん。いやがおうにもはめ外しちゃうよね。」
「でもあの二人は眠っちゃったじゃない、どうするの?」
「エルウィンは私が負ぶって帰るわ。仕方が無いから。アーカムはほっといてもいいんじゃない?」
「ふふふ、そうね。」
と、フィーナは一息ついたところで、話を続けた。
「ねぇ、シズク、こないだシズクがニホンという国から来たって話してたじゃない?」
「うん、それがどうしたの?」
「・・・私もね、実は日本からこの世界に来たんだ。」
「え、えーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
思わず大声を出してしまった。私の声が真夜中のリーゼガングの町中に響き渡る。
「しーっ、声が大きいよ。」
「ご、ごめん、余りにもびっくりしちゃったから。でもフィーナって、日本の名前じゃないよね。見た目も日本人っぽくないし。」
その通りだ。フィーナはどこからどう見ても外見が日本人離れしている。明らかに外国人の姿をしている。
「うん、それはね、私、ハーフだから。本名は『桐野フィーナ』。国籍は日本。母親が日本人だったし、父親も日本で仕事していたから。」
その後フィーナはこの世界で起こったことを話してくれた。
フィーナはこの世界に来た後、例の旅芸人集団と出会い、奴隷として共に生活してきた。衣食住を与えられることの引き替えに自由は制限され、さらに芸を身につける事を強要されてきたという。しかし、フィーナは日本ではバレエを習っていたこともあり、短期間で剣舞を身につけ、観客に魅せることが出来るレベルまでになったらしい。
そしてその後は世界各地を転々として、私と偶然巡り会った、と言うわけだ。
「でもよかった・・・私と同じ日本人がいたなんて。」
「ふふふ、でも問題は元の世界に変える方法が無いことなのよね。私も奴隷という身分だったからあまり外の人と触れることは無かったし。何も情報は無いわ。」
「私は・・・傭兵だから沢山の人と接触したけど、何も情報は見つからなかったわ。」
「・・・・。」
「・・・・。」
しばらくの沈黙。
「あーダメダメ!もう深く考えるのはよそう!雫、飲み直すわよ!」
「あっ、ちょっとまってよー!」
そしてこの日から1週間が過ぎた。




