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傭兵達がリーゼガングの第一の城壁の内側へと入ってきた。人数はおよそ30人。全員馬に乗っている。先頭にいるのはあのゲイルだ。おそらくどこかで馬を調達し、フィーナを取り戻すために馬を使って引き返してきたのだろう。
一方、そのゲイルを待ち構えていたのはウォルフ騎士団長だ。そしてその後ろにフィーナがウォルフ騎士団長に守られているように立っている。
「そのような武装をした集団がこのリーゼガングに何のようだ!?」
最初に口を開いたのはウォルフだった。
「我々の奴隷を帰して欲しく戻ってきた!そこにいる小娘は、我々の奴隷だ。所有権は我々にある。すぐに返してもらおう。そして、その小娘を連れて帰った者の身柄も引き渡してもらおうか。少々罰を与えなければならんのでな。」
「そうか、だが残念ながら我が国では奴隷という身分は認められていない。この国ではこの娘の身分は奴隷ではない。自由な身だ。貴様達に引き渡すことはできない。この娘を連れ帰った者も同様だ。お引き取り願おう。」
「残念ながらそうはいかないんでね。クライアントからの依頼だ。この娘に大量の賞金がかけられている。いやなら実力行使させて頂く。」
「そうか。では交渉は決裂だな。」
「ふん、そのようだな。」
「ウォルフ騎士団長、本当に大丈夫ですか?」
フィーナが心配そうにウォルフに話しかける。
「大丈夫です。我々とあの錬金術師エルウィンを信じてください。」
そしてウォルフはゲイルに向き直り、
「さぁ、かかってこい!」
と叫ぶ。
ゲイルはそれに応じて「敵は1人だ!かかれ!」と後ろの傭兵に号令をかける。
それを聞いたウォルフは「今だ!弓を放て!」そう叫ぶと同時にフィーナの体を守るように覆い被さった。
それと同時に第一の城壁の上に隠れていた弓兵が姿を現し、ゲイル達傭兵団に向けて後ろから弓の雨を降らせた。
突然の出来事に対応出来ない傭兵達。次々と背中から弓に討ち取られ、大混乱へと陥った。
ただ1人を除いて。
「ふんっ、こんなもので俺を倒せると思ったか!?」
ゲイルは手にしている得物で巧みに自らに降り注ぐ矢を振り払い続けた。
ほとんどの傭兵は弓矢の犠牲となっているものの、ゲイルだけはひとり無傷でいられた。これも傭兵としての技量の差なのだろう。
そして矢の雨は止んだ。
「さぁ、騎士団長さんよぉ、一対一だ。これで決着をつけよう。」
「ふん、それはどうかな?」
ゲイルがウォルフの方へと振り返ると、二本の剣がゲイルの首元へと突きつけられていた。
私とアーカムの剣だ。




