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リリカのその一言で一瞬周りの空気が凍り付いたような気がした。
「自由を得た奴隷の人達はそれぞれ自由に暮らし始めました。でも、私みたいな子供は自分だけの力では生きていられません。そこでニルード王子のはからいで里親を探してくださったのですが、特にこれと言った特技がない私だけが残ったんです。そこに現れたのが私の今の師匠です。師匠は何ができるんだって聞いてきたので、私は家事なら一通りこなすことができますと答えたんです。その一言で、師匠は私を引き取ってくれました。だから、師匠は私の命の恩人なんです。」
あのエルウィンが・・・でも、よく考えればそれが一番ベストなのかもしれない。私はエルウィンがどのような毎日を送っているかをよく知っている。ほとんど工房に篭もりっきりでまともな食事を取っているようには見えないのだ。そう考えればリリカを引き取って家事をさせるのが一番ベストな方法なのかなとも思う。
でもリリカはこんな師匠を持って不満はないのだろうか。
「不満ですか?そりゃあ沢山ありますよ。ここでは言えませんけど。」
やっぱりあるんだ。
「あーやっぱりね。私だって不満だらけだもん。ふふふっ。」
「ぷっ、ふふふ。」
「ははははっ!」
「ははははは!」
私とリリカは腹の底から笑い合った。
その様子をぽかーんと見ているフィーナ。
「ねぇ、私にも教えてよ。エルウィンってどんなひとなの?」
「ふふふ、後で教えてあげる!」
「えーけち!」
「でもこれを聞いたらリリカの苦労がわかるよ。」
「そうなんです。聞くも涙、話すも涙です・・・。」
「そうなんだ。あとでたっぷり聞かせてもらおっと。」
「さて、これからの事なんだが。」
私たちが工房に戻ると真剣な顔をしたエルウィンが話しかけてきた。
「おそらくあと3、4日のうちにフィーナを追って、刺客がやってくるだろう。俺たちはその刺客を迎え撃たなければならない。雑魚は問題ないとして、一番の問題はあのリーダー格・・・。」
「ゲイルのことね。」
「ああ、そんな名前だったか。アイツの力は相当なものだ。きちんとした作戦を考えなければ俺たちは間違いなく負けるだろう。」
やっぱり実力者は相手を見るだけでその実力を計ることができるのだろう。
「そうだな、まずこの都市の騎士団にも支援を要請しよう。あとあの頭の悪そうな傭兵・・・。」
「アーカムね。」
「ああ、そいつだそいつ。そいつにも協力してもらおう。彼らを集めてくれないか?」
こうしてリーゼガングの騎士団、私とアーカムとフィーナ、そしてエルウィンとリリカを交えて夜遅くまでゲイルを迎えうつ作戦を練り合った。
そして、4日が過ぎた。
「団長!姿が見えました!」




