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「そこにいるのは誰!?何者!?」
私は臨戦態勢で問いかける。アーカムも剣を構えて臨戦態勢だ。
やがて、暗闇の中の人影は徐々に明らかになる。小さな子供も一緒のようだ。
ん?子供?
「おいおい、保護者に剣を向けんなよ。」
それは聞き覚えのある声だった。
「仕方ないですよ。状況が状況です。」
間違いない、この声は。
「エルウィン!リリカ!」
その姿がはっきり見えたとき、私たちは臨戦態勢を解き、ほっと息をつく。
しかし一つだけ疑問が。
「なんで2人がここにいるの?」
「うーん、話せばちょっと長くなるんだが。リリカ、頼む。」
「もう、なんでこんな時にだけ私が!」
少々エルウィン腹を立てるリリカであったが、
「こうなることを予測していたからですよ。」
「へっ?」
「シズクさんならフィーナさんを奴隷という身分から解放させようと考えると思ったからです。」
「あーもっと詳しく話すとだな、お前、前に自分の国には奴隷制度がないって、だからフィーナが奴隷だと言うことに違和感があるって言っていただろ?実はな、リーゼガングも奴隷という身分は認められていないんだよ。このあたりの国では珍しい方だがな。」
「でもフィーナを奴隷から解放させようと持ちかけたのは自分の方だ。」
アーカムが会話に割って入る。
「俺の国ではまだ奴隷制度が残っている。だから奴隷という身分も違和感がなかった。フィーナを助けたのは単純にフィーナがかわいそうだったからだ。」
「アーカムはフィーナが好きなんだよね~。」
私がアーカムに茶々を入れる。
「えっそうなの?始めて知ったわ。」
「フィーナはアーカムのこと好きなの?」
「べっつにー。」
フィーナのその言葉にがっくり肩を落とすアーカムだった。
「さて、これからのことだが。」
私たちは広い草原の道、夜盗が潜む場所がない安全な場所まで移動したところで、エルウィンが話を切り出した。
「おそらく奴らは馬を使って追いかけてくるだろう。このまま徒歩で逃げてもリーゼガングにたどり着く前に追いつくのは目に見えている。」
奴らというのはフィーナが奴隷として扱っていた、旅芸人の旅団である。
「そう、それが一番懸念していることなのよ。それにフィーナも体力の限界で今日はこれ以上歩くことはできないし。」
「そこで便利な錬金術アイテムを用意した。リリカ、早速準備に取りかかってくれ。」
「わかりました、師匠。」
リリカはそう言い出すと、カバンの中からみたこともない道具を取り出し、それを地面に設置し始めた。




