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異世界のアルケミスト  作者: 多岐川ノリ
足枷の踊り子
45/104

10

 私たちの目の前に人影が見える。

 1人、2人、いや、それどころじゃない。

 大勢の人間に囲まれている。間違いない、これは・・・。

 「夜盗だな。畜生、こんな時に!」

 正確な人数はわからない。ざっと見たところ、20人ぐらいはいるようだが。

 「1人10人・・・できる?」

 「できるったって、やるしかないんだろう?」

 「ま、そうなんだけどさ・・・。」

 正直これだけの相手を敵にして戦ったことはない。こういう場合、やるべき事はただ一つ。


 フィーナの身の安全を最優先にすること。


 「フィーナ、私たちが敵を引きつけている間に逃げるのよ!」

 「その必要は無いわ。」

 「え?」

 「私も戦う。」

 そう言ってフィーナは腰につけた剣、「サーベル」と呼ばれる片刃の曲刀を鞘から抜き取ると、その場で、敵の目の前で踊り始めた。

 「な、なんだこいつは?」

 敵から戸惑いの声が聞こえる。当然だ。正直私たちも戸惑っているのだから。

 「フィーナ!」

 そう叫んでもフィーナは踊りを止めようとはしない。そのまま的に近づき、と思った瞬間、フィーナが敵にしている刀が敵に斬撃を加える。

 「ぐわあぁっ!」

 「な、なんだこいつは!」

 「どうせ敵は1人だ!みんなで襲えば!」

 そう言って敵は同時に3人での攻撃を試みる。

 しかし、フィーナの踊りは確実に敵の攻撃をかわし、それと同時に反撃を加えていく。

 「シズク!」

 アーカムが叫ぶ。

 「後ろの敵はフィーナにまかせよう!俺たちは目の前の敵を倒すぞ!」

 目の前の敵ならばせいぜい5人程度だ。これなら私1人でも倒すことができる。

 「了解!」

 そう言って私は目の前の敵に向かって走り出した。




 「みんな、無事?」

 「ああ、何とかな。」

 「ああ、もう、踊り疲れた~!もうどこかで眠りた~い!」

 見たところフィーナは怪我一つ負っていないようだ。それはそれで一安心なのだが、疲労度がとてつもなくひどいように思える。すでに地べたに座り込んで立つ気配はない。これ以上走るのは無理だろう。

 「どうする?このままだと追っ手に捕まっちゃうかも。」

 「うーん、しかたない、俺がおぶっていこうか?」

 「やだ。」

 「そんなこと言ったら追っ手に捕まるぞ。そうなったらどうなるのかわかっているのか?」

 「やだったらやだ!やだやだやだ!」

 そう言ってだだをこね始めるフィーナ。一歩も動こうとはしない。とうとう地べたに寝転び始めた。

 「そうはいってもねえ。どうしよっか・・・?」

 私は目の前にうっすらと人影が見えた。姿は1人なので夜盗ではないと思われる。一体誰だろう?私は万が一の事を考え、姿がはっきりするまで身構えた。


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