10
私たちの目の前に人影が見える。
1人、2人、いや、それどころじゃない。
大勢の人間に囲まれている。間違いない、これは・・・。
「夜盗だな。畜生、こんな時に!」
正確な人数はわからない。ざっと見たところ、20人ぐらいはいるようだが。
「1人10人・・・できる?」
「できるったって、やるしかないんだろう?」
「ま、そうなんだけどさ・・・。」
正直これだけの相手を敵にして戦ったことはない。こういう場合、やるべき事はただ一つ。
フィーナの身の安全を最優先にすること。
「フィーナ、私たちが敵を引きつけている間に逃げるのよ!」
「その必要は無いわ。」
「え?」
「私も戦う。」
そう言ってフィーナは腰につけた剣、「サーベル」と呼ばれる片刃の曲刀を鞘から抜き取ると、その場で、敵の目の前で踊り始めた。
「な、なんだこいつは?」
敵から戸惑いの声が聞こえる。当然だ。正直私たちも戸惑っているのだから。
「フィーナ!」
そう叫んでもフィーナは踊りを止めようとはしない。そのまま的に近づき、と思った瞬間、フィーナが敵にしている刀が敵に斬撃を加える。
「ぐわあぁっ!」
「な、なんだこいつは!」
「どうせ敵は1人だ!みんなで襲えば!」
そう言って敵は同時に3人での攻撃を試みる。
しかし、フィーナの踊りは確実に敵の攻撃をかわし、それと同時に反撃を加えていく。
「シズク!」
アーカムが叫ぶ。
「後ろの敵はフィーナにまかせよう!俺たちは目の前の敵を倒すぞ!」
目の前の敵ならばせいぜい5人程度だ。これなら私1人でも倒すことができる。
「了解!」
そう言って私は目の前の敵に向かって走り出した。
「みんな、無事?」
「ああ、何とかな。」
「ああ、もう、踊り疲れた~!もうどこかで眠りた~い!」
見たところフィーナは怪我一つ負っていないようだ。それはそれで一安心なのだが、疲労度がとてつもなくひどいように思える。すでに地べたに座り込んで立つ気配はない。これ以上走るのは無理だろう。
「どうする?このままだと追っ手に捕まっちゃうかも。」
「うーん、しかたない、俺がおぶっていこうか?」
「やだ。」
「そんなこと言ったら追っ手に捕まるぞ。そうなったらどうなるのかわかっているのか?」
「やだったらやだ!やだやだやだ!」
そう言ってだだをこね始めるフィーナ。一歩も動こうとはしない。とうとう地べたに寝転び始めた。
「そうはいってもねえ。どうしよっか・・・?」
私は目の前にうっすらと人影が見えた。姿は1人なので夜盗ではないと思われる。一体誰だろう?私は万が一の事を考え、姿がはっきりするまで身構えた。




