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「あの子、すごいわね。あれだけできるのにどれくらい練習したんだろう・・・。」
私はぼそっとつぶやいた。
「あの子はたぶん・・・自ら望んで身につけた踊りじゃなくて、無理矢理身につけさせられていたと思いますよ。」
「えっ?それってどういうこと?」
私は突然のリリカの発言にはっと息を飲んだ。
「そうだな。あいつは奴隷だ。足を良く見てみろ。足枷のと思われるアザが付いている」
「奴隷?」
私は聞き直した。聞き直さずにはいられなかった。
「そんなのが認められるの?そんなことあの王子が・・・」
「ああ、その通りだよ。ニルードが奴隷なんて認めるわけがない。」
「じゃあ、どうして・・・。」
「奴隷が認められていないのはこの国だけなんですよ。他の国では奴隷制度なんて当たり前なんです。」
「その通りだ。奴らは他の国からやってきた旅芸人ご一行様だ。奴隷を連れて来る事なんて十分あり得る話だ。まぁ、見ている観客はそんなこと気にしていないだろうがな。」
私は正直言ってショックだった。
だって目の前で笑顔を振りまいて剣舞を披露している、私とほとんど年齢の変わらない女の子が奴隷だなんて。
そんなことをあれこれ考えているうちに彼女の演目は終了した。まだ演目は残っているが、次の演目までは少し休憩があるらしい。私はこの時間のうちにトイレに行ってくることにした。
そのことをエルウィン、リリカに告げ、私は席を外し、トイレへと向かう。
そしてすっきりしてエルウィン達の元に戻ろうとしたのだが・・・。
「あれ?来た道どっちだっけ?」
・・・不覚にも道に迷ってしまった。
「こっちだっけ?」
とりあえず思った方向へと進んでみる。
そうすると身に覚えのない通路へとたどり着いてしまった。
「やばい。完全に道に迷った。」
周りを見渡すと、檻に入った猛獣たちがこちらをにらんでいる。こちらの存在に気がついたのか低いうなり声を上げ今にも飛びかからんとしている。
ちゃんとエサを与えているのか?と旅芸人の団長に問いただしてみたいところだが、今はそれよりもエルウィン達の元へと買えるのが先決だ。檻の中で暴れているのが正直心臓に悪いが檻があるのでこちらに危険が及ぶことはない。
どうしよう?このまま先へ進むか、一旦引き返すか。
そう考えて立ち止まって周りを見渡すと、一つだけ他とは違う檻を見つけた。他と違うというのは、周りの檻は猛獣が中にいて隙あらば襲いかからんと殺気立っているのに対して、その檻だけはそのような殺気のようなものは感じられない。
私はその檻の方へと近づいていった。
そこには先ほどまで剣舞を踊っていた少女がいた。足を見て見ると革製の足枷が取り付けられている。それには大きな鉄球が鎖でつながれており、その重さで自由に動き回る事ができないようになっているようだ。。
「あ、あなたは・・・。」
「あら?めずらしいお客さんがいらっしゃったわね。ねぇ、少し私とおしゃべりしない?」




