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改めてビールを口につけながらニルードの方へ視線を向ける。
ニルードの周りには人だかりができていた。それぞれ、ニルードに対して何かを訴えているようだ。
「王子様ぁ、あっしの話を聞いてくださいよ・・・。」
「ん?どうしたんだい?」
「実は・・・」
「ああ、そうか、どうにかならないか、役人に話しておくよ。」
「あ、ありがとうございます!」
話しかけた男がぺこりとお辞儀をした後、別の男が王子に話しかける。
「王子様!こないだ話した件、少しですが改善されてきました!ありがとうございます!」
「そうか、それは良かった。」
「でも、実は、それに伴ってまた別な問題が発生しまして・・・。」
「そうか、それは想定外だったな。根本的な改善が必要かもしれない。担当の役人に検討するよう伝えておくよ。」
「あ、ありがとうございます!」
その後も後が途切れること無く王子に話しかけてくる人々が後を絶たない。
「どうした?シズク、ニルードの方をじっと見つめて。そんなにやつに惚れたのか。」
「ち、ちがうっ!」
同じくビールを飲みながら話しかけてくるエルウィンに対して即座に否定する。
「ふん、冗談だ。」
エルウィンが話すととても冗談に聞こえない。この話は完全にスルーしよう。
「・・・ただ、あのニルードもちゃんと国民の声を聞いているんだなって。」
「ふうん。そんなに珍しく見えるのか?」
「うん、私がいた世界ではああいう政治家はいないと思う。」
そもそも政治にまだ関心がない。
というか、私はまだ未成年なので選挙に関わることができない。選挙カーが町中をうるさい声と共に走り回ったり、駅などで大きな声を張り上げて何かを叫んでいる様なイメージしかない。
「でも、あんなに沢山の人々の話を聞いているけど、全部覚えているのかな?王子自身もお酒が入っているんでしょ?」
「それがな、しっかり覚えているんだ。俺もなぜか知らないがな。そしてきちんと実行する。ホント、エライやつだよ。」
信じられない。こんな沢山のお願い、私だったら頼み事2~3個覚えるのもやっとだと思う。しかも、ニルードはお酒を飲みながらこなしているのだ。
ここに来る前に言っていた、酒場から情報を収集し、国作りに役立てる、と言うのもありがち嘘ではないのだろう。
・・・ちょっとニルードの事見直した。
「どうした?また黙り込んで。もしかしてまた惚れ直したとか?」
「だからちがうってーの!!」
即座に否定する。
「本当か?顔が赤いぞ。」
「こ、これはお酒を飲んでいるからだもん!」
「こないだ飲んだときは、平気な顔していたけどな。」
「う、うるさい!」
はぁ、と一息おいて、私は話し続ける。
「そ、そりゃあ、酒場から情報を集めて、国作りに役立てている、というのは関心したわ。こんなこと誰でもできる事じゃないもの。」
「へーっ、僕の事、認めてくれた?」
いつの間にかニルードが会話に割り込んでいた。この男、油断ならない。
「いつでも僕の所に来ても良いんだよ?」
「そ、そんなんじゃないっつーの!!!」




