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「あぁ、アイツならリリカちゃんと一緒に調合材料の採取に行ってるわ。たぶん、あと10日ぐらいは帰ってこないかな?」
私は疲れ切った声でリースに返答した。
「そっか・・・。材料のインゴット余ってないかなって思ってきたんだけど・・・。」
「あはは、私じゃわからないや。まぁ、お茶でも入れるからゆっくりしてってよ。」
「そんな事より・・・あんた体中埃まみれだよ。」
と、リースは私の方を見て話しかける。当然だ。さっきまで埃まみれの部屋の中にいたのだから。
「シズク、あんた、これから暇?時間ある?」
時間があるかと言われれば、あるにはある。まだエルウィン達が帰ってくるまでには時間がある。それまでに掃除が終われば良い。・・・それまでにこれだけの埃が全て片づくかどうかが問題だが。
「うん、大丈夫だよ。」
「じゃあ、私も今日は時間があるからさ、良いところに行こうよ。さっぱりするよ~。」
「良いところ?」
良い所ってどこだろう?
とりあえず私はリースについて行くことにした。
リースについて行ってたどり着いたのはリーゼガングの第二の門の中、住宅地の中にあり、リーズが働いている鍛冶場からもほど近い場所だった。
「ここは・・・お風呂?」
「そ。お風呂。私は仕事が終わったら必ず寄って汗を流していくんだ。さっぱりしてとっても気持ちいいんだよ。」
そりゃリーズの職場は火を扱う場所だけあって汗を大量にかくところだ。仕事帰りにお風呂に入って汗を流せるとしたら、これ以上のさっぱり爽快感は無いだろう。
「シズクも埃まみれになってまで掃除頑張ってるんだろ?ここで一緒に汗を流していこうぜ。」
お風呂か・・・そういえば久しぶりだな・・・
いつもは工房近くの川の中でリリカと水浴びで済ませていた。それはそれで気持ちいいのだが、やっぱり暖かいお風呂に限る!きっとものすごい気持ちいいだろう。いままでの疲れが全て吹っ飛ぶぐらいに。
「うん、行きましょう!リーズさん!」
浴場の中は想像通りだった。
大きな浴槽。洗い場も2,30人は入るだろう。
すでに何人かのお客さんが浴場にいた。おそらくはこの近くに住んでいる人達だろう。
私はその大きな浴槽につかった。
「はぁ~生き返る~。」
思わず口にしてしまった。それだけ疲れが溜まっていたのだろう。
「やっぱりお風呂は最高だね!」
リーズもこのお風呂に大満足のようだ。
「そうだ。シズク、背中流してあげるよ。こっちにおいで。」
「え?そんな悪いですよ。」
「いいから。こういう行為には甘えておくもんだよ。ほら、ほら、こっちにおいで。」
とリーズは洗い場から私に向かって手招きを始めた。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・。」
せっかくだから私は浴槽から出て洗い場にいるリーズの元へと向かった。