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「どうする?行く?」
フィーナが私たちにたずねる。
「何を今更。」
「いつでもいいぜ。こっちは準備万端だ。」
「じゃあ、行くよ!」
私たちは大広間へ飛び出した。
火竜はすぐに私たちの存在に気づいたようだ。
大きな咆哮を上げ、大きな翼をいっぱいに広げて羽ばたき始めた。火竜の巨大な体が大広間に浮き上がった。その高さは私たちがジャンプしても剣が届く高さに無い。
「任せろ!」
信也は宙にいる火竜に向けて矢を放った。
その内の数本が火竜の翼に命中、矢は翼を貫通した。
と、それと同時に、翼が白く凍り始めた。
信也の放った氷の矢が火竜の翼の動きを鈍らせ、火竜はその高さを維持できなくなっていった。火竜の体は地面の上に落下した。
「ナイス!」
「雫!ブレスが来るよ!」
フィーナは火竜が大きく息を吸い込む動きを見逃さなかった。
その声に反応した私たちは火炎ブレスを回避しようと左右へ走る向きを変えた。
ドラゴンの首はフィーナの方を向いた。フィーナに向けて火炎ブレスを吐き出す。
「くっ!」
火炎ブレスをかわしきれなかったフィーナはとっさに身に纏っていたマントで火炎ブレスを防いだ。フィーナは無傷で火炎ブレスの影響を受けなかったが、マントは黒く焦げて灰となってしまった。
しかし、そのおかげで火竜は私に隙を見せた。もちろんこのチャンスは逃さない。
「たあぁぁぁっ!」
私は火竜の首めがけて手にしていた刀で切りつけた。
が、その一撃は火竜の硬い鱗に弾かれてしまった。
「え!?」
火竜対策用に鍛え直して貰った刀なのに!
と、そこに火竜の腕が薙ぎ払いのように迫ってきた。
私はとっさに後ろにはねてかわそうとしたが。わずかに火竜の爪が私の体をかすった。
傷自体はたいしたことは無いが、その一撃で私の体はフィーナの元まで飛ばされてしまった。
「雫、大丈夫!?」
「だ、大丈夫、なんとか・・・。」
だが、火竜の攻撃は止まない。
火竜は大きな顔をこちらに向け、大きな口を開け、こちらに迫ってこようとしていた。
この行動は鋭いキバで噛みつこうとしているのだろう。
しかし、フィーナはともかく、私は火竜の一撃で地面に横たわっている状態。
フィーナは慌てて私の体を起こそうとするが、とても間に合いそうも無い。
ここで、フィーナがとっさの判断で取った行動。
フィーナの腰のベルトにつけていたソフトボールぐらいの大きさの玉を取り出し、火竜の口に向けて投げつけた。