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黒の竜使い  作者:
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第五話

団長に連れられたのは、ある一つの部屋。扉を開くとそこには様々な色の頭を持った人達がいた。計五名。密かに小さい頃見ていたヒーローアニメを思い出してしまったのは秘密だ。


「レート。誰だそいつ」


その中で赤い頭をした男が話しかけてきた。おぉ偉そうだ。俺様。そんな男に、団長は私を紹介した。


「異世界から来たシズカだ。今日から騎士団に入団する」

「異世界、だと?」


団長の言葉に目を見開く男達。おぉ何かめっちゃ見られてる。私がそんな事を思っていると赤い男が気を取り直したようで、少しだけ声を荒げていう。


「異世界からの召喚は、五年前以降行われていないはずだ。誰が、国の許可もなしに呼び込んだ」


声を荒げていう赤い男に、団長は苦笑していった。


「シズカが召喚されたのは五年前だ。失敗だと思ってたはずの召喚が、実は成功していた。そうだよな、シズカ?」


団長が私に確認してきたので頷く。成功はしてましたよ。そうじゃなきゃ私はこの場にいない。頷いた私を見て赤い男は、その赤い頭を抱えた。どうやら彼は、見かけによらず苦労しているらしい。


「また、面倒な事が増えた…!」

「そう心配するな。国王も知っておられる」

「だろうな!」


頭を抱えた赤い男を見ていると、後ろから肩を叩かれる。振り向くと、青の頭をした男が、私の目の前にお菓子を差し出している。…これは、くれるという意味だろうか。戸惑いながらも、それを受け取って礼を言う。


「ありがとうございます」

「…ヒューレ」


ぼそりと呟いた青の男の言葉に首を傾げる。暫くしてそれが彼の名だと分かり、手を差し出して彼の名を呼ぶ。


「よろしくお願いします、ヒューレさん」

「…よろしく、シズカ」


ヒューレさんはどうやら、無口で無表情のよう。それなのに両手いっぱいにお菓子を持ってる姿はなんだか笑える。笑を漏らした私に、ヒューレさんは頭を撫でてきた。…うーん。私は面食いではないので、イケメンに頭撫でられてもテンション上がらないんだけどな。


「あれ。ヒューレが人に懐くなんて珍しい」


そう言ったのは、頭がピンクの男。ヒューレさんは、私の頭を撫でる手を止め、ピンクの男を見た。無表情で告げる。


「黙れ」

「!?」

「ほらほら、シズカちゃんが驚いてるから。お前、相変わらず俺だけに冷たいよね」


ヒューレさんの言葉に目を見開いて固まってしまう。ちょいちょい…ヒューレさん?ピンク頭の扱いが酷いですよ?え、なに?まさか、普段と同じ?周りの反応を見て、そう思った私であった。本人も慣れているようで、笑顔で自己紹介をしてきた。


「初めまして。俺の名前はナサニエル。サニエって呼んでねー」

「近寄るな。馬鹿がうつる」

「ひっどいなー。俺って、そこまで馬鹿じゃないからね?」


私を挟んで前後で言い合いを始める二人。サニエさんとヒューレさんは別に仲が悪いわけじゃなさそうなんだけど、とにかくヒューレさんのサニエさんに対する態度が冷たい。その後は団長が止めた。そして、団長は私に紹介する。


「シズカ。赤いのが特攻隊長のウィルダ・ニコロ。青いのが暗黒隊長のヒューレンス・ジャスト。ピンクが魔法隊長ナサニエル・レギント。金が情報隊長のエレビレツ・サーシャン。緑が空撃隊長のシャルラタ・ルノフ。ちなみに俺は、レートリア・フレグスだ。覚えれるか?」


一気に話した団長は心配そうに聞いてきた。心配になるんだったら、初めからゆっくり紹介してよ…そんな事を思いながら順番に名前を当てはめて行く。


「特攻隊長、ウィルさん」


赤い髪のウィルさんを見ていう。この人、物凄い美形だ。整った顔は、強気な印象を与える。しかし、ウィルさんは見かけによらず結構な苦労人っぽい。見た目完全に俺様なのに。ちなみに、瞳の色は水色。


「暗黒隊長、ヒューレさん」


青い髪のヒューレさんを見ていう。ヒューレさんは、クールな美形。腕にお菓子さえ抱えてなければ完璧なんだけどな。本当にこの人は残念だ。瞳の色は蜂蜜色。


「魔法隊長、サニエさん」


ピンクの髪のサニエさんを見ていう。サニエさんを一言で表すと、“チャラ男”。ピンクの髪をあちこちに跳ねさせているし、雰囲気から既にチャラい。瞳の色は髪の色よりも少し薄いピンク。


「情報隊長、レビさん」


金の髪のレビさんを見ていう。レビさんは、隊長の中で唯一の女性だ。その姿は凛々しく、綺麗。女でも見惚れてしまいそうな程、かっこいい。スタイルもいいし、沢山の人が憧れているに違いない。瞳は、黄色を少し透明にしたような色。


「空撃隊長、シャラさん」


緑の髪のシャラさんを見ていう。シャラさんは顔から雰囲気から何まで、優しそう。おぉお兄ちゃんみたいだ。緑の髪の毛のシャラさんは、透明に近い薄い緑の瞳をしていた。


「大丈夫」

「よかった。今から、シズカに合う隊を選ぶ。希望はあるか?」


私が特にないことを伝えると、団長は隊長達に言った。


「静香を欲しい奴、手を挙げろ」


そこでシーンとなる。…ちょっと?いくら、どこでもいいからってその反応は流石に傷つきますよ。そんな事を思っていると、やはり剣に集まる皆の視線。これか。これなのか!そんなことを思っていると、ウィルさんが顔をしかめて言った。


「悪いが、そんなものを好んで持ってる奴を欲しいとは思わん」

「実力は確かだぞ」

「それでも、だ」


あぁ…これですね。というか、どんだけ嫌われてるんですか。この剣。まぁそうだな。これ扱いにくいもんなー。趣味で集めてたりしなきゃ、私だって扱い方なんて知らないだろうし。そんなことを思っていると、団長は困った顔で頭をかいた。ごめんなさいね。手のかかる人で。


「シズカ。どうする?」

「何が?」


そう言ってみると、団長は再び困った顔をして隊長達を見た。全員、ウィルさんと同じ意見らしい。…白露、可哀想に。そんなことを思っていると、窓の外にぶよぶよ浮いている物体が…いや、何故そこにいるんだ。ハク。


『シズカ。ヤバイよ。西の王の結界が弱まってる。誰か、よくない者がいる』

「ちっ」


ハクが言った言葉に、思わず舌打ちをする。西の王とは、竜の事を指す。流石は異世界。竜がいたんだよ。他にも、南は虎。東は鷹。北は大蛇。それぞれがその地域を守護している。


私が彼らにあったのは今から四年前。ハクを通じて、仲良くなった。それぞれが張っている結界は緩む事は数少ない。緩むとすれば寿命か、何者かによる攻撃のせい。寿命はそれぞれあり得ないくらい長い。だから、寿命はあり得ないのだ。


「シズカ?」


私の様子に気づいたのか、団長がどうかしたかと問う。私は俯かせていた顔を上げ、言った。この部屋の中にいる全員に聞こえるように。


「西の結界が弱まってます。この意味、分かりますよね?」


団長の顔が驚きで染まる。だろうな。ここ数十年、平穏に過ごせたらしいから。私は団長の目を見て言った。


「西に兵を送ること。その中に必ず、魔法の使えるものをいれる事。空隙部隊は必ず半分待機。シャラさん。空撃の中で一番早いのは貴方ですね」


頷くのを確認してからサニエさんの方を向く。そして笑顔を作り言った。


「サニエさんは、シャラさんと一緒に来てください。それと同時に、壊れた結界の修復をお願いします」

「シズちゃん、幾らなんでもキツイよー」


苦笑するサニエさんに頑張ってくださいと一言いって、窓に近づく。ハクに合図を送り、窓枠に足をかけた。


「シズカっ!」


団長の焦る声が聞こえる。私は振り返らずに言った。


「任せたよ!」


今思えば、この人に敬語使ってないや。そう思いながら窓枠を蹴って空中に身を投げ出した。それと同時に、元の姿に戻っていたハクが空高く飛ぶ。上手くその背中に乗り、体勢を整えた。


「ハク。敵は?」

『分からない。でも、あの爺さんが押されてる。只者じゃない』


古い付き合いらしいハクが、そう言ったのだ。相手は相当強いやつなのだろう。ハクから感じる感情は、焦りだ。ハクがここまで焦りを露わにするのは珍しい。それほど、危機的状況なのか。


「ハク、急いで」


私の言葉を聞き、ハクは一段回速度を上げて急いだ。

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