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クマとユズ

もしもユズが赤ずきんだったら…

作者: oluolu

すみません。

思いついちゃったので投稿していきます。


 昔むかし、あるところに、柚希という可愛い女の子がいました。


 この柚希、おばあさんから貰った赤いビロードのずきんがたいそう気に入っており、毎日のように被っていたので、皆から赤ずきん、と呼ばれておりました。


 ある日、おばあさんが病気になったと言うので、赤ずきんはお母さんから言われて、お見舞いに行くことになりました。


「いい?赤ずきん、森にはそれはそれは恐ろしいオオカミがいるからね。決して道から外れたり、寄り道をしてはいけないよ?可愛いあなたなんて、パクっと食べられてしまうから」


 お母さんは可愛い赤ずきんが心配でなりません。


「大丈夫よ、杏奈お母さん。おばあさんの所までだって、ちゃんと行けるわ」


 お母さんの心配をよそに、赤ずきんはウキウキと出かけて行きました。


 その後ろ姿を見ながら、それでも心配なお母さんは、隣の家に住む猟師の家に行くのでした。


 猟師と赤ずきんは、赤ずきんが生まれる前からの付き合いです。


 目に入れても痛くないほど可愛がっている赤ずきんが、たった一人ではぐれオオカミがいると言う噂の森へ出かけたと聞き、猟師は慌てて後を追い掛けました。



 お見舞いのワインとお菓子を持った赤ずきんは、春の暖かい日差しの降り注ぐ森の中を、意気揚々と進んで行きます。


 その様子をこっそり見ている、あやしい視線に気付きもしないでーーー


「ねぇ、赤ずきんちゃん。どこへ行くの?」


 後ろから声を掛けられて赤ずきんが振り返りますと、小さな仔オオカミがニコニコしています。


 仔犬のように愛らしい顔立ち、ふさふさのしっぽをパタパタと振って、仔オオカミは赤ずきんに近寄ります。


「おばあさんのお見舞いに行くのよ」


 仔オオカミの無邪気な様子に、赤ずきんもニコニコして返事をしました。


「だったら、お花をもっていくといいよ。とてもきれいなお花のさいてるところ、しってるんだ。つれていってあげる」


 お母さんの言い付けを思い出し、躊躇う赤ずきんの手を引いてきます。


「ダメ…?」


 へにゃりと伏せられた耳、今にも泣き出しそうな潤んだ瞳に見上げられ、赤ずきんが断れるはずもありません。


 赤ずきんは仔オオカミについていくことにしました。


 そんな二人の後ろ姿を、もう一対の瞳が、見つめていました。


 群れからはぐれた、一際大きなオオカミです。


 赤ずきんを連れ出すことに成功した、仔オオカミの父親でした。


 パパグマ---失礼、パパオオカミは、おばあさんの家に先回りすると、赤ずきんを装ってドアを開けさせ、おばあさんの手足を縛りあげるとリビングのソファに転がします。


「赤ずきんを可愛いと思うなら、ここから動かず、何も喋らないことだ。

さもなくば…」


 ギラリと牙をむき出しにして威嚇するオオカミに、おばあさんは真っ青になってこくこくと頷きます。


 それからパパオオカミは寝室へと踵を返します。


 おばあさんのベッドは小さくて、オオカミは一つ身震いすると、人型からふさふさの被毛に覆われた立派な狼へと変わりました。


 ベッドにもぐりこむと布団から耳としっぽがはみ出していますが、気にした様子はありません。


 暫くすると、すっかり仲良くなった仔オオカミと赤ずきんがやってきます。


 仔オオカミは家の前までやってくると、赤ずきんと別れました。


 赤ずきんは仔オオカミにお見舞いのお菓子を分けてやり、ニコニコ手を振ってから家に入ります。


 ベッドには、何だか前見た時よりも大きな影が寝ています。


「おばあさん、少し会わない間に何だか大きくなった?」


「そうかい?」


「声もそんなに低かったかしら?」


「喉の調子が悪くてね」


 赤ずきんはお見舞いの籠をベッドのそばに置いて、覗き込みます。


「まぁ、お耳もこんなに大きくなって」


「お前の声がよく聞こえるようにさ」


 赤ずきんが触ると、三角の耳はピクピク動きます。


 それが面白くて、赤ずきんはベッドに腰掛けるとシーツを剥いでしまいます。


 狼の目とバッチリ合いました。


「こんなにふさふさになって」


「寒がりのお前を暖めてやれるようにさ」


 薄茶の皮毛は見た目と違って柔らかく、指を這わせると深く沈んでいきます。


 確かにこの毛皮に包まれて眠ったら、とても暖かそうです。


 赤ずきんは狼にしがみついて、モフモフを堪能しました。


 毛皮のあちこちを撫でる指に、狼はくすぐったそうに目を細めていますが、赤ずきんの好きにさせました。


「尻尾もはえてるわ?」


「それは気にしちゃいけないよ、赤ずきん」


 突っ込みどころ満載のやり取りをしながら、赤ずきんはどんどんオオカミのパーソナルスペースへ入り込んでいきます。


「手も、こんなにたくましくて」


「お前を、可愛がってやれるようにさ」


 狼は肉球をぷにぷに触る赤ずきんを捕まえると、素早く人型に戻り、くるりと体の下に組み敷きました。


 目をしぱしぱ瞬かせる赤ずきんに、怯えの色はありません。


 まっすぐに見つめ返す眼差しを心地よく思いながら、オオカミは言いました。


「可愛いお前を、喰ってやる」


 赤ずきんはそこでようやく、お母さんの言っていたオオカミの事を思い出しました。


 ふるりと身体を震わせ、首筋に顔を埋めるオオカミに腕を回すと、囁きました。


「…痛く、しないでね。オオカミさん」


 オオカミの尻尾が、パタリと大きく揺れました。




 一方、赤ずきんを追いかけた猟師、仔オオカミに連れ出された赤ずきんと会えるわけもなく、森の中を探して回ります。


 赤ずきんが好みそうな湖や花の咲くところ、美味しい果実がたわわに実る場所など、あちらこちら回りますが、赤ずきんの姿はどこにも見当たらず、その度に落胆しました。


 陽が傾いて来たので、猟師は一度おばあさんの家に向かいました。


 目の悪いおばあさんは、陽が傾くとすぐに灯りを点けますが、今日はまだ何も灯されていません。


 不審に思いながら家に近付くと、家の前には、小さな仔オオカミが赤ずきんからもらったお菓子を食べて寛いでいます。


 猟師は手に持った猟銃を構えると、ドアに手をかけました。


「今は、中に入らない方が良いと思うな~」


 のんびりとした仔オオカミに目をやると、彼は面白そうにこちらを見上げてきます。


 いたずらを企む眼差しに、猟師はドアを開けて中へと踏み込みました。


 中はしんと静まり返り、誰も見当たりません。


 ただひとつ、奥の寝室を除いて。


 ギシギシと床が軋む音と、何かしら話し声が時折漏れてきます。


 猟師は眉を潜めると、寝室のドアを勢いよく開きました。


 目に飛び込んできた光景に、思わず構えていた猟銃を落としてしまいます。


 ベッドにうつ伏せにされ、大きな胸を揉みくちゃにされた小さな人影は、今日一日、あれほど探し回っていた愛しい赤ずきんに間違いありません。


 上気して鮮やかに色付くその身体にはいくつもの赤い花が咲き、乾ききらない白濁にまみれてひどい有り様です。


「やぁぁん、んふっ、だ、め…みないで~!」


 高く挙げた腰をしっかりと掴まれ、重なったオオカミかが動く度に、グチュグチュ水音が部屋に響きます。


 喉からあがる嬌声は聞いたこともない甘い響きを持ち、背を撓らせて快楽に溺れるその様子に、猟師の目は赤ずきんから反らす事が出来ません。


 群れから離れ、番もおらずただ一人、森で生き抜いて仔オオカミを育ててきたオオカミが、猟師のその隙を見逃すはずはありませんでした。


 ベッドサイドのワインを掴むと、無造作に猟師に向かって投げつけます。


 スコーン!と眉間にクリーンヒットしたそれは、猟師の意識を奪うのに十分でした。


 バタリと倒れる猟師を見て、赤ずきんが顔色を変えます。


「しゃち!!」


 あれだけ快楽に浸りきっていた赤ずきんを一瞬で現実に引き戻した猟師を苦々しく睨みつけ、オオカミは赤ずきんの身体を持ち上げると向かい合わせに抱き直します。


「あぁん!!」


 中を穿つ楔がイイトコロをかすめ、大きく身体を振るわせます。


「俺に抱かれながら他の男の名を呼ぶ悪い子には、お仕置きをしないと、な」


 ニィッと口角を上げて笑むオオカミに、赤ずきんは頬を染めてその広い胸に顔を埋めました。



 その後、陽が完全に落ちるまで、お仕置きという名の甘い責め苦が赤ずきんを苛んだことは、言うまでもありません。



 カチャリとドアが開き、赤ずきんを腕に抱いたオオカミを見て、仔オオカミは尻尾をちぎれんばかりに振りました。


「おかあさん!」


 そんな仔オオカミの頭を撫でて、オオカミは住み処へと戻ります。


 仔オオカミは、一度だけ振り返り、寝室の床に転がったままの猟師に向かって言いました。


「だから忠告したのに」


 それから2人を追って、パタパタと駆けていきました。



 いつまでも戻らない赤ずきんと猟師を心配して探しに来た村人は、乱れたベッドを見て、赤ずきんの現状を察し大きく溜め息をつきました。


「赤ずきんは、とうとう喰われちまったか」




 そんな心配をよそに、赤ずきんは小さなモフモフを抱き締め、大きなモフモフに包まれて、幸せな眠りを貪っておりましたとさ。



 作者「何でおばあさんを食べなかったの?」


 オオカミ「あれ(柚希)が悲しむだろうから」


 しれっと返すオオカミが続けて溢した呟きは、仔オオカミと戯れる赤ずきんの耳には届かなかったようです。


 オオカミ「年寄りの肉は硬いしな」


 作者「………」

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