表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

間章



 翌朝玻璃は随分と早起きをした。


 初めてアラストルの寝顔を見たのだ。


「…シルバとおんなじ顔なのに、シルバじゃない……」

 シルバはもっと優しく微笑んでいた。だけどもアラストルは自信に満ち溢れた笑い方をする。

 だけども泣くときは二人とも同じように静かに泣く。

 玻璃は不思議でならなかった。

 同じ人がわざと別の行動をとっているのではないかとさえ思っていた。


「アラストルがシルバだったらいいのに…」

 そうしたらきっと殺さなくて済む。

 こんなに良くしてくれるアラストルを殺すなんてと玻璃は思う。

 目を閉じれば今もシルバの微笑が浮かぶ。

「きっとアラストルもそう思ってる…」

 あの時私が死んでいれば良かったって……。

 あの日の出来事を思い出し、玻璃は涙を流す。

 その一滴がアラストルのほほに落ちる。

「…おい、お前、人の上でなに泣いてるんだぁ?」

 寝起きから不機嫌そうなアラストルが玻璃の目元から指で涙を拭う。

「ほら、とっとと泣き止め。んな顔されたら迷惑だ」

「うるさい、黙れこの三十路」

「三十路言うな、気にしてるんだ!」

 服の袖でごしごしと涙を拭いながら玻璃は「三十路!」とアラストルに叫ぶ。

「なんでいっつも三十路って言うんだよ…」

「事実」

「そらそうだが…」

「それにいっつも私のことガキっていう。オジサンって呼ばないだけマシ」

「ぐっ…てめぇ…一番気にしてるところをずけずけと……」

 アラストルは俯きながらわなわなと震えている。

「オジサンって呼んで欲しかった?」

「可愛くねぇガキだなぁ」

「私に可愛さを求めても無駄よ」

 ツンと玻璃が言う。

 アラストルは大きなため息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ