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間章




 瑠璃は苛立っていた。

「玻璃は…戻らなかったか…」

 情報を集めている間にも国王軍やリヴォルタを気にしなくてはいけないしハデスには少しも近づけない。

 ただ分かっているのは標的の住処。

 だが、今も底に居るとは限らない。

「シルバ、か…」

 記憶の中の銀の剣士。かつて伝説と呼ばれた男は常に微笑を絶やさない人物だった。

 瑠璃は正直彼があまり得意ではなかったが彼は生きていくのに必要なことをちゃんと教えてくれた。


「生き残るために必要なのは情報…嘘を見抜き優位に立つために……」

 師として彼の実力は認めていた。

 ただ、玻璃のように保護者として盲信はしていなかっただけだ。

 伝説の銀の剣士は今でも瑠璃の中に居る。

 ただそれは伝説として、だけではなく、かつて師と認めた者として存在するのだ。

「シルバをみつけたら、か……本当に馬鹿だな…」

 そんなの戦いを挑むに決まっているじゃないか。

 瑠璃は呟く。

 瑠璃にとってはシルバは認めて欲しい相手で、超えたいと思っていた男だった。

 玻璃とは違った意味で今でもシルバに囚われている。


 心してかからなければならないと。

 瑠璃は考えていた。

「玻璃…お前の記憶は確かだろうな…」

 玻璃の異常な記憶力は分かっている。

 きっと玻璃には一寸の狂いも無くシルバを再現できるだけの記憶があるだろう。

 その玻璃がシルバと間違えると言っていたのだ。

「ちゃんと、戦えるだろうか」

 伝説を目前として、自分は戦えるだろうか。

 瑠璃は途端に不安に襲われる。


「いや、戦わなくてはならない。戦わなければ生き残れない」


 瑠璃は自分に言い聞かせ、髪を結いなおし気合を入れる。


「悪いな、シルバ。今度は勝たせてもらうぜ?」

 記憶の中のシルバにそう告げ、標的の住処へと向かった。

 

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