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第1話 プロローグ

京都府立武山(たけやま)高等学校。地元の中学生の多くが進学する公立高校。その学校内では高校生らしく多くの生徒が青春を謳歌していた。1人の人間を除いて。

新谷晴翔(しんたに はると)。ボサボサの髪、根暗、ガリ勉、メガネ。いわゆる「陰キャ」と呼ばれる人種だ。高校に入学してからも常にスクールカーストの最下層に位置し、友達などいない学校生活。同じ中学校から進学してきた人も多いのに俺の存在を覚えている奴も少ない。自己紹介の時も同じ中学校の奴らにさえ「こんなんいたっけ?」と言われる始末だ。ほとんどのクラスメイトが俺の事を陰キャであると認識していただろう。


ーシニアで野球をやっていた人間を除いて。ー


 体験入部も終えて多くの1年生が入る部活を決め、入部の挨拶をする頃。俺は重々しい野球部の部室へ立ち入った。

野球部の部室はこんな陰キャに似つかわしくない空気だ。"本来ならば"。

ただ、中学シニアで野球をやっていた人間ならば、俺のことを知らないはずがない。そう自負している。"才能に満ち溢れた選手"として広く名の知れたプレイヤーだったからだ。

「新谷晴翔。西山中学校から来ました。ポジションはピッチャーとショートです。お願いします」

そう簡潔に自己紹介を終えた。部室内はどよめきに満ち溢れた。


なんてことはなかった。

今までの条件を揃え、強豪校に入っていたのならばどよめいたかも知れない。歓迎されたかも知れない。でもこの高校は甲子園も出たことのないような弱小校だ。なぜ俺はこのような弱小校に入ったのか。元々全国各地の強豪校からスカウトは来ていた。しかし同じシニアの親友が「武山に入る」と言っていたので俺も入ることにした。俺がこの弱小校に入った理由はそれだけだ。だからこそ歓迎なんてされない。むしろ軽蔑されていた。それも当然俺は見ればわかる"陰キャ"だったからだ。

「なんやこいつ」「こんなチー牛にピッチャーできるんか?」

部室内の各所からそんな声が響き渡る。


「お前ものすごいチー牛言われとるやん、さすが自称陰!」

急に失礼なことを言い出したこいつの名前は原田爽輝(はらだそうき)。中学校時代同じシニアでプレーしていた親友だ。

こいつは俺とは違って友達も多い陽キャだ。高校に入ってからもすでに大量の友達を作っている。さらに推薦で学級委員長も務めているらしい。ついでに言うと彼女もいる。それでありながら俺を武山高校に誘った張本人だ。

そんな原田も野球部に入部している。仲間はいるので居心地最悪ではないのでいいだろう。

そんなわんやかんやで野球部への入部は完了した。これからの俺の学校生活はどうなるのか。部活動はどうなるのか。

普段は陰キャ、部活ではその皮を剥ぐ!二面性陰キャの高校生活はスタートしたばかりだ!


続くと思う

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