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最終章:微笑みの真実
王妃ヴレンダは王位をはく奪され、幽閉され、代わりにキャサリンの父は無実が証明されて釈放された。
グレイブリー家は名誉を回復し、国は改革へと向かう。
ディランはキャサリンと結婚し、彼女は新たな王妃となった。
だが、彼女は宮廷の儀礼を嫌い、城の庭園で一人、本を読んで余暇を過ごしている。
ある日そんな彼女のもとに、カインが現れた。
「約束を、果たしてほしい。君の、本物の笑顔を僕に──」
キャサリンは読んでいた本を閉じ、それをテーブルに置くと、ゆっくりと顔を上げてカインに顔を向ける。
風が髪をなで、夕日が彼女の顔を照らした。
そして──初めて、心から笑った。
小さな、けれど確かに温かい微笑み。
「……どう?」
「君は……悪女じゃ、ないね」
カインも微笑みを見せた。
「ただの、美しい女性だ」
キャサリンと言う名の、悪女令嬢の物語は終わり。
真の自由を手にした彼女の物語が、今、始まった。
THE END