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第五章:反逆の夜
ヴレンダは、ついに動いた。
王宮に兵を送り込み、クーデターを起こす。
「王太子は洗脳されている! キャサリン・グレイブリーを処刑せよ!」
だが、キャサリンはクーデターが起こる事を予期していた。
カインの情報で、すべてを把握していたからだ。
彼女は王宮の広場に立ち、国民の前で演説する。
「私は悪女と呼ばれてきた。でも、真の悪は──」
証拠をすべて公開した。
税金の横領、暗殺の依頼、国王への毒の試行。
民衆は怒りにうち震える。
兵士たちも、王妃の命令を拒否し始めた。
ヴレンダは、城のバルコニーから、キャサリンに向かって叫ぶ。
「キャサリン! なぜそこまで! 私たち、友達だったじゃない!?」
「友達?」
キャサリンは初めて、偽りの微笑みを解いた。
「あなたが私の家を滅ぼし、父を牢に閉じ込め、母を殺したその日から──私は、友を失ったの」
そして、静かに言った。
「復讐は、完了したわ」