第8話/風の丘ルーラーズレイド
今日も今日とて夜投稿。
さて、今回もまた、楽しんでくださいませ
少女に手を引かれて朱に染まった世界を抜けて、青空が広がる場所へ。
私の旅の1ページ目。風の丘ルーラーズレイド。
気持ちのいい風が吹くこの街は風に見守られ、風と共に生きる人が暮らす。
そして此処は自然との調和が何よりも重要視されているために、大きな商会などはなく。街というよりは村、集落に近いらしい。
風の丘へと歩く最中に少女。フゥからそのような事を聞いた。
確かに最初に大きな街に行くよりも、こういう場所の方が落ち着く。師匠に心の中で感謝しつつ、街の中へと入っていく。
「じゃあ、私は此処で!宿は向こうにある紫風の夜亭がご飯が美味しいしオススメだよ!」
「ありがとね、フゥ。暫くは滞在すると思うし、また会いましょ」
「うん!またね〜!」
そう言ってぶんぶん手を振りながら去って行く彼女を見ながら、私は教えてもらった宿へと歩いて行く。
「えーっと…紫風の夜…此処かな?なんか…宿…?」
宿というよりは、一軒家っぽい感じがする外観で、しかしきちんと紫風の夜亭と書かれている。
「まぁ、入ってみよう。何事も経験ってね」
カランというベルの音を響かせながら、宿の中へと入って行く。するとまず目に入るのは少し古めのカウンター。そしてそこで本を読んでいる男性
「ほぅ客か」
本をパタリと閉じて、こちらを緑色の瞳で射抜いてくる。
おおよそ客商売をやっている風体ではなく、むしろ歴戦の冒険者が見様見真似でやってみました。なんて雰囲気がある。
「えぇ、一名で、滞在期間は…色々見て回りたいし、1月ほどお願いできる?」
「おぅわかった。あーっと…食事付きなら合計で1000Rだな」
「びっくりするほど安いのね」
「あぁ、実際趣味みてぇなモンだからな。ほれ、宿帳だ。自分の名前を書きな」
「えぇ」
ドロップ・ラメリアとそう宿帳に書いた瞬間。景色が一変する。
「改めてようこそ。紫風の夜亭へ。歓迎するぜ?」
そういう言葉が遠く聞こえるほどに、圧倒される。
宿帳に書くのをトリガーとした隠蔽魔法の解除。
あの外観からは想像もつかない広さからも上位属性の空間魔法も使ってるだろう
元冒険者、なんていう想像は案外当たっているのかもしれない
そう思える程度の技量を目の前のヒトなのか、または別の従業員は持っている
「…凄いわねこれ。確かにここまでするってことは、ほんとに趣味なのかしら」
「あぁ。俺もアイツも、こういう隠れ家的な宿をやることが夢見てぇなとこがあってな」
「そうなのね、なんというか…びっくりしすぎて語彙を失ってしまうほどには凄いわ」
「ははっ。その顔が見れるからこういう仕掛けにしてるところもあるんだぜ?にしても、よく此処が宿だってわかったな?」
「あぁ、フゥって子から教えてもらったのよ」
「フゥってぇと、アイツか。また変なのと知り合いだな、おい」
「変なのって…元気だけどそんなに変かしら?」
「あぁ、人格とかの問題ではなく、単純にどうやって知り合ったのかって疑問だよ。アイツに会えるなんてことはそんなにはないはずだぜ?」
「まぁ、夕暮れの跡でちょっと助けたというか。そんなところなのよね」
「夕暮れ…あぁ、あそこってことは。レイタールあたりとでも当たったのか。そいつくらいしかアイツが苦戦する要素はねぇからな」
「レイタール?あのスライムみたいなやつの名前そんなのなのね」
「あぁ、めんどくせぇ相手だが。属性攻撃手段があれば問題ねぇ奴だな。錬金術士なら楽な相手だろうよ」
「あ、やっぱり見抜かれるよね」
「まぁ、魔力の質的にな。全身魔道具で埋まってるわけでもなさそうだし、結構階位としては低い部類か?」
「えぇ、錬金術士としての階位はまだ5とかね。一応、時間はかかるし裏技も使って上位下級のポーションなら作れるけど」
「ほう?まぁ、色々と面白れぇ奴らしいってのはわかった」
「そう?」
「おう。現役時代にも時たま見かけた自分の世界を持ってるやつの雰囲気だ」
「そう言ってくれるのはうれしいわね」
「お話は終わった?そろそろ部屋に案内しようと思うのだけど」
そう言いながらすっと私の近くに女性が現れる。
気配も何も感じなかった。彼女もまた元冒険者なのであろう
強者特有の雰囲気を纏っている。
「あぁ、わりぃな。久々の客だったからちょいと話し込んじまった」
「私も色々話したいんだけど…あぁ、主人が失礼しました。お部屋に案内しますね」
「いえ、私も楽しく話せたので。では、お願いします」
「では、フゥさんのお知り合いというのもありますし、少々いい部屋にしましょうか」
「いいんですか?」
「えぇ、代わりと言っては何ですが、私とも色々とお話してくれると嬉しいです」
「それは是非。私も色々聞きたい事とかはあったりするので」
「ふふっ。ではこちらになります」
そういって案内された部屋はいっそ呆れてしまうほどに豪華だった
「……」
「鍵はこちらにあります。外出の際は主人か私に預けてくださいね」
「あ、えぇ」
「食事は朝昼夕と出しますけど、要らないときはこのベルを鳴らしてから、要らない分をベルへと喋りかけてください。」
「わかったわ」
「それでは、失礼しますね。どうぞゆっくりとなさってくださいな」
そういって綺麗な一礼をして、ぱたんと扉が閉まる
「……これが都会…いや、なんか違うわね…」
そんなことを言いながら、備え付けられているベッドへと横になる。
長旅というのもあり、ちょっと疲れていたのか。そのまま眠りについた
今日もまた、楽しかった。ご飯も楽しみだな。なんて思いながら
というわけで、会話回でした。
Tipsで書くことがそんなにないですね。
うーん…まぁ、あとがきまで見てる人は早々いないと思うので、いいかな?なんて思いながら。
それでは、今回も読んでいただき誠にありがとうございます。次話もお楽しみに。