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第2話/初めての冒険

閲覧ありがとうございます。

ちょっと早めの第二話です。

毎日投稿は出来ないですが、20話くらいまでは早々に投稿したいなぁ


シルバーボアの討伐を受け、村を少し離れたところにある時紡ぎの森。

最奥には未だ辿り着いたものはいないと言われている森へと足を踏み入れる。


時たまここに居る魔物が村の周囲に出てくるということで間引くために森の浅いところまでは探索が許可されている。


「んー…っと。よし、こっちかな」


動物の足跡を辿り、森の外周を探していく。

地味な作業ではあるけど、こういう作業こそ自分の身を守り、また思わぬ拾い物が出来たりもするから面白い。


「あ、トルネの葉だ。回収しとこっと。あとは〜…お、こっちにはライトベリーにセイランの花まである。…冒険者から買い取るより品質もいいし、今後もやっぱり冒険に出るのはアリかもなぁ」


そうやってポーションの材料や、光々石の材料などを採取しながら進んでいく。


「…っと。この草の倒れ具合、シルバーボアの縄張りに入ったかな」


少し息を整えて、感覚を研ぎ澄ませる。


「………やっぱ熟練冒険者から聞いたことは当てにならないな」


気配なんてものがわかる訳もなく、道具を一つ取り出す


「ここらでいいかな…ほいっと」


彼女がソレを放り投げ、地面に落ちると同時に模様が浮かび上がる。


「んー…と、現在地がここで…生体反応があるのがここ…巡回ルート的には…右斜め前だね」


地面の模様、地図を眺め、行く先を決める。そしてその模様のちょうど中心に手を当てると、その模様は消えて、元の草花が生い茂る場所へと戻っていた


「…よし。きちんと作れてたっぽいね。じゃあ、進もう」

そうして少し歩くと、獣の争いの音が聞こえてくる

「………(さて、どうしたものかな。漁夫の利を狙うのが一番ではあるけど、どんな奴なのか見とくのもいいかもしれない)」

「……よし、覗こう」


そっと地面に落ちている枯れ木などに気をつけながら争いの様子を覗く。

そこにいたのは普通より少し大きいシルバーボアと、白銀の毛並みを持つ小さな狐。どうやら狐はシルバーボアに押されているようで、傷が多量についている。


「……ある種自然の摂理だから割って入るのもっては思うけど…討伐対象が相手って考えると…」


少し考え込んでいると、銀狐が突進により吹き飛ばされる。そして、その銀狐が宙に舞っている時に、フッと目があった


「………あぁもう!諦めた表情が気に食わない!」


そう言いながら杖を取り出し、詠唱を始める


「アル・ヴェライヴス・ピルス/アクアランス!」


自身の最大火力魔法をまず叩き込む。


「ピギィ!?」


少し間抜けな悲鳴が森に響き、瞬間、銀狐を庇うように前に出る


「前線は得意じゃないんだけど…!アル・ヴェライヴス・シエラ/アクアエンチャント!」


魔法の完成と同時にシルバーボアが突っ込んでくる。軽くなった身体を捻り、回避を行う。


「っつぅ!」


強化に慣れていない…いや、動体視力が追いついていないのか回避が遅れ、攻撃が掠る。


「…魔獣一歩手前ってとこ?やんなるなぁ…」


明らかにシルバーボアの火力じゃない攻撃、それでいてこの命中精度。掠っただけでコレなら、直撃したら…

恐怖で足が止まりそうになりながら、口に仕込んでいた下位中級の丸薬を飲み込み、シングルアクションの魔法を数発叩き込む。


「っとと、危ないなぁもう!」


返しでの突進をさらに回避しながら、詠唱を組み立て、狙いを定める


「動きはもう鈍い…マナもそろそろ限界…なら…ちょっと賭けにはなるけど、やろう。アル・ヴェライヴス・ピルス/アクアランス!狙いは…喉っ!」


突進してくるシルバーボアの喉元にすれ違いざま水の槍を突き刺す。

赤い花が咲き、しばらくして、ドスンという音と共にシルバーボアが倒れ伏す


「………ふぅ。おしまい。あの狐は…」

「くぅ…」

「怯えちゃってるか、無理もない。んー…まぁ、ボアの討伐は終わったし、これ以上連戦もしたくない。最後っ屁でやられかねないしね。」


そう言いながら、シルバーボアを解体していく


「ん、おしまい。…あれ?まだいたんだ、って…あー…体力が足りてないのか…」


少しの逡巡の後、ポーション瓶と持ちきれないシルバーボアの肉を置いて行く


「まぁ…人間の勝手なエゴだし、いらなかったら土に還るから、放置して。なんて…言葉わかんないか。じゃあね」


そう言いながら討伐の証の牙を持ち、森を抜ける。


「疲れたぁ…でも…こっから中位中級も作らなきゃだ…冒険に出るの明日にすればよかったかなぁ…」


独り言をポツポツと呟き、茜色に染まった空を見上げる。


「ただまぁ…うん。楽しかったな」


日常から外れた非日常だった。自らが望んだ非日常だ

お金をもっと稼ぎたい。そんな邪な気持ちがあったのはある。

けれど。退屈な日々。平穏な日々にも満足はしていた。

なのになぜこんな非日常に足を踏み入れたんだろう?

なぜ旅なんて出たいと思ったのだろう?

退屈な日々はソレなりの楽しさがあった。けれど。何かが違うと思っていた。


「あぁ…そうか。私は村人Aじゃなくて。商人Bでもなくて。主人公になりたいんだ」


ようやく腑に落ちた。自分の目指したいものを見つけた。


「世界を見てまわりたい。美しいものを見たい。うん…そうだ。だから」



「私は旅に出たいんだ」



決意を新たに朱に染まった世界を歩く。

この美しい世界を歩いていく。

私の旅は。ここから始まるんだ

読んで頂きありがとうございます。

魔法なども出てきましたね。

このようにある程度の魔物とは前線で戦える子ではありますが。普段は魔法や、道具を使った戦闘を行います。

…戦闘描写って難しいですね!


Tips魔獣

魔力を一定以上備えた動物。普通の動物にはない特徴を持っていることが多い。いちばん多いのが巨大化だが、小型になるものもいれば、魔力角などが生えてくるものもいて、千差万別である。どのような特徴を持っているにせよ、普通の動物よりも知能があがり、魔法すら使ってくることがある。魔獣が一定の力を得ると神獣や獣王へと変化する。今話に出てきたシルバーボアは動物/害獣に値する魔獣への変化途中の姿。

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