第15話/死闘
すっっごく遅れました!!
戦闘描写が書けなくて書けなくて…結局そんなに戦闘描写を入れずに終わってしまった…
もう少し描けるようになりたいなぁ…なんて思いながら。
それでは本編をどうぞお楽しみくださいませ
龍の首が落ちた瞬間。空気が変わる
「あと30秒。畳みかけるよ~!」
そう言いながら羊の首を殴りながら、離脱する。
離脱すると同時に先ほど居た場所に獅子の首が噛みつく
「当たらないよ!」
蝶のように舞い、連撃を入れてまた離脱する
それを続けていき、2つの首に均等にダメージを与えていく
キマイラはそれを見て、回避行動をやめた
「グルルァアアアアアア!!!」
「…っ!」
攻撃を受けたと同時に獅子が咆哮をして、至近距離でソレを聞いて一瞬ひるんだフゥに羊頭が突進で角を突き刺してくる
「ったい!?」
「フゥ!大丈夫!?」
「まだ大丈夫…!大分持ってかれたけど…動きに支障はないよ!それよりも攻撃優先!」
「オッケー。そろそろかな…フィンク・ヴェライヴス・ピルス・クエティア/ウォーターカッター!」
龍の次は羊頭を落とす。
あと大体15秒。このままの調子なら行けそうだ
なんて思いながらまたウォーターカッターを準備する。
「ぐるぅ…」
「んー…ま、ごめんだけど。私達も死にたくはないし、まだまだ行くよ」
そう言いながら残った獅子の首を殴り、反撃を避け、首を絞める
「よしっ!これでオシマイかな!」
「あとは人間形態だけだね」
詠唱を終え、ウォーターカッターを放ち、獅子の首を落とす。
すると落ちた首が消えてキマイラの近くに出現し、胴体に吸い込まれていく。
3つ目の頭が吸い込まれていった後に光に包まれてキマイラの身体が縮小していく。
その間にフゥのダメージを回復するために下位上級を飲ませて、自分はマナ回復のポーションを飲む。
「…………」
光が消えていき、現れたのは金の髪に赤と白のメッシュが入った長い髪を持つ赤と金の瞳を持つ少女だった。
「…おなか…すいた」
言語理解があるから喋れるのだろうとは思っていたが、実際に喋り、感情を声に出す姿を見て、これからヒトを殺すのか、と思ってしまう錯覚を覚える。
相手は魔物であり、敵だとわかってはいるのだが。
それでもヒトガタの敵で、喋る存在と会うのは初めてだった。
「……なんというか…気が抜けるというか…」
「うーん…まぁ、でも気は抜けない相手ではあるよね」
「ステータス半減があるけど、的が小さくなったっていうのがあるからね」
「ん、それだけで厄介かな。なんなら…多分知能も上がってる」
「だよね」
「さっき大きいワタシを倒したニンゲン」
「……」
「オマエたちだ。名前は?」
「…あー…ドロップよ」
「フゥだね」
「そうか、ドロップ。フゥ。ワタシはメイリル。星屑の洞窟5層守護者のキマイラだ」
「…そう」
「あー…そうだな。ワタシは確かにオマエらと敵対する。実は今は多少しすてむ?をゴマカシて喋ってるんだ」
「………なるほど?」
「続けて?」
「さっきワタシを殺しただろ?ソレで今は生きてる。で、しすてむ騙しってトコだ。だがまぁあと5分ってトコか?」
「で、頼みがある。あそこまでワタシの動きが読めてるってことは鑑定持ち。ここまではあってるか?」
「えぇ」
「よしよし。なら、簡単だ。ワタシを呪縛から解放して欲しい。その匂い。世界樹装備だろ?ソレで蘇生してほしい」
「……メリットは?」
「むぅ…まぁ、そっちに聞いてるんだが、いいか。メリットとしてはワタシがナカマになるぞ!」
「………うーん」
「なっ!?なんで悩む!ワタシは役に立つぞ!今はゴハンが100年くらい食えてないからチカラが出てないだけだ!ある程度のレベルの隷属効果までは受ける!魂レベルはゴメンだが、主人を殺せないだとか逃げられないだとかのヤツはつけていいぞ!」
「いやまぁ。全然大丈夫ではあるんだけど。なんというか…」
「はっ!まだタリナイのか…?でもこれ以上出せるもの…あっ!ワタシの技能をオマエに教えてやる!見たトコロ錬金術士だろう?結構役立つのが多いぞ!オマエは…オマエもなんだかんだチカラがあって困ることはないだろ?」
「まぁ。そだねぇ」
「だろ?最悪従魔契約を結んでもイイ。ソコマデの縛りなら問題ない!今ならまだ意識もあるからコントラクトで縛れるだろう?」
「………そうね。いいわ。いいよね、フゥ」
「ま、ここまで愉快なコだとソレはまぁいいんだけど」
「ヨシっ!じゃあ、コントラクトを結ぶ。錬金術士。こっちに来い」
「……えぇ」
「そっちからかけた方がイイだろう。頼んだ」
「じゃあ…コンタクト・クラン・コンティラート/コントラクト」
「ありがとな。あぁ、そうだ。コッチでも戦う事にはなる。ソッチから殴られるか時間経過でだ。鑑定はしておくとイイぞ。多少変わってるトコがある。死亡条件も変わってるカラな。バフも改めて掛けておけ」
「…オッケー。あとは何かある?」
「契約したらとりあえずゴハンが欲しい…」
「………わかったわ。どっちとってのは希望はある?」
「ナイぞ。好きにしてくれ」
「じゃあ…鑑定」
“種を凌駕せし合成獣”メイリル(トランセシスキマイラロード)LV50
メイン:合成獣
サブ:-
スキル:飛龍,人化【真】,捕食,限定不死
武技: なし
技能:言語理解
パッシブ:斬魔,魔炎,炎王,星炎,大罪/暴食,喰らいし者,迷宮に囚われし者,ボスエネミー
魔法:混成式,陽6,星2,炎10,土10,無10
炎王/自身の炎属性またはその上位属性の効果を100%上昇する
星炎/自身の星属性またはその上位属性の効果に炎属性を付与し、その効果を50%上昇する
大罪/暴食/自身が過去に喰らったことのある存在の使っていた能力を使用する(飢餓状態、又はソレに類する状態でのみ使用可)
喰らいし者/自身が過去に喰らったことのある存在のステータス分を上昇する。飢餓状態に陥りやすくなる
限定不死/特定の条件を満たさないと死亡しない
・首が落ちている
・心臓が潰れている
・胃袋が失われている
・自身の一部が食べられている
「なるほどね」
「お、見れたか?」
「えぇ、ところであなたはまぁ…」
「飢餓状態だな」
「よね。んー…じゃあ。ハイこれ。携帯食料だけど…味は悪くないと思うわ」
「助かる!!!」
「こっちからしても助かるしね。とりあえず。バフかけてる間は食べといて」
「ふぁかったふぉ!」
「………で、バフって言っても…そんなかけるものもないのよね。先制攻撃のことも考えると…」
「そだね。とりあえず、無属性バフも貰っていい?」
「いいよ」
そう言いながら5つほどバフをかける。そしてマナ回復のポーションをクッと飲んで。キメラ…メイリルが食べ終わるのを待つ
「………ふぅ。久々にモノを食べたわね…ありがとう。タベタイっていうので理性を失う寸前だったの。あと少し遅かったら多分もうダメだった…感謝するわ」
「それはなによりね。で、こっちは終わったわ」
「そう?なら、始めましょう。初手は避けないし、首を切るところからスタートする?ソレとも心臓?」
「んー…同時で」
「あら、欲張り。じゃあ、お願いね」
メイリルが目を閉じて、攻撃を受けるのを待っているのを見て。ウォーターカッターの詠唱を行う。
「じゃあ…いくよー?」
「フィンク・ヴェライヴス・ピルス・クエティア/ウォーターカッター!」
「……迅撃」
ウォーターカッターとフゥの拳が同時に命中する。
首が落ちて。心臓が抉り出される…筈だった
「………タリナイ」
「もっと…タベル」
フゥの拳はメイリルの心臓を確かに掴み取った、だが。首は落ちない。
火力不足か…?いや、だがこの弾かれた感覚は…
「ゴメン!ちょっと私の攻撃が早かったっぽい!」
「了解、なら今のうちにソレを一口でいいから食べ…の前に鑑定!」
☆8メイリルの心臓
様々なモノを食べ、強化された心臓。食べると毒、麻痺、泥酔、呪いのバッドステータスが付与される
錬金術に使用すると〜
「割愛!とりあえずソレダメっぽいから握りつぶして!」
「りょーかい!じゃあ次は胃袋狙っとくね。頭も落ちやすいように殴っておく!」
「オッケー」
「…合成術式起動。プラミアルナ/シュテルメリア:陽星魔法」
「ミル・ライン・ラミアシュテル・フォルス・シュテルライト・カヴァル・ヒートライド・プラミア/プロミネンスノヴァ」
相手の魔法の詠唱を妨害しようと胃を狙い撃ち潰して、私もウォーターカッターを首に何度か当てたが、止まる気配はなく
詠唱が完成すると同時に。フゥと私はどうしようもない絶望を見た
「…わぉ。あれって」
「太陽…?」
小さい太陽が2つ。上空に浮かんでいる。
「アレは矢避けしても多分…」
「うん。余波でキツイと思う」
「で、私は私で札がない…とりあえず。直撃だけは避けないと…!」
完成した太陽は一人一つずつ投げられ、全力で回避を行う。
目を焼く閃光。暴力的な熱。喉を焼く苦しみ。様々なモノが襲い掛かり、ソレを持っていたポーションを何本も消費して、耐える。
閃光が消えて、まず目を回復。次に喉
喉の回復を待つ間に、目に映るのはフゥの足が溶けるように燃え尽きていること。そして私の違和感の正体は腕一本の焼失。
失うということを再認識し、痛みが加速度的に増える。叫びそうになる。だが、叫びは思考を遅らせ、新たな隙となる。中位中級を飲み、腕と足を生やす。その間にメイリルの様子を伺う。
「…………」
なにを言っているのかは聞き取れないが、魔法の詠唱をしているということだけはわかる。
回復待ちの間にイヴスヴァイトを2つ投げつけて、同時にフゥに中位上級の丸薬を投げ、口に含ませる
次に飛んで来た時に即座に飲めるように
私も口の中に中位上級の丸薬を含み。次の攻撃を待つ
次は単純な陽魔法らしく、回復なのだろう。メイリルの傷が塞がっていく。
少しホッとしながら、フゥの持っていた焦げた胃袋を鑑定。
☆9メイリルの胃袋
どんなモノでも食べることのできる胃袋
食べると1度のみあらゆるダメージを0にすることができるが、0にしたタイミングで飢餓状態に陥る。
錬金術に使用すると〜
飢餓状態/最大体力が半分になり、行動系の能力が半減され、物理攻撃を行うたびに体力が減少する。
「………なるほどね。フゥ!ソレをこっちに投げて!」
「りょーかいっ!」
投げられた胃袋を掴み、乱暴に齧る
「うぇ…」
あまりの味の暴力に吐き気を抑えながら、条件を思い返す
「あと一個…だけど首が落ちない…っ!」
「んー…よし。ここまでくれば一回も二回も同じ…かな。救援も来たけど、入れないっぽいし」
ボス部屋の手前には宿の亭主と女将さんがいて、少し心配そうに此方を見つつ。空間魔法を用いての突破を試みているらしいが、まだ時間はかかるだろう
「ねぇ、ドロップ。ちょっとだけでいいから、目を閉じて欲しいな?」
「………わかったわ」
「ありがと」
目を閉じ、世界が暗闇に閉ざされる。
「…使うつもりはなかった。長からは怒られるんだろうなぁ…でも」
「……風よ」
その声が聞こえると同時、音も消える。完全に何もない世界が広がる
30秒ほど経っただろうか。ふっと音が戻ってくる。
「目、開けていいよ〜」
ゆっくりと目を開け、あたりを見る。
するとそこには全身が切り刻まれたフゥと、その傷と同じ位置に切り傷がついており、息も絶え絶えな姿になっているのが見えた
「フゥ…?」
「んっ。とりあえず、言いたいことはあと。断ち切ってくれる?」
「…わかったわ」
そう言いながら首を落とす。
なんとか終わった…どうにかはなった…
そう安心していると、女将と亭主が駆け寄ってくる
どっと疲れ、目を閉じそうになるが、メイリルとの約束を思い出す。
「フゥ。お願いしていい?」
「んっ。魔力が足りないから。マナ回復と…あとは回復系のポーションもらっていい?出来れば高ランクの」
「…ま、お守りを渡しても問題はないかな」
上位下級とありったけのマナ回復のポーションを渡し、様子を見守る
「…カレイドルーラー。世界樹よ。そのチカラを貸して」
ふわりと優しい風が舞い、メイリルを包む。
そして、何処からか雫が落ちる音が聞こえ、メイリルが暖かな光へと包まれる
死者の完全な蘇生。その奇跡を今見ている。
ソレは美しく、けれど冒涜的で
二度と見たくない/引き込まれる光景だった
読んで頂きありがとうございます。
というわけで!メイリルちゃん仲間入りです!
結構ライブ感で描いてるというのもあって、たまーに気に入った子とかが居れば仲間になったりはしますが、完全固定の仲間はそう多くはなりません。
多くて四人くらい?
でも、その仲間とも別れはあったりするので…
出会って。別れて。また会って。ソレこそが旅の醍醐味だと思うのです。
さて、長々と後書きを書いてもですし、では次回。お会いしましょう




