第12話/ダンジョンハック
隔日投稿になってしまっている。申し訳ないですね
さておき、更新です。
どうぞゆるりと楽しんでくださいな
杖を作り終え、ポーチに入れていたマナポーションを3本ほど飲む。
「んっ…ふぅ。さて、なんか此処セーフルームみたいなものなのかしら。一向に敵が来ないわね」
「気配もない。ただ、少し先でプツッと切れた様に風でも、気配でも読めないんだよねぇ」
「まぁ…とりあえず進まないことには話が始まらないし、進みましょう」
「了解〜」
そうして歩くこと1分ほど。
不自然な階段を見つける
「階段…ってことは…」
「不自然な気配のなさにも納得がいくね。ダンジョンか〜」
ダンジョン。世界各地に突然現れて、人に害と益をもたらす場所
大きな特徴としては、どのダンジョンであれ、暫くすれば魔物が復活するところにある。
そして、復活すればするほど、ダンジョンの広がりが遅くなる。と言う話だ
そしてもう一つ。ダンジョンにはいわば裏面の様なものがあり、そちらを突破するとコアが手に入ると言うことと、それを手に入れればダンジョンは自壊するということ。
そして裏面は当然表面より数倍酷い難易度をしてると言うことくらいだ
「…割と規模大きそうかもね」
「そだねぇ…少なくとも入り口にあんなのがあるくらいだし。50階層は覚悟したほうがいいかな」
「んー…なら行っても10層までにしましょう。それ以上は多分私達の手に余るわ。10層まで行けば、ダンジョンの傾向も分かるでしょうし」
「りょーかい。それじゃ、ゴーゴー!かな?」
「えぇ。行きましょう」
ダンジョンには5の倍数桁と、最終階層にボスモンスターがいる。
そして、それを討伐したら地上へのショートカットが出現する。
そして、次来た時も魔力をダンジョンの入り口にある石板に込めると、ショートカットを開通したところから始められると言う感じだ。
「…本当に石板あるわね」
「星屑の洞窟…推奨階位は…読めないか」
「とりあえず、魔力だけ流しちゃいましょう」
「んー…私はそれ出来ないんだよね、体外に魔力を放出させることができなくって」
「あー…そう?まぁ。一緒に飛べばいいか」
「うん。助かる」
「さて…」
魔力を流してから周囲を見渡すと、そこは星空平野の様に満天の星が煌めく空間。
ただし星空平野と違うのは、月が3つあると言うところだろうか。
「月系の魔物が多そうだねぇ。あとは星空に出てくる敵も出てくるかな?」
「運命干渉系の敵か…面倒ね」
「まま、大丈夫でしょ!いくら干渉してこようと使い続けることはできないのが大半だしね!」
「それもそうかな。さて…どう出てくるか」
そう言いながら警戒をしつつ先へと進む。
そうしているとフゥが戦闘態勢に入り、それをみて私も杖を構える。
「数は3。気配的には階位はそう高くはないかな?魔力は温存して欲しいから、バフだけもらえる?」
「了解。高くないならシングルでいい?」
「おっけぇ」
「シエラ/エンチャント」
シングルアクションの魔法を唱えると同時に、フゥの姿がフッと消えて、そのまま戻ってくる
「無属性とはいえ魔力さえ纏えばこんなものだよね!」
少しはしゃいだ様子でリチュアスライムの核を持ってくる
「おぉ…流石…ボス戦まではフゥに任せてもいいかもね」
「そだね。あ、スタミナポーションだけあれば貰える?」
「了解。じゃあこれ。6本くらいあれば足りるでしょ」
「助かるよ〜」
そう言いながら1本を早速飲み干し、先へ進む
1回層目は階位5までの敵が出てくるらしく。文字通りワンパンで終わった。
問題はその広さにあった。平原から階段を探し当てることのなんと面倒なことか。
少しずつ地図の魔道具を使用してようやく見つけた。
次回来る時はもっと楽に1階層はいけるが。自身が行くことはまずないというフロントランナーの悲しみではある。
素材も1階層ではそこまで美味しいものはなかった。
続く2,3階層は入ってきた時の様な洞窟。
少し狭いため、剣などの武器を使用してだと厳しかっただろうけど、こちらは拳と魔法なので、此処も簡単に突破。平原より階段も探しやすかったため、こちらの方が楽だった。
出てくるモンスターはコボルドや、ゴブリンの上位種だったため、ある程度袋叩きにされないための工夫は必要だったけど。
続く第4階層は洞窟を綺麗に掘り進め、整備された研究施設の様な場所。
「此処まですっごく順調だよねぇ」
「まぁ、相性がいいのかも。でも3階層で出てきたのはコボルドニンジャライトとゴブリンジェネラルステラ。階位にしてみれば7はあるわ。私が戦ったことがあって。死にそうな思いをしたのが階位8。余計に慎重にいかないとね」
「まぁ、私は自力でも階位11くらいまでならいけるから。13までは大丈夫じゃないかな?10階層までって言ったけどこの状況だと5階層で戻った方が良さげかもね」
「うーん…確かにそうかも。まぁ、ボスと戦ってから決めましょう」
「それもそっか。じゃあ…」
そう言いながら研究施設を進んでいく。
正確には研究施設風の場所だが。
此処にある薬の大半は滅茶苦茶な配合だし、研究資料もパッとみたが白紙も多ければ内容も大分おかしいところが目立つ資料。
けど、こういうのこそリドルに使われる事があるから回収だけはしておく。
「んー…なんだろう。魔族と人間とかの交配実験とか…そういう系統が多いね」
「こっちはキメラだって。これ5階層のボスってそれこそキメラだったりするのかな?」
「可能性は高いでしょうね。割とキツそう」
「いやまぁ、大丈夫だとは思うけどね〜」
「キメラって最低でも階位10よ。相性はまぁ悪くはないと思うけど」
「大丈夫いけるって。まぁそれよりも…階位10クラスが5階層に出てくるのがおかしいんだけどさ」
話している間にも進んでいく。
すると少し変な間取りの場所を見つける
「これって…」
「ん?どしたの?」
「間取りが変だなってね。ダンジョンではこういうのは起こり得るのかもだけど。でも隠し部屋とかがあったりするかもでしょ?」
「あー…ちょっと風を詠むかぁ…風の魔法、1階位でもいいから行ける?」
「1ならまだなんとか…?」
「お願いしてもいい?」
「了解?アル・ウェンディグロウ・リアイン/風よ舞え」
「…こんな感じだけど…なかなかどう?」
「………うん。隠し部屋あるね。これ。こっちに不自然な風の流れがあるよ」
「おぉ…じゃあ行こう」
「了解!」
そんな感じで隠し扉を見つける。幸いにも罠はなく、回転式の扉の先には、小さな宝箱がポツンと置いてあった
「宝箱…?」
「んーっと…罠も鍵もないっぽい?開けれそうだね」
「ならまぁ…開けてみましょうか」
ぱかり、と開けてみて中を覗き込むと、一つの小さな白玉が入っていた
「……白い玉…え?」
「わーお…隠し部屋に隠すだけはあるね。コレ。というか。これ5階層目突破すら無理じゃないかな?少なくともあと二人は必要じゃない?」
「………そうね。こんなものがある場所。どうにもならないわ」
そう、私は主人公になりたい。
だけど。真の意味で主人公にはなれない。
私は…ただの錬金術士。
運命なんて思い通りに回らない。
人を巻き込むカリスマもなければ
何か特別な能力があるわけでもない。
だから…引き際は。それだけは考えないと。
「でもまぁ、さておき。中身が気になるわね」
「わかる!使ってみて!」
「え…いいの?」
「まぁ、単なる同行者だから。って理由だけじゃ納得しないと思うし。言っておこうかな。魔力を外に出せない理由にも関わってくるの。で、此処から先は秘匿事項が関わってくるんだよ」
「あー…なるほどね。なら遠慮なく」
パリン。と音を立てて、白玉を割り、モヤが噴き出す。
そして私を包み込み、脳内に文字が浮かび、目の前に投影される
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以下から1つ選択
スキル:鑑定
スキル:融解
スキル:毒身
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「……ヤバいのが来た。しかも選択制」
「わーお…で、択はどんな感じ?」
「鑑定。融解。毒身だって」
「毒身はやめた方がいいだろうね。融解か鑑定かな?」
「んー…鑑定にするわ。融解は錬金術士としての階位を上げていけばいいだけだしね」
「なるほどねぇ」
投影された文字を指で押すと、その文字が霧散し、同時に脳に情報が叩き込まれる感覚。
「…っ!」
そして、目を開ける。先ほどと変わらない景色映る
だが、感覚が告げるままに、スキルを使用する。
「【鑑定】」
最初の発動故に。誤作動が起きない様、声に出す。
ドロップ・ラメリア LV12
メイン:錬金術士
サブ:旅人,冒険者
スキル:鑑定
魔法:水5,土3,無3,炎2,風1
武技:該当なし
錬金術:6(+5)
そして、自分の実力をみて、再確認する。
あぁ。やはり私は足りないな。と。
読んで頂きありがとうございます。
今回は少しドロップの心情の深掘り、そしてドロップのステータスの公開ですね。
実はHPやらも決めていたのですが、そういうのを書くのもなぁと思い、簡易的なステータスを。
作中に出てきた白い玉はスキルオーブというものです。実はコレを取ることで大変困る人が出てくるのですが、それはまた先のお話。
感想など、待ってます