俺の妻は地球で星座を見たい
第四回なろうラジオ大賞参加作品第二十八弾!
五十年前。
俺は地球で死に。
なんと地球とは別の惑星の民に転生した。
そして前世の記憶を思い出し、転生している事実に気付くと、転生前の日本では異世界へと転生したりする小説が流行っていた事もあり「異世界じゃないんかい」とその場で思わずツッコミを入れてしまったのは今でも恥ずかしい思い出だ。
その場にはたくさん人がいたからな。
でもよくよく思い直すと、かつていた世界と異なる世界という意味では、今回の転生は異世界転生の一種じゃないかとも思えて……まぁなんやかんやで今がある。
「あなた、そろそろあなたが言っていた方の地球が見えますよ」
乗っている宇宙船の座席でウトウトしていると、妻が声をかけてくる。
俺が異世界転生者だと自覚し、ツッコミを入れた時にそばにいた幼馴染でもある妻には、俺にこっちの地球人としての前世の記憶がある事を伝えてある。
「こっちの地球にあなたが言っていた物があり、見える星座が一緒なら、あなたがこっちの地球で生きていた証明になりますね」
「なんだ、信じてなかったのか?」
「だって私達の地球では、あなたがいたという地球の事を認識してはいたけれど、あなたのいた地球の今の光景が私達の地球に届くのは五十万年以上後よ。あなたが亡くなった地球と、同じ地球かどうかの判別はできないわ。並行世界の地球の可能性もありますもの」
「……まぁ、そうだな」
二つの地球の距離は五十万光年。
光がお互いの光景を観測者の目に届けてくれるには、確かに五十万年かかる。
ちなみに、なぜどっちも地球と呼んでいるかについてだが、俺が今世で生まれた惑星も大『地』で出来た『球』だからだ。
「でもどっちにしろ楽しみだわ。文化や宗教や科学、その他諸々が私達の知るそれとは異なる惑星の時点でね。それにあなたの言う地球からの星座も見てみたいわ」
妻は星を見るのが好きだ。
というか異世界転生を自覚したその時、俺と妻と俺の両親は一緒に流星群を見るために、生まれた町の高台にやってきていた。
ちなみに俺が前世の記憶を思い出したキッカケは、その時の流星群である。
前世の俺も妻と同じく星を見るのが好きで、流星群を見るために高台に行ったりしたからな。
おっと、そうこうしている内に……ようやく宇宙船の窓から地球が見えた。
ああ、ようやく……ここまで来た。
地球の視察団に選ばれるまでの道のりは、長かった。
「ああ、やっぱり地球は……青い、な……」
そして、俺は――。
「……あなた?」
「おじーさま?」
「どうちたのー?」
「…………ごめんね、今はちょっと寝かせてあげて。とても良い笑顔で……眠っているの(´;ω;`)」
【没案】
「まだまだ死なねーよ?(゜Д゜)」
「「「うわぁ!?Σ(゜Д゜)」」」