表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即身像  作者: 面映唯
第一章
9/48

 窓を開けると、風が吹き込んできた。ババババっと鳴る風の音は普段なら煩いと思うはずだが、今日は違った。熱くなった頭を冷やしてくれるようで気持ちがよかった。麻村はレンタカーの運転席で、ハンドルを握りながら「あたまいてえなあ」とぼやいた。


「昨日あんなに飲みすぎるからでしょ?」助手席で(かた)(おか)がぶつぶつ言っている。うるせえ黙れよきもちわりい、思わず言いたくなったが、運転席の窓からは風が入り込んできていたため、その音で片丘の声はほとんど相殺されていた。


 麻村は昨日のことをよく覚えていなかった。べろべろに酔ったつもりはなかったはずなのだが、気づいたら朝になっていた。ベッドの上で目覚めたとき、隣には裸の片丘がいた。


 そもそもこの女は何なんだ――麻村が苛立つのにも無理はなかった。当初、六人で行くはずの旅行はこの女のせいで水の泡になってしまったのだから。後部座席に座っているはずの女性陣はおろか、助手席には和久井の姿もなかった。


 どうしてこうなった。


 麻村は、居酒屋に行って酔う以前までの記憶はあった。「かたおかでえーす」あざとい自己紹介が脳内に蘇ってきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ