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「ったく、アンタと私は一体いつから、そんな仲の良い友達になったのよ」


新島春香は自室で呆れ声をあげた。


「あれ、違いました?」


ルーは意外そうに驚くと、悪戯っぽく微笑んだ。


そんなルーの表情に、新島春香は「あーもう!」と自分の頭をガシガシと掻き回す。


「だったら私も『ルー』て呼ぶから!」


「全然いいですよ、ハルカさん」


ルーは嬉しそうに笑った。釣られて新島春香も仕方なしに笑う。


「ところで…」


そのときルーが、急に真面目な表情になった。


「そろそろ見つけましたか?」


「何を?」


新島春香が不思議そうな顔をする。


「あるハズなんですよ…眼鏡巨乳の委員長モノに、ツインテールのロリッ娘モノ」


「何の話をしてんのよ?」


「続けてますよね?ケータお兄ちゃんの()()()()()…」


「ちょ…バカッ!」


新島春香は慌てたようにルーの口元を押さえた。それから声をひそめてルーを睨む。


「アンタ何でそれを…」


「でも気をつけてください。ケータお兄ちゃんには気付かれてますから…」


「ウソ!?」


思わず大きな声が出てしまったので、新島春香は慌てて自分の口元を押さえた。


「そのせいでかなり巧妙に隠されていますが、必ず何処かにあるハズです。もし見つけたら私にも教えてください」


「ちょっとアンタ、ホントに何者?」


「だからエスパーですって」


「それを信じろと?」


新島春香はジト目でルーを睨みつける。


「ま、何でもいーじゃないですか」


ルーは「アハハ」と笑い飛ばした。


   ~~~


コンコンと新島春香の自室にノックの音が響く。


「はーい」


新島春香が返事をすると、部屋のドアが少し開いて新島咲子が顔を覗かせた。


「春香ー、もしよかったら、リースさんに夕飯も食べてもらったらどう?」


「え、いいんですか?」


新島春香が返答をする前に、ルーが新島咲子の提案に食いついた。


「ええ、勿論。だけどお家の人は大丈夫?」


「連絡を入れておけば大丈夫です」


「そう?だったら決まりね」


新島咲子は笑顔で頷いた。それからドアを閉めようとする。


「あ、待ってください!」


ルーに呼び止められ新島咲子は再び顔を覗かせた。


「お礼に何かお手伝いさせてください」


「あら、そーお?助かるわー」


新島咲子は口元に手を当て「フフッ」と笑う。


「何処かの誰かさんも見習ってくれないかしら」


「一体誰のことですか?」


ルーと新島咲子は楽しそうに会話しながら部屋から出て行く。


新島春香はパタンと閉じた部屋のドアに、手元のクッションを投げつけた。


   ~~~


「あれ?今日の肉じゃが美味しい!」


新島恵太は驚いたような声を上げると、料理をパクパクと口に運んだ。


「あら、いつもは美味しくなくてごめんなさい」


「え?」


母親の少し意地悪な言い方に、新島恵太は不思議そうな顔をした。


「それ、リースさんが作ってくれたの」


「なぬ!?」


母親のその返答に新島春香が反応した。それから向かい側に座るルーの方に顔を向ける。


4人掛けの食卓の母親の隣は、普段は父親である新島にいじま和義かずよしの席なのだが、今日も残業で帰りが遅い。そのため今はそこにルーが座っていた。


ルーは新島春香の視線を涼しい顔で受け流すと、横に座る新島咲子の方に顔を向けた。


「お母さまの料理も、とっても美味しいです」


「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。この子たちはそんな事言ってくれないから」


二人は目を合わせると楽しそうにニッコリ笑った。


   ~~~


「もう夜も遅いし、恵太に送らせるわよ?」


新島咲子が心配そうにルーの顔を見た。


「大丈夫です。すぐそこまで家族が迎えに来てくれますから」


「そう?」


新島咲子はまだ納得いかないような顔をする。本当に優しい女性ひとだ。ルーは嬉しそうに微笑んだ。


「ハルカさん、また呼んでください」


「もー来んな」


プイッと横を向く新島春香の姿に、ルーは思わず苦笑いした。


「コラ、春香!」


新島咲子は娘を叱責すると、ルーに微笑みかけた。


「リースさん、またいらしてね」


「はい、是非!」


ルーは身を乗り出すように頷いた。

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