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第101話 エクスプロージョン

「こ、これはっ!?」


 地面から無数に生えてきたアダマンタイト鉱石の林を前に、ワイドさんが目を輝かせた。


「間違いない! アダマンタイト鉱石だ! それもこの輝き……相当な純度に違いない! しかもこの量……っ! こ、これを本当に使ってよいのか!?」

「はい。幾らでも作れますんで、好きなだけ使ってください」


 僕は諦観とともに告げる。

 ワイドさんの暴挙を止めるため、僕は仕方なくアダマンタイトを栽培したのだ。


 ……まぁ、本当に幾らでも作れるから別にいいんだけどね。


「おおっ、魂の友よぉぉぉっ!」

「い、痛い……っ!? だから、抱き着くのはやめてくださいって!」


 またイオさんが見たら勘違いしちゃいそうだし。


 僕から離れたワイドさんは、拳を突き上げて雄叫びを上げた。


「ぬおおおおっ! 早速、創作意欲が湧いてきたぞおおおおっ! 今なら人類史上最高の傑作を生み出せるに違いないっ! やるぞおおおっ!」


 そしてアダマンタイトの林に飛び込んでいくワイドさん。


「……えっと、一応、あそこに家屋を作っておくんで、それも好きに使ってください。あと、食べ物はそこら辺から勝手に収穫してもらって構いませんので」

「芸術はエクスプロージョンだああああああああっ!」

「……聞いてねぇ」







 それから数時間後。

 気になってワイドさんの様子を見に来たら。


「うわっ、何だこれは……」


 そこには新たなオブジェができあがっていた。


 顔が沢山あるゴリラだ。

 そうとしか表現できない。


 しかもゴリラ一体一体の表情が違っていて、怒っていたり泣いていたり笑っていたりと、まるで人間のように表情が豊かである。

 いや、そもそもゴリラじゃなくて人の顔なのかな?


 相変わらず僕には理解できないものだった。

 それにしてもアダマンタイトをどうやって加工しているんだろう……。


「おお、ジオ殿!」

「……ワイドさん」

「どうだ、今度の作品は!」

「凄いですね。こんなに早く完成させちゃうなんて」


 褒める部分がなく、僕は作業速度を称賛した。


「そうだろうそうだろう! しかし残念ながら、まだこれでは人類最高傑作ではないのだ……」


 僕は全然残念じゃないです。


「そ、そうですか。ところでお疲れですよね? 一応お酒もありますよ」


 ドワーフは無類のお酒好きだと聞く。

 しかも尋常ではないくらいアルコールに強くて、浴びるように飲むのだとか。


「わしはあんなもの飲まぬ」

「えっ、飲まないんですか?」

「酔った状態では、これほどの芸術を生み出すことは不可能だからな」


 むしろ素面の方が難しいと思うんですけど……。


「代わりに茶が欲しい。実をいうと、わしは芸術の次に茶が好きなのだ」

「そうなんですね……」


 鍛冶より芸術(?)を好み、酒ではなくお茶を好むドワーフ。

 こうして第二家庭菜園にまた一人、変人が居つくことになったのだった。


 まぁイオさんだけはまともだけど。

 ……だよね?







 その日、うちにシーファさんとアニィ、そしてサラッサさんがやってきた。


「ジオに話がある」

「え? どうされたんですか、改まって……」


 急に真剣な顔でシーファさんが切り出したので、僕は思わず背筋を伸ばした。

 ま、まさか……告白っ?


 って、そんなはずないか……。

 もしそうならアニィとサラッサさんまで一緒に来ないよね。


「セナが加入して、サラッサが戻ってきて、私たちは理想的なパーティになった。ダンジョンの全エリアを制覇することができたし、この街で受注できる中では最高難度の依頼もこなせるようになった」


 シーファさんは言う。


「現状に満足して、このままこの街で頑張っていくのも悪くないと思う。だけど、やっぱり私は冒険者としてもっと上を目指したい」

「そ、それって……」

「街を出ようと思っている」

「っ……」


 僕は息を呑んだ。


 シーファさんが冒険者になったとき、いつかこんな日が来るかもしれないとは思っていた。

 僕の父さんがそうだったけれど、冒険者はあまり一所には留まらない。

 いつも未知と冒険を求めて、旅をし続けるものなのだ。


 だけど、ここアーセルにはダンジョンがあるし、それもあってほぼ定住しながら冒険をしている人も多い。

 それにエリアごとに難易度が違うため、初心者には優しい仕様だ。


 だからシーファさんもしばらくはこの街で力を付けるだろうと思っていたし、まさかこんなに早くその日が来てしまうなんて考えていなかった。


「そ、そうですか……た、大変だと思いますけど……が、頑張ってください」


 ショックのあまり、そんな当たり障りのないことしか言えない。

 そんな放心気味の僕に、シーファさんはさらに言った。


「もちろん、セナも一緒に」

「っ!」


 そ、そうか……シーファさんだけじゃなくて、セナも街を出るってことか……。


 セナはずっと一緒に暮らしてきたただ一人の家族だ。

 妹と離れ離れになるのは、シーファさんと会えなくなることよりも辛いかもしれない。


 この家でたった一人、寂しく暮らす自分を想像すると涙が出そうになってきた。


 いや、だけど今の僕にはミルクやピッピ、それにララとナナだってるじゃないか。

 だから寂しくなんてない。

 ……ないったらない。


 そう頑張って自分に言い聞かせていると。

 シーファさんが予想外の一言を口にしたのだった。


「だからジオも来てほしい」


 ……え、今なんて?


書籍版は今月13日発売!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ホモは求めてないんだ!今すぐ僕っ娘に変えてくれー!
[気になる点] 街を出るのに何故ジオは置いてかれると思ったんだ? リスクなしでやりたい放題出来る便利な移動手段&主夫要員は手放さないだろうに
[気になる点] 『だからジオも来てほしい』 なにが「だから」なのだろう?w。 いくらジオとセナの兄妹の能力を生かして 冒険者パーティーとして大活躍が出来ても 冒険者の昇格試験は完全に個人単位だから…
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