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大型犬の居候  作者: 佐久間みほ
出会いは間違い?
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03

ちょっと短めです。

なんてことない会話をしていたら、希の携帯が鳴った。

確認する彼の眉間にうっすらとシワが寄る。


「呼び出し?」

「・・・呼び出し?」

「あー・・仕事?」

「ああ、そういうことか、そう。呼び出し。仕事。リスケになったインタビューが結局やるってことになったって」


つい癖で医者の友人達に聞く言葉で確認してしまったけど、身内に医者がいるのと仕事でそういう役をしていたらしいので、すぐに理解してくれた。


「ごめんちょっと返信する」

「気にしないで。私洗い物してるから」

「あ、それ俺やるから」

「いいから、早く返信しちゃいな?」

「ごめん、ありがと」


同年代の男性陣が気づかないところに気が回る子なんだなと、ちょっと感心しながら、洗い物を片付けていく。

希やヒロのように外に出るのもちょっと大変な職業の子たちは、私達よりもストレスが凄そう。

若ければ若いほど、周りに気を使わなければならないだろうし、現場って言われる場所に入る前に準備もすごそうだし。

それに役者さん1本ってわけではない。

アイドルって、ファンのために笑顔を作らなきゃいけないし、ダンスとか歌とかもっといろんなことに気を使って勉強してるんだろうなぁ。

息抜きにああいう飲み方をする必要性って存分にあるのかもしれないなと、色々心配になってしまった。


「マネージャーにピックアップしてもらうことにした」

「そう?」


ちょうど洗い物が終わり、シンク周りを吹いていた時、上から声がふってきた。

シンクを挟んで目の前に立つ希は、思ったより身長が高かった。


「うん、ヒロの家に居たことにしてるし、大丈夫」

「なら良かった。この時間に下でタクシー拾うの、なかなか難しいでしょう?」

「あー確かに」


家の近所は都心だけあって人が多い。

それに有名大学が近所に3校あったりと、若い子たちが多いのだ。

もしかしたらバレてる可能性とかあるのかなぁ。


「忘れ物ない?」

「うん、多分大丈夫だと思う。ありがとう」

「いいえー」


リビングから玄関までの廊下を歩き、土間の壁に片手をついて靴を履く後ろ姿を見て、イケメンは靴を履く仕草までイケメンなのか、っていうか足長すぎじゃない?とかくだらないことを考えてた。


「あんまり飲みすぎないように、適度に息抜きしなよ?」

「耳痛い・・・」

「仕事、頑張ってね。応援してる」

「うん、ありがとう」

「いってらっしゃいー」

「・・・・いってきます」


扉を閉めて、はっと気づく。

なんてこと口にしたんだ私・・・。

希も希でちょっと困った顔してたじゃない!違うごめん間違ったって言おうと思ったけど、連絡先知らないことに気づく。


「やっちまったなぁ」


思わず声にだして、玄関の鍵をかけ、部屋に戻った。


ひとまず、ヒロに任務完了を伝えようと、充電器に挿した携帯を手に取ると、未読メッセージがあった。


ーーーおはよ。希起きた?

ーーーおーい

ーーー希、起きたっぽいから大丈夫だと思うけど、なんかあったら連絡して

ーーーこれから撮影はいるからまた連絡する

ーーー撮影終わったーってまだ未読かよ!

ーーーなごみさーんいきてるー?希におそわれてないー?

ーーーって今希から連絡きた

ーーーなんか色々迷惑かけました!


朝からずっと連絡もらってたのを今まとめてみるっていうズボラさを発揮してしまった。

仕事中ならまだしも、普段からこうだからなぁ。


ーーーごめんなさい、今メッセージみました。先程マネージャーさんにピックアップ?されに帰ったよ

ーーーおーようやく既読になった!


ヒロも携帯をいじれる時間帯だったらしく、即返信が来る。


ーーー充電器に挿しっぱなしだった。ごめんねー

ーーー気にしないでー俺もそういう時あるし。

ーーー希、ヒロの家にいたってマネージャーさんに伝えたらしいから、いろいろよろしくです

ーーーりょうかいっす!

ーーーということで、任務完了?

ーーー完了、完了!本当におせわになりました。


ペコペコしてる猫のスタンプを送ってくれて、思わず和んでしまった。


その後も、ヒロにおすすめのスーパーなんかを聞いたり、今ハマってる料理なんかの話をしていたら、

何故か直近でヒロが休みの日に、もし私の都合がつけば、ヒロの手料理を食べに行くことになってしまった。


「これ、ファンの人たちにバレたら袋叩きにあうだろうな・・・っていうかその前に記者が怖い」


メッセンジャーアプリのやり取りをなんとなしに見直して、恐ろしいことに気づいてしまった。

背中にツーっと冷たいものが走るというのはこういうことだったっけ・・・?


ひとまず明日から仕事が再開する。

ここから病院までの時間はなんとなく把握してるけど、交通渋滞とか諸々朝の状況はわからないから、さっさと寝てしまおうと寝室のドアを開けて気づく。


「シーツ・・・替え買ってくるの忘れた・・・なんか忘れたと思ってたけどこれか・・・ま、いっか!」


いわゆる知らない男性が寝ていた後に寝るっていうのはとても耐えられないけど、もうすでに知らない男性ではない。

半沢希という、大きな茶色のワンコみたいな男性が寝てたわけだし。


複数個枕を置く癖があるため、希が使ってなかっただろう壁際にあった枕に頭を鎮める。


「なんかめっちゃいい匂いするんですけど・・・」


人工物の香りとスモーキーな香りがミックスされてる不思議な香りがほのかに。


「こりゃ寝れないわ・・・」


残りの枕にも顔を埋めてみるけど、やっぱり香りがほのかにする。

仕方なく全部の枕カバーを取り外すことにした。


「でもなんかもったいない・・?いや変態じゃない、私変態じゃない。」


ブツブツいいつつ、シーツも剥ぎ取って、洗濯機に放り込み、予約設定をする。


結局、ベッドがあるのにもかかわらず、2夜連続でソファにお世話になることになった。



なんだかんだいって、和心さんのちょっとずれた感じはだせたかなぁ。

これからのらりくらり、大型犬っぽいところと天然おかあさんっぽいところを出していければいいなと思います。

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