"正義感"
「その話を聞くと…お前も損な役回りになったモノだな イカれ記憶屋」
またいつものように、
設楽がallagiに来店していた。
「はい。ですから設楽様もこちらにお越しになる際は充分お気をつけ下さい」
そういって記憶屋はコーヒーを飲んだ。
「それにしても相当物好きだな。自らお前や嶋崎を捜査してるんだろ??
その彼女は」
設楽は記憶屋と目を合わせずに質問した。
「彼女自身、我々闇の住人を調べる必要性はないはずなのですが…」
と記憶屋が呆れたように言葉を返した
「…"正義感"だろうな。
いかにも、警察の人間らしい "警察官とはこれだ"という枠にはまりきった考え方だ。
こんな話を聞いてしまうと
俺としては、一度彼女の考え方や理念を取材させて欲しいが…今は時期ではない。そうだろ?イカれ記憶屋」
「そうですね。私が手に入れた情報によると、嶋崎様を中心に関わりがあると噂されていたり、
嶋崎様の日々の生活で関わる人間をしらみ潰しに捜査をしている…との事なので。"黒い太陽が止めない限り"彼女が止まることは無いでしょうね。」
記憶屋は深いため息をついた
「お前はまだいいだろ??
骨董屋としての顔を持ち合わせているんだからな。
俺はそうなるとどうやって、その彼女を"俺が闇の住人ではない"と信じ込ませるのか…正義感の強い人間は厄介だからな」
そういって設楽もため息をついた
「恐らく、私たちの考えている事が杞憂となるとは思いますが…暫くの間は私の事を
しがない骨董屋の店主と思って戴ければ幸いです。設楽様」
記憶屋は深々とお辞儀をした
「たまには、お前の芝居に乗ってやるのも一興だな。お前が捕まってしまっては面白くないからな。」
と設楽は記憶屋に握手を求めた
「…理解してくださりありがとうございます。
さすが設楽様…よろしくお願い致します」
と記憶屋は設楽と握手をして微笑んだ