表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶、随時買取り中。  作者: 裕澄
ena ~1章~
3/9

闇の協力者

「…と言う訳だ。

お互いリスクは高いが金にはなる。

城之内からある程度の段取りは聞いているんだろ?"黒薔薇(くろばら)"。」

記憶屋はスマホである女性と電話をしている。


『そうね。

中々お目にかかれない上客でしょ?

私がこの件に乗らないとでも??』

彼女は、通称"黒薔薇のメイキスト"

表の顔は、美人 整形外科医 鐘崎遥(かねざきはるか)

だが彼女の裏の顔(本職)は、黒薔薇と呼ばれる

闇の美容整形外科医である。


「彼が記憶を売った後は、君にまかせる。彼をどんな顔に"作り変える"のか楽しみだよ。」


『ところで記憶屋。…今夜空いてるかしら?』

急に黒薔薇は声のトーンを変えて、妖艶な声で記憶屋に問いかけた。


「お誘いは大変嬉しいのですが…。あるの方との会食の予定が入っておりまして…申し訳ありません。」

記憶屋の話し方が客を相手にする時のような口調に変わった。


『はぁ…相変わらずつれないのね。アナタ』電話口の黒薔薇がため息をついた。


「ですので、次回に…。と言いたい所ですが、黒薔薇。

君も今夜の会食にいらっしゃいませんか?

今回の私たちの協力者 嶋崎様との会食なのですが…」


『アナタもたまには素敵な事を思い付くのね。記憶屋。』


「ありがとうございます。では先方にその様にご連絡いたしますね。

恐らく貴女のクリニックまで、私か先方の使いの者がお迎えにあがると思いますので、それまでクリニックでお待ち下さいませ。」


『わかったわ。では…嶋崎(あの人)記憶屋(アナタ)に会えるのを楽しみにしておくとするわ。』


「はい。私も楽しみにしております。

…では、また後程。失礼いたします。」

記憶屋の電話が終了すると


「…流石だな記憶屋。黒薔薇の話は聞こえなかったが、俺にはお前の様な芸当はできないからな。」

電話を静に聞いていた城之内が口を開いた。

「俺も好きでやってる訳じゃないからな。」はぁ…。と記憶屋がため息をつくと、

城之内はニヤニヤと笑いながら

「そのわりには、黒薔薇と話している時のお前の顔は生き生きしてる様にみえたぞ」と返した。


「…例えるなら、俺やお前は物語における"ストーリーテラー"であり、

カジノゲームの"ディーラーやゲームマスター"みたいなモノだ。今夜会うあの男が揃えば…役者が揃う。」


「…お前がこんなこと言うなんて、

記憶コレクターのあの男あてられたか?相当メルヘンな話だな」


「…この仕事に乗り気じゃないなら、

降りるかこの仕事?」


「いや。ここまで準備をしたんだ。

ここまできて、降りる訳がないだろう。

あんなに金になりそうな仕事は、久しぶりだからな」

城之内は呆れた様に話はじめた。


「…ふん。それでこそお前だ。

ところで今夜の会食…お前も来るか?」記憶屋は、高級レストランの住所の書かれたメモを城之内に差し出したが、


「遠慮する…仕事以外であの男と会う気は無い。」と城之内はメモを受けとらなかった。


「分かった…じゃあその代わりに、

この仕事が片付いたら、いつもの所で飲むか。

…俺とお前二人だけで。」


「あぁ。そうしてくれると嬉しいな。

…じゃあ、俺は今回の仕事の最終調整でもしておくよ…っと。」

そう言って城之内はカウンターの席を離れて、骨董屋 allagiを後にした。


城之内が店を後にした事を確認すると、記憶屋は


「…Prosvlépoume stin allagí」


と呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ