プロローグ
高校2年になった俺。草原竜は、親友の隆史が怪我をするような暴力を受けてしまった事に頭に血が昇っていた。
そして・・・
「いてこますぞワレぇ!」
「竜さん落ち着いて!」
「なんで止めるんじゃ隆史!? コイツらお前の…」
「わかっとります! わかっとりますからやめといて下さいっ! 俺なんかの為に竜さんが…」
「退学や」
「…」
「教師を殴るなどあってはならん事やぞ? わかっとるならええんやが。…何か言う事は無いんか? どうせこれでお前とはお別れやからな。 まぁ話ぐらい聞いたるがな」
「…なんもありません。すいませんでした」
その日俺は高校を退学した。
事の発端は仲の良い友達がリンチに会い、それの仇討ちに全員しばき倒したって事件があった事からだ。
友達の隆史は俗に言う「不良」だったが心の優しい良いヤツだった。
だから…
そしてその事が学校にばれた。
担任教師は俺に「暴力を振るうヤツは最低の人間や!」と罵った。
そこまではいい。
事もあろうにその教師は…
「その隆史というヤッちゃもどうせしょうもないヤツなんやろ? そんなんで暴力振るうてどうすんね―」
最後まで言わせるつもりは無かった。
気が付くと全力で教師の顔面を殴りつけていた。
何度も殴りつけていると当の隆史が止めに入って来た。
だか、止まらなかった。
それだけの話だ。
「竜。引っ越すで〜」
丁度父親の転勤が重なった。母の故郷がある町へ引っ越すそうだ。
学校にも居られないので丁度良かったが、一応母から「今度同じ事したら教育的指導」と釘を刺される。
母の指導は…そこらの暴走族チーム一つより暴力的で実戦的で…要するに痛い。
俺と両親の三人は、関西の地から反対の関東の地へと向かう。
そんな道中の車の中で、俺は夢を見た。
時は3月の下旬
春はもうすぐそこまで来ていた。