第九十八話 語り姫
一晩経ってもアイヴィの姿は見当たらなかった。魔人に連れ去られたということだけは確かであり、それが焦りを加速させる。特にルークは一睡もせずに一晩中学園のみならず学園の外にまで捜索範囲を広げていた。また、アイヴィが生徒を襲撃した事と失踪させたということは生徒会メンバーの知るところとなったのは当然の事であり、また風紀委員会にも話は及んだ。
「…………」
エリカは生徒会室で一人、唇を噛みしめる。不覚だ。まさか自分の仲間が魔人に連れ去られようとは。明らかに自分の不覚だった。彼女が交流戦での一件で悩んでいるのは分かっていた。そこをフォローしてあげられればよかったのだろうが、それをルークに任せた。彼女と普段からよくいるのはルークだったし、下手に自分が動くよりもルークに任せた方が良いと判断したからだ。
しかし、まさかそこに魔人が絡んでこようとは思わなかった。
そして彼女の心の隙を突かれた。
集めた情報によるとアイヴィはおそらく新型の邪結晶によって邪人化してしまっている。厄介なことに新型はまだ不安定な出来らしく、アイヴィの心の闇を増幅させ、暴走させてしまっているようだった。
「まずいことになってるみたいだね」
その声と共に生徒会室に姿を現したのはブリジットである。
「ブリジットさん……」
「多分、今回アイヴィちゃんが狙われたのは色々あるだろうけど、たぶんユーフィアちゃん絡みだよね」
ブリジットの言葉はエリカも考えたことだ。
この時期、このタイミングで、この学園にユーフィアが体験入学という形でやってきたのは偶然ではない。すべては『七色星団』とエリカの手引きによるものだ。
「ユーフィアちゃんが『巫女』に覚醒しちゃった以上、もうごまかしきれないしね。魔人や邪人に対抗できる力を持ち、尚且つ『鎧』を持ってるソウジくんやライオネルくんの傍に置いておくのが一番安全だと思ってそうしたけど、それが仇になっちゃったみたいだね」
「はい。今回の体験入学で逆に『巫女』であるユーフィア様の正確な居場所が公になってしまいましたから。おそらく魔人たちはアイヴィを使って騒ぎを起こし、隙を突いてユーフィア様を奪うつもりでしょう」
「あっちからしてみれば新型邪結晶のデータ取りが出来る上に自分たちの手を汚さずに騒ぎを起こせるしね。あとは高みの見物をして成り行きを見守って、隙あらば襲撃するだけだし。やってみるだけ得しかない手だよまったく」
魔人たちは次の段階に進もうとしているということは容易に想像がつく。そのための新型邪結晶だろう。
「わたしたちが戦えればいいんだけど……」
口惜しそうにするブリジットに同意するかのように唇を噛みしめるエリカ。
自分たちには魔人や邪人に対抗できる力を持ち合わせていない。魔人を倒すことは出来ても殺すことはできない。そしてやつらは殺さない限り再生して蘇るのだ。
魔人を殺すことが出来るのは、現状だとこの学園ではソウジとライオネルぐらいしかいない。しかし、この二人とてまだ発展途上。魔人の攻め方によってはいかに鎧の戦士の二人といえど危ない。
「何にしても、まずはわたしたちに出来ることをしていくしかないんだけどね」
ブリジットのその言葉に、エリカは静かに頷いた。
☆
ユーフィアがやってきたことでもっとも賑わっているのはやはりエルフ族の留学生たちだ。
そんな彼らにユーフィアは労いの言葉をかけ、同時に他種族の者達と積極的に関わるようにしていた。彼女がこの学園に送り込まれたには何らかのわけがあると予想していたソウジたちであったが、どうやらユーフィア本人は多種族との交流の懸け橋になるようにとでも言われたのだろう。
アイヴィがいまだ戻ってきていないことに焦りを感じざるを得ないソウジたちではあったが、かといってユーフィアの傍を離れるわけにもいかない。彼女は『巫女』なのだ。いつまた魔人に狙われるかもわからない。よって、ソウジたちは出来るだけ彼女の傍にいるようにすると決めた。が、アイヴィの捜索も止めたわけではない。ライオネル、オーガスト、レイドの三人でアイヴィの捜索をしてもらっている。捜索チームには風紀委員会も駆り出されており、そちらの方に顔の利くレイドと、『十二家』としての権力を用いてある程度の融通を利かせることのできるオーガストをチョイスしたのはクラリッサの判断だ。
ユーフィアの護衛(という名の監視)にクラリッサたち女子チームをふったのは同じ女の子同士、ユーフィアの気持ちを楽にするためである。特にルナとユキは積極的にユーフィアと関わってほしいとソウジ個人としては思っている。
理由はどうあれ、彼女は以前からずっと憧れていた学校生活を送ることが出来ているのだ。また、精神的にもルナたちみたいな同年代の女の子がいて、友達になれば楽になるかもしれない。だが問題はルナもユキもこの学園の『生徒』ではないということだ。
そうなってくると自然とユーフィアと関われる時間は限られてくる。
何だかんだとユーフィアは常に人に囲まれているので近づきにくい。ここで無理に近づいても反感を買うだけなので自重することにはしている。
「ユーフィア様は確か、体験入学なんですよね? 授業の方はどうしているんですか」
食堂でユーフィアの様子を観察しつつ、テーブルに集まったソウジたち。ルナはブリジットから休憩をもらってソウジたちの一緒のテーブルにつきつつ、じっとユーフィアの方を見ていた。
「勉強の方に関しては優秀な家庭教師がついていたらしいからこの学園のレベルにも問題なくついていけているみたいですよ。クラリッサたちと同じ、一年のAクラスで授業を受けているそうです」
「そうなのよね。年はわたしたちより一つ下のはずなのに、授業には普通についていけてるんだもの。驚いちゃったわ」
「そうだったんですか」
ソウジの目には、心なしかルナがユーフィアのことを羨ましがっているように見えた。魔学舎では嫌な思いをしたことのある彼女にも、やはり学園でみんなと一緒に過ごしたいという思いはあるようだった。
「ソウジさんっ」
ふいに、件のユーフィアの方から声をかけてきた。気がつけば彼女が自らソウジたちのテーブルまで近づいてきており、護衛のようなものなのかエドワードも同行している。
「お久しぶりです。交流戦の活躍も拝見させていただきました」
「あ、ありがとうございます」
ユーフィアの言葉に少したじろいでしまうソウジ。その理由はというと、彼女の瞳がキラキラと輝いており、その瞳をしている彼女が何を語るのか容易に想像がついたからだ。ユーフィアの護衛という目的上、こうして彼女に近づけたのは幸いだったが正直言って気が重い。
少しでも話題を逸らそうと、ソウジはまずギルドのメンバーを紹介することにした。
「えっと、同じギルドの友達で――――」
「存じております。前にソウジさんからお話を聞かせてもらいましたし、みなさんは交流戦に参加されていた方々ですから。それに、クラリッサさんやチェルシーさん、この場にはいらっしゃらないようですがオーガストさんも同じクラスですし」
まあ、ユーフィアもゲストとして交流戦には招待されていたし、ソウジが以前、ユーフィアの護衛についた件で話をしたこともある。ギルドのメンバーを知っているのも当然といえる。だが、スタッフとして動き回っていたルナの顔までは流石に知らないはずだ。
「この子がルナ。同じギルドの友達で、この学園の食堂で働いているんです。ユーフィア様と同い年ですよ」
「は、はじめまして。ルナ・アリーデです」
ルナは明らかに緊張している。エルフのお姫様ともあればそうなるのも無理はない。実際に話せる機会はそうそうないのだから。
「あなたがルナさんだったんですねっ。実は私、ソウジさんからお話を伺っていた時からずっとお話をしてみたかったんです」
「わ、わたしとですか?」
「はいっ。私、同い年のお友達って殆どいなくて……だから、あなたとお話できればいいなぁ、なんて思ってたんです」
戸惑いつつも、ルナは笑顔のユーフィアとぎこちなさは残るものの『お話』をはじめていた。そこに同じ女の子であるフェリス、クラリッサ、チェルシーが加わってルナをフォローして、ユーフィアとの会話をしやすくしていく。
その様子を見たエドワードがこそっとソウジに話しかける。
「ソウジ、君はユーフィア様の護衛を務めたことがあると聞いたがまさかここまでユーフィア様と親しくなっているなんて思わなかったよ」
「親しいって……そう見えるのか?」
「ああ。僕も家柄の関係で割と彼女の護衛任務に就く時があるんだけど、あんなにも楽しそうにしているユーフィア様は初めて見るよ。いつもは凛としていらっしゃる方だから」
それは意外だな、とソウジは思った。何しろ自分の知るユーフィアは割と年相応の子供っぽさを持った女の子だ。よく笑うし、よく喋る。自分の夢中になったことになると特に目をキラキラとさせて語りだす。たとえば……『黒騎士』のことについてとか。それを思い出すとむず痒いやら恥ずかしいやらなんともいえない感情がわき出てくるので勘弁してもらいたいが。
「なんだかちょっと悔しいな。ソウジには一歩先を行かれっぱなしだ。護衛の件だって僕よりも上のことをしているわけだし」
「とはいっても、パレードの時は襲撃者に情けなくふっとばされて終わったけどな」
その後、『黒騎士』に変身してユーフィアを救いに現れたものの正体に関しては隠しているので、『ソウジ・ボーウェン』の護衛の成果としては『襲撃者に一撃で吹き飛ばされておしまい』というものだと認識している。
「ユーフィア様の傍で直接護衛が出来るというだけで僕たちエルフの間ではとても名誉なことなんだ。僕の時はその他大勢みたいな感じだったし。それに、護衛の時の様子を見た人たちからの君の話題は挙げられてるらしいよ。あの反応速度は見事なものだった、自分たちじゃああはやれない、ってね。実のところ、僕たちエルフの間では君の評価は君が思っているほど悪くないよ」
エルフ側の情報はやはり大陸という壁があるせいかあまり入ってこない。そのせいかそんな評価をしてもらえてたことにむず痒くなってくる。
「兄さん。ここ、いいですか?」
「ん。いいぞ」
次にテーブルにやってきたのはクリスであり、その隣にはフレンダも控えていた。声をかけられたユーフィアはすぐに視線をそちらに向ける。
「お久しぶりです、ユーフィア様」
「お久しぶりです」
「クリスさんにフレンダさんっ」
「あれ、二人を知っているのですか? ユーフィア様」
「はいっ。フレンダさんとはパレードの際にお会いしたことがありますし、こちらの大陸に来た際に一度、ノーティラス領にも立ち寄ったことがあるのです。その際にクリスさんともお会いしたことがあるんです」
まさかそのような繋がりがあったとは思わず、ソウジたちは目を丸くした。不思議な縁もあったものだと一人で感心するソウジ。とはいえ、この場にこの面々が集まったのは偶然ではない可能性が高いのだが。
いくらなんでもエルフのお姫様を体験入学に突っ込むなんておかしすぎる。それはフレンダも感じているはずで、だからこそ彼女はこの場に来たはずだ。
ソウジとしてもいくらなんでも今の状況はおかしいと感じている。だが、ユーフィアが『巫女』であること、そして魔人たちに対抗できる鎧の戦士に変身できるソウジとライオネルがこの学園にいると考えると今回の体験入学とやらには作為的な何かを感じる。
「ですがクリスさん、どうしてソウジさんのことを『兄さん』と?」
「あ……えと……」
言っても良いかどうか迷っているクリス。これはどうやって説明したものかと悩んでいる一瞬の間に、
「ユーフィア様。ソウジはいま、クリスさんに自分の事を『兄さん』と無理やり呼ばせる『兄さんプレイ』なるものをを強要させているとの噂が……」
「おいまてエドワード」
エドワードが余計な情報を囁きだした。
「む? 何か問題があったかい? たしかそういうふうに僕は耳にしたのだけれども」
どうやら本人はいたって真面目にユーフィアに情報を与えただけのようだ。表向きはそれで通っているとはいっても変態の称号はやはり辛い。いろんな意味で。
「…………」
さしものユーフィアもどん引きしているのだろうか、と心配になったソウジだが、やがて彼女は少しの間思考した後に、
「ソウジさん。私も兄さんとお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「いや、それはちょっと……」
「ユーフィア様、フィーネさんによればそういう時は『お兄ちゃん♪』の方が効果的とのことです」
「エドワード、お前ちょっと黙ろう。な?」
「そうなんですか? ソウジさん」
「そういうわけでは」
「お兄ちゃんっ♪」
「…………………………………………」
エルフ娘からのお兄ちゃん呼び。
割とアリかもしれない。
「って、いやいやいやダメですよユーフィア様! こんなところでそういうことを言われては……!」
「見たか、今の」
「ああ。まさかユーフィア様に『お兄ちゃんプレイ』を強要させるなんてな」
「さすが『世界最強』の弟子ってところか」
何がさすがなのか問いただしたいところだが、それはさておいて。
「あ、あのソウジさん。もしかして不快だったでしょうか?」
そういうわけではないから困る。かといってそれを言ってしまえば色々と終わってしまうような気がして黙り込んでいると、
『……………………………………………………』
フェリス、ルナ、クラリッサ、チェルシー、クリスの五人からの魔人を束にしても勝てそうにないぐらいに恐ろしい視線をお受けすることになってしまった。
しかも当のエドワードはというとそれを見てクスクス笑っている。
「フム。なにやら面白いメンバーじゃの。どれ、わらわも参加させてもらおうか」
次にやってきたのはなんとマリア・べレストフォードである。
いつもの長く、美しい黒髪を揺らしながらこちらにたどり着くと、交流戦で戦った相手であるエドワードを見てふんと鼻を鳴らす。
「マリア・べレストフォードさんか。これはいよいよ賑わってきたね」
「エドワードか。なんじゃ、わらわが騒がしいとでも言いたいのか」
「まあ、あなたの護衛二人が来たら騒がしくなりそうだとは思いますけどね」
「違いない。まあ、とりあえず巻いてきたから安心するがよいぞ」
そういう問題ではないと思うのだが。とはこの際口には出すまい。
兎にも角にも、この場には人間、エルフ、魔族と三つの種族が纏まって集まっている。今回の留学が無ければ実現できない光景だっただろう。
「ふん。ここにギデオンのバカでもいれば交流戦の再現になったのう」
「ソウジにボコボコにされてから、彼はメッキリ大人しくなったよね」
あの時はクラリッサとチェルシーの一件でイラついていた。それに関しては後悔していないし、大人しくなろうと知ったことではない。とはいえ、普通に話すぐらいならば構わないとは思っている。クラリッサとチェルシーの二人次第だが。
「そうだ、せっかくだからみなさんにお聞きしたいことがありますっ」
ぱんっ、とユーフィアがちょうどいいと軽く手の平を合わせる。その瞳がまたキラキラと輝いていたのでソウジはまずいと思い、咄嗟にまた話題を逸らそうとしたものの、さしものエルフの騎士たちからも評価される反応速度を持つソウジといえどもユーフィアの言葉を止めることは出来なかった。
「みなさん、『黒騎士』様について何かご存知ないですか?」
「げほっ!?」
盛大にむせた。
わかりきっていた事なのだが、実際にあんなキラキラした目を言われるとむせるのも仕方がない。何しろ『本人』がこの場にいるのだから。
「む。確か、わらわを助けてくれたあの黒いのか」
「マリアさんも『黒騎士』様に助けられたことがあったんですね!? お仲間ですっ」
「う、うむ?」
嬉しそうに弾んだ声を出すユーフィアに、いたたまれなくなるソウジ。
「『黒騎士』って……確か、あの新聞でよく見る?」
妹のクリスまでもがユーフィアの話に乗り出してきた。まずい、それはやめてくれと妹に言いたい気持ちでいっぱいのソウジだったが、彼女にも正体を伏せている以上どうしようもない。
「はいっ。ユーフィアの危機を何度も救ってくれたお方です。『黒騎士』様にまたお会いしたいので、みなさんに色々とお話を伺っているんです。何しろ、この学園には『黒騎士』様は何度も姿を現しているようですからっ!」
よりにもよってフレンダがいるこんなところでそんな話をしなくてもよかろうに、と思ったがフレンダもこれが狙いでこのテーブルに来たという事は予測できるし、更に言えばユーフィアがこの話題を持ち出すことも分かっていた。だからこそできればこの話は出来るだけしたくなかったのだが。
「僕も新聞で目にしたことがあるね。というか、交流戦時、実際に会いましたし」
「詳しくお話をきかせてください!」
ユーフィアのあまりの食いつきように若干引き気味になるエドワード。
「え、いや、会ったと言っても気を失っているユーフィア様を受け取った時だけですから……」
「そういえばそうでした……」
しゅんと肩を落とすユーフィア。
「そういえば」
この場においてもっとも警戒すべき相手であるフレンダが口を開き、ソウジたちイヌネコ団の面々は身構える。
「ルナさん。あなたも一度、『黒騎士』に会ってますよね?」
「え……と……」
「学園襲撃事件が起きた際、食堂にいたあなたは『黒騎士』に助けられていたはずだ」
確かに、客観的な見方をすればルナは一度『黒騎士』に助けられたことがある。あれはたしかアイン・マラスと戦いはじめてブレスレットを入手し、レーヴァテインモードに変身した時の事だ。ついでにいえば、あの時はじめてルナは『巫女』の力を発現させた。
「本当ですかルナさんっ!」
「は、はい」
「詳しく教えてくださいっ! お願いします!」
「え、えっと……」
ユーフィアの勢いにのまれそうになりながらも、ルナはなんとかごまかそうと言葉を紡いでいく。
「わ、わたしも気を失っていたので……詳しく分からないんです。ごめんなさい」
「そうですか……申し訳ありません」
「ですがユーフィア様、どうしてそこまでして『黒騎士』を探しているのですか?」
エドワードから投げかけられた素朴な疑問。それにまってましたと言わんばかりに再びユーフィアの瞳が輝いた。
「ふふふ。よくぞ聞いてくれましたっ。『黒騎士』様は私のことを何度も助けてくれました。いつもユーフィアの危機に現れて、カッコよく助けてくれるのです。その姿はとても美しく、凛々しく、ユーフィアはすっかり心を奪われてしまいました。あの方は私にとっての王子様なんですっ。それとそれと――――、」
そこからユーフィアの『黒騎士』談義がはじまってしまった。
熱く語っている『黒騎士』の正体が目の前にいるんですよ、ユーフィア様。とは言えずに苦笑しつつ目の前の光景を眺めていたフェリスだったが、やがてソウジからの救援を求む視線を感じ取った。そんな彼と視線を合わせ、ソウジはアイコンタクトで今の気持ちを訴えかけてくる。
た す け て
ご め ん な さ い
即効で拒否をくらったソウジは、ユーフィアが語り終えるまでその地獄を耐え抜くこととなり、最終的には「そういえば昨日、黒騎士の仲間の白騎士が出たらしいですよ」とライオネルを生贄に差し出してその場を乗り切ることに成功したのだった。