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第三章5『旅立ち』

 もう頑張るの、やめよう。


「――馬鹿者!!!」


 僕の頬がすさまじい力で張り飛ばされた。


「ガフッ……!!! あ、アンジェ……!」


「旦那様は……わらわの愛する旦那様は……これくらいのことで諦めるほど弱かったか! 否!」


「だけどアンジェ……もう、勝ち目がないんだ。僕は……勇者じゃなかった。剣を抜けなかった。世界を守る器じゃ、なかったんだよ……。君に愛される資格なんてない。僕は君の思っているような……強い人間じゃなかった。だたの狂った道化だったんだ」


「馬鹿者が……剣がないから、何が変わるというのだ……剣を抜いても、抜かなくても……旦那様は、旦那様じゃろう……! 何も変わらない、たとえ勇者じゃなくても、わらわは旦那様を愛している……なぜわからぬ」


「アンジェ……」


「旦那様……わらわは……っ」


 アンジェは体勢を崩した。僕は彼女の身体をうけとめる。


「アンジェ、すごい熱……!」


 アマルガムにやられた手の傷が変色して広がっている。

 流体魔導銀が体内に侵食しているのだ。もう意識を保つだけでやっとだろう。

 気力だけで立ち、僕を一喝したんだ。


「リデル……そうだ、リデルに治療を……!」


 僕は退避したオルセンたちを探した。



      第三章5『旅立ち』



 アマルガム襲撃事件は犠牲者多数で一旦収束した。

 アンジェはリデルによって応急処置をほどこされたが、本格的に治療が必要ということで搬送された。

 皇帝や生存者たちもオルセンに連れられて、時計塔から脱出した。

 僕はといえば。


「やあ、ファニュ卿」


 時計塔の中に留まり、ファニュ卿を探し、見つけ出した。


「くっ……あたくしを笑いに来たのかしら、ボーヤ」


「こんなときに意地張ってても仕方ないだろ。君も隠れてないでリデルの治療をうけなよ」


「できたらそうしていますわ……けれど魔導銀が体内に入った拒絶反応は治癒魔法では消せない……」


「なるほどね。だったら解決法は一つだ」


 僕は上着の襟を開く。


「僕の血を吸え、そうれば君の魔力が活性化して自己再生できるだろ」


「ええ……だけど」


「迷ってる暇があるの? どんどん衰弱してるように見えるけど」


「くっ……わかったわよ」


 ファニュ卿は僕の首筋に噛み付いた。

 最初は痛みがあったけど、徐々にそれは快感ににた不思議な感覚に変わってゆく。

 これが吸血鬼の「魅了チャーム」か。

 快楽に魅入られ、血の眷属と化した人間は永遠に吸血鬼の奴隷となり、血が枯れ果てるまで奉仕し続けることになる。

 僕ならばそうなる心配はないだろうが……。

 こんなことになるくらいなら、血の眷属にでもなったほうがマシだった。

 そすれば何も考えなくて良い。


「こくっ、こくっ……はぁ……終わったわよ」


 ファニュ卿は僕の首筋から牙を離す。

 手のひらからアマルガムに侵入させられた流体魔導銀が排出され、傷が全て塞がる。すべて一瞬のことだ。

 血を吸った吸血鬼の再生能力はさすがという他ない。


「べ、べつに感謝なんてしないんだからね!」


「いいよそれで。感謝しようがしまいが、もうすぐこの世界は終わる……らしいから。君だって聞いてただろ」


「それは……あなた、本当に諦めたの?」


「……仕方ないだろ、もう打つてはない。僕は勝てない戦いはしない主義だ。そもそも、アマルガムがどこにいったのかもわからないんだ」


「――それなら大丈夫」


 暗闇から現れたのはピスケスだった。

 そういえば儀式には出席していたけど、アマルガムの犠牲者の中にはいなかった。


「ピスケス、無事だったんだ!」


「当然だ。アマルガムの初撃で軽傷を負い、その後は侵食を受けていたが……このアルレシアならば体内から奴の体液を『釣り上げる』ことが可能だ」


 ピスケスはそう言って釣り竿を掲げてみせた。


「残響器『アルレシア』……異次元にすら通じる無限のいとで、あらゆるものを『釣り上げる』力をもつ。あたくしの同胞もこれにずいぶん粛清されたわ、ああ忌々しい」


 ファニュ卿が忌々しげに吐き捨てる。


「つまり体内の成分を抽出して排出することができたってわけか……でもなんですぐには動けなかったんだ? アマルガムと戦うこともできたはずだ」


「ピスケスにも奴への決定打がなかった。だから今すぐ倒す以上に、ピスケスは次につなげることを優先した」


「それってどういう……」


「奴にいとをつけておいた。ポータルを何度通ろうとも、アルレシアの絃は無限に伸びて対象を追跡する。これをたどれば、戦力を整えてから追跡可能だ。奴の追跡を優先して、戦闘を避けた」


「ピスケス……!」


 すごい。勝ち筋がないこと、自分ではアマルガムを倒せないことを自覚しながらも、最善の作戦をたてて次につなげたんだ。

 普段ぼけっとしてるけど十二級祓魔師ゾディアックスの名は伊達じゃない。すさまじい実力者なんだ。


「それで、アマルガムはどこに向かったんだ!?」


「それは……ゆーしゃの世界だ」


「僕……の……?」


「ゆーしゃ、お前の故郷が奴の行き先だ」


「は……ははっ」


 乾いた笑いしかもはや出てこない。

 なんだよ、悪い冗談だ。人生は最悪の事ばかりが起こる。

 この世界と心中も悪く無いと思ったら。今度はこれだ。

 あんな危険な奴がマリィを連れて、あろうことか僕の世界に行くなんて。


「もう……めちゃくちゃじゃないか。かんべんしてくれよ……。勇者でもないただのひきこもりの……大馬鹿野郎のせいで、二つも世界が滅ぶなんて……そんなの……そんなの残酷過ぎる」


「ゆーしゃ……剣を抜けなかったのだな」


「そうだよ、僕はただの道化さ。弱ければ全てが奪われるなんて……ハードボイルドなこと言ってても結局奪われてちゃ話にならない、調子に乗った子どもだ。アマルガムに……あいつに完全にしてやられた。井の中の蛙だった、あんな奴がいるなんて……世間知らずだったよ、あたりまえだよね、引きこもりなんだよ? 世界から逃げ続けた人間の末路がこれだ」


「ボーヤ、あなた……」


「わかってたよ。そんなに甘い話があるわけないよね。引きこもりになるような弱い奴が、異世界にいったからってそう簡単に強くなれるわけがない。神器の有無なんて関係ない、僕は僕だったんだ。別の世界に生まれ変わっても、弱いやつは弱いままなんだよ。何も得られない、何も守れない……当たり前の話じゃないか。なんでそんな夢物語、信じたんだろう……勇者になれるなんて……希望をいだいたんだろう。馬鹿だ、僕は」


「――違います!!!」


 僕らの前に現れたのは、リデルだった。


「リデル……」


「違います、ハジメさまは……道化でも愚かでもありません! ハジメさまはハジメさまです、たとえ勇者じゃなくても、ハジメさまは……そのままでいいじゃないですか、そのままで」


「リデル、君は本当のことを知らないからそんなことが言えるんだよ。本当の僕は……」


「知っています! 知っています……ハジメさまは、優しくて……こんなわたくしにも生きる希望を、楽しみを、喜びを思い出させてくださいました。生きるためにそれ以上必要なものなんてありません。ハジメさま、強くなんかなたって、人は生きていけます。わたくしはハジメさまを……!」


 嫌だ……それ以上は聞きたくない。


「だったら――教えてあげるよ、リデル。真実をね。君がどうして今、こうして僕のことなんかを励まそうとしているのか。どうしてそんなにも僕を想ってくれるのか。リデル、その気持が……作られたものだとしたら、どうする?」


「えっ……?」


「リデル、君はさ、自分が催眠術にかかりやすいって知ってた? 催眠術は真面目で、正義感が強くて、忠誠心が高く――そして自分に自信がない人がかかりやすいんだ。君はおあつらえだったよ、初めて君と会った時、僕は君に催眠術をかけた。安心するように、自分に自信をもつようにさ。どうしてだと思う?」


 リデルは何も言わない。


「僕がこんな知らない世界でうまくやっていくためには、都合のいい人が必要だったんだよ。親切で、僕にいろいろと尽くしてくれる……それが君だ。別に誰でも良かったんだよ、僕の居場所が確保されるならね。君が麻薬取引の元締めのところにまでついてくるくらい、危険を顧みない忠誠心を僕に見せた理由はね。君が僕の声を必要としたからだ。一種の中毒ってやつさ。僕の言葉、暗示によって与えられた安心感を求めて、君は僕に親切にした。尽くした。世話をした……これが真実だ。君の気持ちは、僕が作ったものだ、僕が僕自身の利益のためだけにね。本物じゃないんだ」


「そん、な……」


「だからもういいよ、僕のために必死になってくれなくたってさ。僕はみんなに迷惑ばかりかけたから……僕を嫌いになって、憎んでくれてもいいんだ。君はもう、自由になるべきだ。今――暗示をとく」


 僕はリデルに詰め寄って、彼女の肩に手をおいた。

 今の僕の主張は、半分本当で半分嘘だ。

 リデルに対して僕に尽くすよう暗示をかけたわけじゃない。ただ安心させるために何度か暗示を使っただけだ。

 だけどその副作用として、彼女は僕への好意があると錯覚してしまった。これは僕のミスだ、心のケアが十分じゃなかった。

 だから新しい暗示をかける。僕を嫌いになるように。

 これで帳消し。全てもとに戻る。今更おそすぎるし、罪滅ぼしにはならないけど。


「僕が三つ数えたら、君の心は自由になって……僕への想いは消える。三……二……」


 リデルの肩は震えていた。怒りか、悲しみか、恐怖か。

 だけどもうそれらとはおさらばだ。君は僕の呪縛から開放されて、自由になる。


「一。これで君は自由の身だ。さよなら――リデル」


 無言で立ち尽くすリデルに背を向け、僕は星空の空間の、暗闇の中に消えていった。

 僕の罪は消えないけど、彼女たちにはもう傷ついてほしくない。

 僕と一緒にいたら、不幸になるだけだ。

 だからあとは独りで全てを終わらせるしかない。僕が始めたことだ、終わらせないといけない。


「ここにいたんだね――おじいさん」


 僕は彼の後ろ姿に声をかけた。

 『盲目の時計職人』。マリィの祖父。先々代の時計職人だ。

 ピスケスが示し、最後に残された『道』は、これしかない。


「小僧……貴様が、貴様のせいで全部……!」


 おじいさんは僕の胸ぐらにつかみかかった。これが当然の反応だ。

 アンジェもリデルも、みんな優しすぎた。

 僕と一緒にいちゃいけなかった。


「おじいさん、僕をポータルへおくってくれ」


「何……!」


「おおかた、アマルガムが書き換えた術式を解析して世界を救おうって考えてたんだろ。だけどマリィが言ってた、時間がかかりすぎるって。崩壊までには間に合いそうにない、そうなんだね?」


「……ああ、そうじゃ」


「だったらアマルガムを追跡するしかない。行き先はわかった、僕の世界だ。ポータルを通って僕があっちの世界にいく。そこで奴から術式の暗号化をとく方法を聞き出して……マリィを、取り戻す。崩壊を止めるにはこれしかない」


「小僧、本気か……独りで行くつもりなのか?」


「ああ、僕以外はみんな甘ちゃんすぎたからね。アマルガムと戦うには優しすぎるんだ。僕みたいなクズがお似合いなのさ」


「……マリアンヌを、取り戻すという話は本当か?」


「僕の命をかけてでも、もしも世界が崩壊するとしても。それだけは約束する。マリィだけは何があっても守る。絶対にね」


「その目、嘘ではないようじゃな。良いだろう、小僧。貴様に賭ける――数分待て、ポータルへの扉を開く」


「ありがとう、感謝するよ、おじいさん」


「小僧に感謝されずとも良い……ワシには、マリアンヌしかもう残っておらんのじゃ」


「……ねえ、おじいさん。マリィの両親、どうなったの?」


「――っ」


「気になってたんだ。時計職人と時詠の巫女は『つがい』で一つ。時詠の巫女は世界を安定するために神器の中に入るけど……子孫は当然残さないといけない。だとするとちゃんと夫婦生活を営んでから儀式を行うはずだ。おかしいよね、マリィの両親が本来の『つがい』のはずなのに、マリィ一人で兼任するなんて」


 おじいさんは難しそうな顔をして。

 やがて震えながら唇を開いた。


「マリアンヌの両親は、アマルガムに殺された」


「……なん、だって?」


「話そう、全ての真実を。アマルガムとは何者なのかを……奴の真の名は『サカキ』。異世界からやってきた、勇者候補だった男じゃ……」



      ♪      ♪      ♪



 ワシら時計職人の一族は代々神器を管理することを使命としてきた。

 神器「原初と終焉の時計」は世界のバランスを保つために必要不可欠で、ワシらは世界の守り人としての誇りをもっておった。

 そして何より、ワシらの重要な役割は勇者の召喚。

 やがて最後にして最強の天魔王がもたらすと予言された「終焉」をとめるために現れる救世主を探し出すこと。

 そのためにワシらは仮想世界を内包した残響器を造った。それがあのディスクじゃ。

 あらゆる世界でそれを追体験することが可能な形態に作り、小僧、貴様の世界に対してはディスクとして送り込んだ。


 そして勇者候補が現れたのは、十年前以上前のこと。

 奴は『サカキ』と名乗った。

 感じのよい男で、すぐに王宮に馴染んだ。

 じゃがワシは、奴の笑顔が貼り付けられたように不自然なことに気づいていた。

 まるで道化の仮面のように……。

 奴は心を閉ざしていた。まるで小僧、貴様のように。

 だが、息子夫婦はサカキのことを信じた。真の勇者だと。

 いまだ現れない天魔王に先立って現れ、世界を守る存在なのだと。


 そして儀式の日。サカキは剣を抜けなかった。

 それが全ての始まりで、そして終わりだった。


 皇帝や各国の要人たちは勇者候補が剣を抜けなかったという事実を公表すれば、時計職人の信用問題に関わると判断し、サカキを切り捨てた。

 奴はニセ勇者として王宮にとりいった「詐欺師」のレッテルをはられ、幽閉された。

 そして……一人の狂った錬金術士がサカキに目をつけた。

 小僧、『混合種ハーフ・ブリード』は知っておるな。あれは天魔大戦後に増え、注目された種族じゃ。

 混合種が通常の種族より強い力を持っているのは、「雑種強勢」によるもの。二つの長所を併せ持って奴らは生まれる。

 そのことに目をつけた錬金術士は、あらゆる強力な種族を混ぜあわせることによって究極の生物を作ることが可能だと考えた。

 奴の研究はことごとく失敗した。混合して増強された力に、器となる生物の体が耐えられんのじゃ……。

 そこで異世界人の肉体強度の高さに目をつけた。

 異世界人であるサカキに様々な種族の強力な力を手術と投薬、そして術式により植え付けることで。錬金術士は神に近い存在を生み出せると考えた。


 まずは肉体の再生能力。これは吸血鬼をおいて右に出るものはない。

 しかし問題があった、異世界人の肉体強度をもってしても、多種混合の内圧に耐え切れず内部から崩壊してしまうということ。

 その問題を解決するために、錬金術士はサカキの肉体から血液を全て抜き出し、流体魔導銀を注入した。無茶な手術に耐えられたのは異世界人故じゃろう。

 その後、吸血鬼の再生能力を与えられ、まず第一段階はクリアされた。

 じゃが、副作用があった。吸血鬼の性質と魔導銀の性質による――拒絶反応じゃ。

 サカキは常に耐え難いほどの激痛に苛まれた。あらゆる拷問でも再現できないほどの苦痛じゃ。

 それでも肉体は頑強で、自殺することもかなわん。そのまま錬金術士は様々な改造を奴に施し……そして、怪物が生まれた。


 ――混沌銀魔人アマルガムが。


 拒絶反応によりもたらされる永遠の苦痛はやがてサカキの心を完全に壊した。

 死ぬこともできぬまま、全てに絶望し、憎悪したアマルガムはまず錬金術士を殺し。

 そして――ワシの息子たちを。マリアンヌの両親を、殺した。


 理由は、ここまで言えばわかるな。皇帝は時計職人夫妻を守るためにサカキを切り捨てた。

 それがサカキにとっては、裏切りに思えたのじゃろう。

 マリアンヌもその場に遭遇した。眼の前で両親が殺されるのを見た。

 しかしショックでそのことを忘れておった。ワシはこれ幸いと、辛い記憶を呼び覚まさぬよう、マリアンヌに両親のことを告げず、外の世界に触れさせず、ただひたすらに修行に没頭させた。

 役割に撃ちこめば、辛いことから逃れることができる。

 ワシにはそのくらいのことしかしてやれなかった。

 マリアンヌを幸せにしてやることはできなかったのじゃ……ただ、悲しみを感じさせられなくしてやることしか。


 そしてアマルガムは姿を消し、長い月日が流れ。

 小僧、お前が現れた。

 お前はマリアンヌに笑顔を与えた。ワシが出来なかったことを平然と成し遂げた。

 ワシは……忌々しかった。お前が憎かった。

 ワシにできなかったことを簡単にやってしまうお前が。

 だが……今は頼るものはそれしかない。

 お前のマリアンヌへの想いを利用させてもらう。



      ♪     ♪     ♪



「準備ができたぞ、小僧」


「ありがとう、おじいさん」


「例は、マリアンヌを助けてからにしてもらおう」


「わかった……必ず助けだす」


「よし、ゆけ、小僧」


 おじいさんの術式が発動し、目の前に光の扉が現れる。

 ポータルにつながる扉だ。


「今回は巫女の導きの必要はない、すでにお前の世界との道は繋がっておる。恐れず飛び込むだけで十分じゃ」


「うん、行ってくる」


 僕はその一歩を踏み出す。

 視界が光につつまれる。

 これが最後だ。たぶん、こっちに戻ってくることはないだろう。

 どんなことが起こったとしても、無事で入られない。僕はきっと死ぬ。

 だけどアマルガムだけは……刺し違えてでも終わらせなければならない。

 サカキ……残されたディスク。そして僕と同じ「真眼」。

 全てが真実を示している。

 奴は――。


 いや、そんなことはどうでもいいんだ。

 僕はマリィを守る。世界が終わっても、マリィだけは。

 マリィは僕を見つけてくれた。逃げつづけた僕に居場所をくれた。

 僕は……僕は……。

 僕に許されるなら。それが僕自身についた嘘なんかじゃないとしたら。

 僕は……。

 マリィのことを――


 光の中で、僕の身体が分解されてゆく。

 そして僕は……意識を失った。

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