最終戦争一人
何度も何度もお前の死がフラッシュバックする
お前の悪夢の中で修道者達がつけた傷が
お前の十字架までの道が長く感じる
お前の体が光に抱きかかえられていくよ
最後にこの地に残す言葉をお前は囁いている
「氷漬けにされた時の中で お前の亡骸に向かって祈る俺の姿が」
…もうこの先は冷たすぎてお前の感触を確かめることさえできない
まるでホラー映画に出てくる寂れた街で
ヒーローとヒロインが血に飢えた魔獣に殺されかけている瞬間を映したようだ
これは世界に一冊しかないストーリー
哀れで悲惨で陰惨で壊滅的なもう二度と語られることのできない話
誰にも体験できない二人だけの最も絶望的で最も希望に溢れたストーリー
ページを捲るたびに投げかけられてくる洗脳の呪文
文字を読むごとに迫ってくる終末論的な全ての絶望
感情が蓄積されるほど積もっていく粉々にされた未来予知
たどり着きたくないあの場所で 眼を背けたくなる 未来人達の塔
一歩一歩 進むだけが地獄で
目の前を歩く彼女には無数の銃口が向けられている
俺は頭を抱えながら見ている
指の隙間から全てが終わる景色が
俺と彼女の繋がりを造る大地は静かに音を立てて崩れさった
俺は何も語らない 俺はこの薄気味悪い部屋で神経だけで生かされている
悪魔が囁く音を聞こえないかもしれない
どこにいる ここにいる 全てはここにある
俺という存在 明かりに照らされる俺の実像 鏡に映る俺の姿
全てが破壊された空間の中で なにもかも始めからあった世界の中で
0から全てが生み出されるように 俺という存在もここで薄気味悪い笑みを浮かべている