↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

ラブコール大作戦

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/10/05

主人公の少し過剰な胸騒ぎから始まる、キャンパスでの一幕です。

「勘違いならいいのに」と思いながら走った先で待っていたのは……。

少し切なくもドライな空気感を楽しんでいただけたら嬉しいです!

 朝もはよからメッセージを送った。返信はすぐ来た。

━━起こしてくれて有り難う!

 返ってくるメッセージ。

 お役に立てて良かった。早く会いたいね

━━今日は1時限から講義あるから、もう家を出なくちゃ。

 どこか余所余所(よそよそ)しい。うん。怪しい。

 わたしはすぐ訝(いぶか)しむ。慎重なのか、ただ単に疑い深いのか?独占欲が強すぎるのかもしれない。

 でも確かに、何か他人行儀に感じる。

 ヤバい!こういう感情が持続すると、いつか忍耐力が限界を超えたときに爆発する。 

 早く大学キャンパスに行かなきゃ。彼とわたしは同じ大学生だ。この日の彼の1限目の講義は何処の講堂で行われるかはわかっている。

 ストーカーみたい。

 彼の行動を全て把握しているわけではないが、これは立派なストーキング行為かもしれない。

 まあともかく。キャンパスに着くと、彼の講堂の入り口で息を整えた。ドアが開いて出てきた彼は、友人たちと笑い合いながらスマホを操作している。その画面を一瞬覗き込んだわたしの目に飛び込んできたのは、見たこともない女性との親しげなやり取りだった。心臓が嫌な音を立てて跳ねる。

 嫌な予感が的中したのか。残念ながら そのようだ。ここからは彼への復讐の仕方を考えよう。

 そんなことをしたって何にもならないことは分かっているが。そうでもしなきゃ気が済まない。

 彼がこんな初歩的なミスをするとは意外。

 こうなったら、今この瞬間、公衆の面前で彼の頬を思い切り叩いてみようか。

 いやそんな生易しくては叶わない。熱は急速に冷めていく。

 もう彼なんてどうでもよい。いずれ こうなる運命だったんだ。

 そう思うしかない。

彼がわたしに気づき、ヘラヘラとした笑顔で手を振ってきた。その薄っぺらい顔を見た瞬間、胸の奥で渦巻いていたどろどろとした嫉妬も、復讐への情熱も、驚くほど綺麗に消え去ってしまった。

「あ、おはよう! なんでここにいるの?」

 能天気な声が空気に溶ける。わたしは叩くはずだった右手で、バッグのストラップを強く握り直した。

「ううん、通りかかっただけ。……それじゃね」

「え? 待ってよ、昼一緒に食べ――」

 呼び止める声を背中に聞きながら、わたしは一度も振り返らずに歩き出した。

 連絡先をブロックし、彼とのトーク履歴を削除する作業はほんの数十秒で終わった。あんなに胸を締め付けていた執着が、嘘みたいに軽い。

 復讐なんて、自分の貴重な時間を1秒でも彼のために使うのがもったいない。

 秋の冷たい風が頬を撫でる。わたしは深く息を吸い込み、次の講義が行われる教室へ向かって、いつもより少しだけ軽い足取りで歩き始めた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

感情が一瞬でサーッと冷めて、何の未練もなく相手を切り捨てる主人公の潔さを書いてみました。

執着を手放した瞬間のすっきりとした軽やかさが、秋の冷たい風とともに伝わっていれば幸いです。

少しでも楽しんでいただけましたら、ブックマークや高評価などで応援していただけると大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。