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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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7:嫌な奴、変な奴

 

 ギルドに戻って来て直ぐにギルドのチュートリアルが始まった。基本的に他のゲームと同じようにギルドの使い方や依頼に関する説明と受注方法、最後に取引掲示板の説明で終わった。


「これでチュートリアルは終わりとなります。このチュートリアルの中に出て来たものの説明などはヘルプに記載されていますので、再度確認したいことがありましたらそちらを参照してください。

 それと、チュートリアルが終わりましたのでギルドカードをお渡ししますね。

 では、ギルドを出ることでこのチュートリアルは完了となります。何か聞きたいことや、質問はございますか?」


 ギルドを出ないとチュートリアルは完了扱いにならないのか。うーん、聞きたいことなぁ。


「ギルドを出る前に依頼を受けることは出来る?」


 チュートリアル専用の空間だからこのギルドには俺以外に数人しかいない状態だが、チュートリアルを完了してまたギルドに入るとなると、おそらくギルドの中には他のプレイヤーも居るはずだ。

 多くのプレイヤーが居る中で依頼を受ける手続きをするのは時間が掛かる可能性があるから、ここで依頼が受けられるなら楽だと思ったのだが、どうだろうか。


「Gランクの依頼なら可能です。手続きをしますか?」

「お願いします」

「現在、受注可能な依頼はこの3つになりますが、どうしますか?」


 受付嬢から提示された依頼はスライムとウサギの討伐依頼と薬草の採取依頼だ。あれ、これってもしかしてチュートリアル前でも受注可能だった依頼じゃないか? 討伐依頼のやつはどちらもチュートリアルの平原で出て来たし、薬草に関しては採取できそうな草が生えていたのを見たような気もする。


 いや、今更だな。今気付いたところでチュートリアル前に受けられたかどうかはわからんし、今受けられるなら受注してしまおう。


「3つとも受注でお願いします」

「わかりました。ミヨさんのギルドランクではこれ以上同時に依頼を受注できませんので注意してください。依頼の受注手続きが完了しました」

「ありがとうございます」


 そう言って受付嬢に頭を下げ、ギルドから出る。ギルドの出入り口を通り抜けると転送の時と同じように視界が一気に白くなり、周囲の光景が切り替わる。


『チュートリアルが完了しました。報酬として1000Fsとギルドポイントを獲得しました』


 これでチュートリアルは終わりと。よし! さあ、さっき受けた依頼をクリアするためにフィールドに出よ……


「お! そこの人。一緒にフィールドに……あー、テイマーかぁ、すまない。聞かなかったことにしてくれ」

「は?」

「雑魚は要らないんだ、それじゃ」


 いや、え? 何だよいきなり! 自分から声かけておいてその返しはあり得ないだろ!? それに最後の一言は完全に余計だよな!?


 テイマーが嫌われていることは知っていたが、まさかこんな扱いを受けるとは思っていなかったわ。そもそも誘われたところで一緒にプレイするつもり何て一切なかったんだが、当たりやに遭遇した気分ってこんな感じなのか?


 何かもう楽しもうとしていた気分が台無しだ。やることは変わらないが、フィールドのモンスター倒しまくってこの気持ちを発散してこよう。


「ふっほほ。マナーの悪い方に当たりましたのぉ」

「んあ?」


 なんか変なの出て来たんだが。なにこいつ? 全体的な印象としてはイケオジと言うかジェントル系だが、まあ、初期装備だから割と滑稽な感じでもあるな。


「おや、申し訳ない。警戒させてしまったかの」

「何か用か?」


 さっきの奴みたいな奴ではない保証はどこにもないから警戒を強める。言動だけなら友好的なのだが、それだけでは内心はわからないからな。


「警戒させてしまい、すまんの。少し話を伺いたいだけなのじゃが、いいかの?」

「……内容による」


 うーむ。こちらに敵意がある感じでは無いし、騙そうとしている感じでもなさそうだ。


「その種族について聞きたいのじゃが、そう言えば自己紹介がまだじゃったかな。儂はイケシルバーというのじゃが、まあ、頭上のネームを見ればわかる事じゃがの」


 プレイヤーネーム見た目まんまかよ! もう少しひねったネームに出来なかったのか! 聞いた瞬間笑いそうになったわ!


「それで聞きたい理由についてじゃがの、今はまだ条件を満たしていない故無理じゃが、儂は他のメンバーと一緒に情報系クランを作る予定での、そこで種族の情報も…どうした?」


 失礼ではあるが、プレイヤーネームを聞いて笑いを堪えている俺の顔をイケシルバーが覗き込んで来た。


  

「それで話を聞きたいのじゃが、いいじゃろうか?」

「っ、ま…まあ、少しだけなら」


 笑うのを我慢するために了承してしまったが、嫌になったら逃げればいいよな。たぶん、逃げても追いかけて来るようなタイプではなさそうだし。それに情報系クランを作るのであれば情報提供をすること自体はやぶさかではないからな。


「それは良かったですぞ。しかし、ここで話すのは邪魔になる故、端の方へ移動しますぞ」

「ん? ああ、そっか。そうだな」


 そういえば、まだギルドの前だったな。他にも同じようにギルド前に留まっているプレイヤーはいるけど、ギルドに入ろうとしているプレイヤーにとっては邪魔な存在になっているようだ。


 フルダイブ型のゲームだから、他のVRゲームとは違ってプレイヤー同士のアバターが重なったりはしない。まあ、フルダイブ型じゃなくても重ならないように設定されているゲームはあるけどな。


 ギルド前に居るプレイヤーの大半は俺を含めてチュートリアルを終えたやつばかりだろうから、チュートリアルを終えてギルドの外に転移される場所は変えた方が良いと思うけどな。おそらく他のプレイヤーもこれが気になったと言うか邪魔だと思った奴らが既に要望を送っているだろうが、俺も後で送っておくか。


「こちらですぞ」


 今いる位置からそう離れていない場所へ、イケシルバーによって誘導される。


「では、貴方の種族について聞きたいのじゃが、その前にフレンド登録お願いできますかな?」

「…何故、フレンド登録する必要が?」


 おっとぉ? もしかしてこれが目的だったのか? 真っ先にフレンド登録を求めるのは不自然過ぎじゃないか?


「あっと、説明を先にすべきでしたな。簡単に言うと、現在種族関係の話は荒れている故、他のプレイヤーに聞こえる状態で話すのは危険なのじゃよ」

「あー、確かにそうだな」


 俺もログインして直ぐに絡まれたからな。あの時より時間が経っているならもっと荒れていても可笑しくない。

 という事は、フレンド登録自体は互いのためでもあるが、どちらかと言うと俺のためか? 最初に絡んで来た男みたいな遠慮どころか相手のことを一切考えていないプレイヤーが寄って来るのを防ぐために、ってことだろうからな。


「どうじゃ?」

「理由に納得できたから構わない。フレンドの申請はどっちから送るんだ?」

「良かったですぞ。それと、儂が言い出したのだから申請はこちらから送るぞい。ああ、話が終わったらフレンド一覧から儂のネームを消しても構わぬからの。これはあくまでここで話をするためにした事じゃからな。まあ、消すならこの場で消してくれるとありがたいがの」

「何故だ?」

「…消しても構わないとは言ったけど、フレンド欄からいつの間にか名前が消えていることに気付いた時、とても悲しかったから」

「え?」


 何か今、似非じじい口調じゃなかったのだけど、素の口調か? こんな口調のじじいなんて普通居ないだろうから、ロールプレイかキャラ作りに一環なのだろうとは思ってはいたが。


「ふほほ、何でもないですぞ。ほれ、申請を送りましたぞい」


 まあいいか。既に目の前に申請に対して許可するかどうかのウィンドウが出ているので許可する、のボタンを押してフレンド登録を済ます。するとフレンドの欄の一番上にイケシルバーのネームが表示された。


 ……こう思うのは悪いと思うが、最初にフレンド登録した相手のネームがイケシルバーってちょっと嫌だな。まあ、他に登録するような奴は居ないし、今後どうするかはわからないが。


「了承ありがとうですぞい。では、会話の方はフレンドチャットの方で行うつもりじゃが、よろしいですかの?」

「ああ、大丈夫だ」

「では、フレンドチャットを開きますぞい」


 イケシルバーがそう言うと同時にフレンドチャット用のウィンドウが表示された。

 

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