64:第8エリアのダンジョンへ
第8エリアに着き近くの街でリスポーンポイントを書き換えた後、イケシルバーと連絡を取ろうとしたのだが……
「ごめんなさいね。あの子今ちょっと立て込んでいて、しばらくはログインできないと思うの」
「マジか」
リアルで用事があるのは仕方がない。俺みたいにリアルをほぼ捨ててプレイしている廃人なんてごく少数だろうしな。
居ないのはどうすることもできないので、イケシルバーの代わりに対応してくれたエティテプにダンジョンマスターの情報について聞いてみたが、残念ながらこれといって新しい情報は上がってきていないようだった。
「こっちも欲しい情報ではあるんだけど、まだダンジョンマスターの職に就いたプレイヤーって少ないのよ。うちでもまだ2人だけだし、ミヨちゃんみたいに廃課金で、それでいてダンジョン開拓している子なんて他の知り合いどころか噂でも聞かいないし」
「これはあれか、先駆者の弊害か」
「そうねぇ」
誰よりも先に新しいものを見つけられる楽しさはあるが、こういう時に情報を得られないのは少し厄介だな。別に人より先に立って優越感に浸るような趣味もないし、誰でもいいから俺より先にダンジョンマスターを極めてほしいんだが。
もしかしたら俺よりも先に居るダンジョンマスターがいるかもしれないが、いたとしても小数だろうし今ウロボロスに情報がないとなれば、今後も情報を進んで出してくる相手ではないだろうな。
一応、時間がかかるが調べることはできると言われたが、そこまでして知りたいかと言われればそうでもないので断った。
「さて何をするかね」
「です?」
エティテプと別れ、第8エリアの町の中を独り言ちながら歩く。
シュラが俺の隣に、他のテイムモンスターたちは体の大きな朱鞠の体の上に乗って移動しているため少し目立つが、他のプレイヤーにじろじろ見られるのもそこそこ慣れたな。
今いる町というか第8エリアにある町は周囲が荒廃した土地だからか、町の中もあまり発展していない場所が多く、今いる街も店の数はあまり見当たらない。
ゲームだから最低限、武器屋や進行上必要な店はあるのでプレイヤーはそこそこ見るが、住民がちらほらしか見当たらずあまり活気が良いようには見えない。道もあまり舗装されていないからちょっと歩きにくいし。
「ウロボロス内でも情報がないとなれば、ダンマスのことはアンゴーラに聞くしかないとして」
このままだらだらと町の中を歩き回っても進展はなさそうなので、すでに情報を手に入れている第8エリアにあるダンジョンにでも行ってみるとするかな。
ウロボロスから聞いた話だと第8エリアには結構な数のダンジョンがあるらしい。
そのうちの2つが、素材集めとしてもレベル上げの場所としても有効で、結構な数のプレイヤーが利用しているとのこと。
俺のレベルを上げるのにも有効だし、シュラたちのレベルを上げるためにいい素材を手に入れる必要もあるしで、一石二鳥なダンジョンだな。
まあ、素材に関しては金策で売られているので、そこまで手に入れなくても問題はないのだが、自力で手に入れられるならそれに越したことはない。
「ここから近いダンジョンって確かアガルタダンジョンだっけ」
「ダンジョン、いくです!?」
「シュ?」
そう呟きながら、マップのマッピング機能を使って記録していた場所を確認しているとシュラがうきうきした表情で俺の顔を見上げてきた。
「そうだな」
「やったです!」
なんか最近シュラが戦闘狂じみてきたんだよなぁ。他の子たちはそういう感じではないんだけどな。朱鞠に関しては表情がわからないからおそらくでしかないが。
しかし、元スライムなのにシュラはどうしてここまで戦うのが好きになったんだか。
とりあえず、前のエリアで素材集めをやったダンジョンではあまり戦わせることが出来なかったから、今回のダンジョンで存分に戦わせてあげるとするか。
アガルタダンジョンはつつがなくクリアした。
火属性がメインのダンジョンであったため、水属性が強いシュラが無双してあっさり最下層である15層目に到着。
ダンジョンボスのフレアドッグが群体型で実質モンハウだったのは驚いたが、終始属性的に有利だったシュラ無双によって苦戦することなく勝つことが出来た。
一応、属性的に不利なぷらてあと朱鞠は事故が怖かったから、ギルドに預けていたんだがあの感じなら連れて行っても問題なかったかもしてない。
アガルタダンジョンで手に入れることにのできた素材は火属性であったり、鉱石系の物が多かった。
いい素材が手に入ると聞いてきいたわけだが、シュラたちに有用そうな素材はあまりない感じだ。確かにいい素材だとは思うんだが、そもそもプレイヤー的にいい素材と言えば武器などの装備に使える物であって、テイムモンスターの成長用素材としていいかどうかは別なんだよな。
火属性のテイムモンスターが居れば使えるから話は別なんだろうが。
とりあえず今回手に入れた素材は倉庫へ入れておいて使い道が出来たら使うことにしよう。
それと前から結構手に入っている食材系素材。今回も結構な数が手に入ったのだがこれらはシュラたちの成長素材として使えないので、毎回手に入ったら売っているんだが、今回は売らずに食べることにする。
どうして今回だけそうするのかって言うと、アガルタダンジョンの中に入る前に入り口近くでバーベキューをやっていたプレイヤーたちが居たんだよ。
ダンジョンの前でバーベキューなんてするなよ。って言いたいところだが、料理バフ目当てでやっていたんだろうな。
別に邪魔になっていなかったしスルーしてダンジョンの中に入ろうとしたんだが、シュラがバーベキューしている奴らに気付いてそれを羨ましそうに見ていたんだよ。
それでその後シュラが俺の方をじっと見てそいつらのことを指さすわけ。正確に言えばバーベキューコンロの方を指していたっぽいけど。
気になるから食べてみたいって。口には出さなかったけどさ、目がすげぇそう訴えてきた。
正直、料理バフにしても空腹度を回復するにしても、売られている物を食べればいいと思っているんだが。値段もそこまで高くないし、手間もほとんどないから楽なんだよな。まあ、その分バフはそこまで強くないのが欠点だけど。
とはいえ、最近はシュラたちにあげている食べ物もほとんど同じ物をローテーションしている状態だし、もう少しバリエーションを増やした方がいいとは薄々思っていたからな。
しかし、シュラは他のテイムモンスターと違って自己主張多めなのどうしてなんだろうか。最初にテイムしたモンスターではあるが、他に変わったことはないし、何が違うんだか。
何か特別なことしたっけ?
シュラについての疑問はそのうちウロボロスに話すことにして、ダンジョンを出てから戦利品の整理をそこそこに町へ戻る。
そしてギルドに預けていたぷらてあたちを引き取った後、取引掲示板でバーベキューコンロなどの必要なアイテムと、人型になっているとはいえ植物モンスのぷらてあが肉を食えるのかがわからなかったので、肉以外の食材をいくらか買い込んだ。
さて、どこでバーベキューをするか悩むところだが、人目に付かない方がゆっくりバーベキューすることが出来るだろう。別にシュラたちは気にしないだろうが、俺が嫌なので完全に人目がない俺のダンジョンの中ですることにした。
そんなわけで予定よりも早いがミヨガダンジョンの方へ戻ることにした。




