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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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59:鉱石ダンジョン



 ダンジョンの中に入るとすぐにどこかで見た鉱山の採掘場所のような空間が広がっていた。入口付近はしっかりと舗装されているが、奥を見る限り舗装されいるエリアはほんの少しだけのようだ。

 事前情報通りの光景ではあるが、ダンジョンらしいダンジョンだろう。


「さてと」


 本来ならダンジョンの中に入る前にいろいろ確認する予定だったのだが、そうするよりも先に中に入ってしまったので、今から最終確認だ。


 インベントリの中は問題なし。装備も付け忘れはないな、うむ。問題なし。


「シュラたちもちゃんといるな」

「です」

「ん」

「シュ」

「にゃう」

「ちゃう」


 うむ。全員ちゃんといる。まあ、飼い主?である俺がエリアチェンジすればシュラたちテイムモンスターも同じようにエリアチェンジするように出来ているから、ついて来ていないってことはあり得ないんだが。

 例外は移動する前にテイムモンスが死んだ時くらいだな。これだって余程の状況でないと起きないわけだが。さっきも絡まれかけていたとはいえ、追い討ちされるような状況ではなかったから起きるわけもない。


 確認も済んだのでダンジョンの中を進んでいく。

 ちらほら採掘ポイントらしき鉱床が見つかるが残念ながら俺はそのスキルを持っていないし道具もない。一応、取得できるスキルに余裕はあるがここで採掘をするためだけに新しくスキルを取るつもりはない。

 強引に採掘し続ければ何かしら手に入るような気もしてくるが、そうやって掘ったところで取れないことはウロボロスのメンバーが検証し、取れなかったことを確認しているので試してみる意味もない。

 まあ、そもそも採掘道具を持ってきていないから、できるできないの問題ではないのだが。


 しばらく小型の雑魚モンスターを倒しながら先に進む。目的のモンスターはまだ出てきてはいないが、ドロップアイテムは結構な頻度で拾えているので、実に未入りの良いダンジョンである。

 まあ、ドロップアイテムが多い理由は俺のLUKが異常に高いせいの気もするが、もとよりドロップアイテムが多いダンジョンなので、通常より多かったとしても他のプレイヤーとそれほど差は無いはずだ。


 俺の前を歩きながら出てくる雑魚モンスターをことごとく屠っているシュラと朱鞠の後をついて進んでいると、ぷらてあが俺の装備している服の端を引っ張った。


「……あれ」


 そう言ってぷらてあは少し先にある大きな岩を指差した。

 一見するとその岩はちょっと特殊な採掘ポイントのように見えるが、よく見れば若干動いているのが見てとれた。


「あれが、鉱石を落とすゴーレムか?」


 ちゃんとした鉱石をドロップするのは、ゴーレムのようなモブモンスターよりも強い存在という話を聞いているので、あれがゴーレムであればおそらくそうなのだろう。


 そうこうしているうちにシュラたちがその岩に擬態したゴーレムに近づいたことで、戦闘状態になったのかゴーレムがのそりと立ちあがった。


「シュラたち……は、あぁ、もう気づいているのか。それじゃあ、キャラメルとやちゃるも程々に闘いに参加するように。特にやちゃるは耐久紙だから攻撃が当たらないところから攻撃するようにな」

「ちゃぅ」

「にゃーう」


 動き出したゴーレムと戦い始めたシュラたちを見てそう声をかけると、俺の少し後ろからついてきていたキャラメルがそう鳴き声を上げてシュラたちのところまで駆けていく。嬉々として戦いに行くその様子に少々不安になるが、キャラメルは回避型のテイムモンスであるから、鈍重な攻撃が多いゴーレムなら問題はないだろう。


 そしてやちゃるは特に動くことなく、俺の肩に乗ったままそこから攻撃を飛ばしている。

 俺の顔の真横から魔法攻撃が飛んでいくというのは少し怖い。できれば横着せずもうちょっと敵に近づいて攻撃して欲しいものだが、ここであれば安全なのは確かなので文句は言いづらい。


 今回ダンジョンに来た目的は素材集めという面もあるが、キャラメルとやちゃるのレベル上げ、経験値稼ぎをするという目的もある。まあ、【育成】スキルで素材を使えばレベルは上がるが、それだとモンスターとの戦いが下手になるってことがあるらしい。


 シュラやぷらてあ、朱鞠は【育成】スキルによるレベル上げがほとんどとは言え、今までしっかり戦闘はしてきているのでその心配はないだろう。ただ、最近テイムしたキャラメルとやちゃるはレベルは上げてあるが戦闘経験はほとんどない。特にやちゃるに関してはボス戦以外の戦闘経験はほぼないと言っていい。


 ここに来るまでの道中、モンスターと遭遇はしているがほとんどシュラと朱鞠が単独で倒してしまっているので、レベルが上がったもののおそらく戦闘としての経験にはなっていないだろう。


 上層であればゴーレムでもそこまで強くはないと聞いているので、ボスがいるであろう下層に行くまでに多く戦闘して、ドロップアイテムと経験値を多く獲得できるよう頑張るとしよう。



  

 サクサクとダンジョンの中を進んでいく。


 どこかのタイミングで足が止まると思っていたのだが、シュラのと朱鞠の攻撃で悉くモンスターが撃破され、俺が攻撃する出番がほとんどない。そのため、殆ど足を止めることなくダンジョンの中を進んでいる。


 階層が変わる手前にいるゲートキーパー戦では、鉱石系ダンジョンのゲートキーパーらしく高い防御性能を持った相手だけあり、朱鞠の攻撃の通りが良くなく俺も戦いに参加することもあった。

 しかし、それ以外の相手では本当に俺が必要ないくらいにシュラと朱鞠の無双がひどい。


 シュラも元はレアスライムとはいえ、雑魚モンスターだったはずなのにどうしてここまで強くなったのか。

 霊泉が言うには、シュラの進化はかなり特殊らしく、他にスライムガールどころか、ヒューマスライムまで進化させることができたテイマーはいないらしいが、特殊な進化をしたからと言って、元の強さから逸脱しすぎではないだろうか。


 特別なことをした記憶はないんだが、何が進化の条件だったのだろう。霊泉からいろいろ聞かれて話はしたが、その内容を検証しても同じように進化しなかったらしいからなぁ。

 マジでわからん。



 ダンジョンの攻略も順調に進み、最下層までやってきた。

 第5エリアにあるダンジョンの最下層は総じて7層目だそうだが、エリアの強さの割にダンジョンの階層が少ないのが気になる。


 仕様が違うのだろうが、プレイヤーメイドのダンジョンが第2エリアでも少なくとも20層目まで作れるのだから、10層くらいあってもいいような気はする。


 まさか、FSOのダンジョンって階層浅めなのか? ダンジョンメインのゲームではないのだから、そんな物だ、と言われればそうかもしれない。しかし、いちコンテンツとして考えるとしょぼいと思う。


 ま、先に進めば階層は増えるのだろうが、どこまで増えるのか。いや、そもそもFSOのエリア数がどの程度なのか、そこはまだプレイヤーの知るところではないわけで。だから、もっと先のエリアであれば階層が100になるようなダンジョンがあるかもしれない。

 やり込み要素は多に越したことはないので、そうであって欲しい。


「あれ」


 隣を歩いていたぷらてあが少し先を指しながら俺に声をかけてくる。先を歩いているシュラたちはぷらてあが指したところで立ち止まっていた。


「ん? ああ、ボス部屋のところまで来たのか」

 

 シュラたちが先駆けで出てくるモンスターを悉く倒しているから、いつの間にかボスがいる場所の手前まで来ていたようだ。


「です?」

「シュ?」


 俺がシュラたちがいた場所から少し手前で止まったことで何かあると思ったのか、シュラと朱鞠が俺の元に移動してきていた。


「ああ、ごめん。別に何かあって止まったわけじゃない。ボスの前だから少し確認しようと思っていただけだ。シュラたちは先にいても……いや、そういえば」


 シュラ、ではなく朱鞠を見たことであることを思い出した。


 俺は少し前に職業をミドルテイマーに変更したわけだが、その際にいくつか新しい技を覚えた。その中に、テイマーとテイムモンスター、またはテイムしているモンスター2体で協力技を使えるようにする、というものがあったのだ。


 ただこの技、どのモンスターでも使えるというわけではないようで、俺とシュラ、もしくはやちゃる、テイムモンス同士ならぷらてあと朱鞠でしか使うことができない。

 キャラメルだけがハブになっている感じがするがこればかりはどうしようもないので、今後仲間になるモンスターに期待しておこう。

 

 この技を取得してから一切使うタイミングがなくて忘れかけていたが、この際だからここで使ってみるのも有りかもしれない。フィールド上に居る雑魚モンスだと過剰だろうし、他のプレイヤーも居る。こういうのはなるべく誰にも見られていないところで試したいところだ。


 それに、ここのボスは物理火力が高めの超耐久型で、これまでに出て来たゴーレム以上に鈍足なのは事前に調べているので知っている。

 この相手なら変なミスをしても事故を起こすようなことはそうそう起きないだろうし、サンドバッグとして扱っても問題はないだろう。当然、油断しすぎれば重大なミスにつながるので、十分に気を付けてするのは当たり前だが。


 さて、となればどの技を使うべきか。

 現状使える協力技の内、ぷらてあと朱鞠の協力技を除けば技の説明からして、通常よりも強い攻撃技といった感じだ。

 耐久値の高いダンジョンボスに使うには丁度いいかもしれないが、戦闘が早く終わってしまうのはここに来た目的である、キャラメルとやちゃるに戦闘経験を積ませることができなくなってしまう。道中の雑魚モンスターを瞬殺しているから今更かもしれないが。


 ぷらてあと朱鞠の協力技は敵を拘束する技だ。ぷらてあも朱鞠も個別で相手を拘束するような攻撃を持ってはいるが、ボスクラスになればそんな攻撃はほとんど効かないのが普通だ。しかし、協力技であればそれ以上に相手の動きを封じることが出来るだろう。

 これなら相手の動きを封じて、その間に相手を攻撃する、という形でキャラメルとやちゃるを戦闘に関わらせることができる。


 まあ、やちゃるだけ戦闘に関わらせるなら協力技を使えばいいだけなのだが、そうなるとキャラメルが関われなくなるからな。

 満遍なく関わらせる、となると拘束攻撃の方が向いているだろう。


 そうと決まれば、さっそくこの先に進んでボスとの戦闘を開始しよう。

 

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