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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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54:おおぅ…

 

「ミヨさん。噂はかねがね聞いています。可愛いテイムモンスターを連れているとか。本人もかわいいとかいろいろと、いろいろとね」


 おかしいな。さっきまで俺に一切興味なさそうな態度だったのにここに来てこの反応とか。このプレイヤーの内面がよくわからん。


「ああ、私のプレイヤーネームはメイドです。今後ともよろしくお願いします」

「え、あ、はい」


 圧が凄いんだけど。いや待て。プレイヤーネームがメイドなのか? 職業でメイドがあるかどうかはわからんが普通それをネームにはしないだろ。


「メイド……? えっと、さんを付けた方が良いか? というかそれがプレイヤーネームなのか? あまり使うようなものでは無いと思うが」

「間違いではなりませんし、名前は呼び捨てで結構です。いえ、呼び捨てにしてください」


 相手のプレイヤーネームを否定したい訳ではないが、今までその名詞をネームとして使っている奴は見たこと無い。単純に俺が見たこと無かっただけかもしれないが。

 それと、呼び捨てしてもらうことを懇願されるとか初めての経験なんだが。何と言うか凄く嫌な予感がする。そう思ってイケシルバーの方を確認すると、イケシルバーは露骨に視線を逸らした。


 おいイケシルバー。お前都合が悪くなると視線を逸らすのやめろ。お前が連れて来たんだろうが。


「私は貴方に会いたかった。この前公開された第2回目のイベントPVを見てからずっと」

「は?」


 メイドが言っている第2回目のイベントPVは半日くらい前に運営が公開した物だろうが、貴方今までそんな態度一切出していなかっただろ。会ってからここまでの1時間分思い返してもずっとそっけない態度だったはずだが、感情を隠すのが得意なタイプなのか。それとも単にいい感じに言っているだけなのか。


「それで貴方の装備なのですが」


 俺が碌な返事をしていないのに、何故か話が進む。マイペースか?


 ああいや、おそらくこいつは自分の言いたいことを全部言ってからじゃないと他人の話をほとんど聞けないタイプだ。それも本人が自覚している感じの。だから今まで話に入って来なかったのかもしれない。


「好きでその防具を装備しているのですか?」

「いや、他に良いやつが無いからこれを装備しているだけだな」


 最近、課金ガチャの出が悪いんだよな。いや、良いのは出ているんだがテイマーだと装備出来ないのが多いんだよ。そういう物の大半はダンジョンの褒賞として使っているけど、本命のテイマー装備がマジで出て来ない。

 てか、もしかしたらガチャから出る装備でテイマーが使える装備の数が少ないのかもしれない。武器なら魔法職と併用できるんだが、防具は装備制限が掛かっている物が多いんだよ。


「それは良かったです」

「良かった?」

「変にこだわりがあると話が進め辛くなるので」

「ん?」

「私、これでも一応裁縫師なんです」


 ああうん。それは貴方の装備を見れば何となくわかります。と言うか、一応とか付けているけど絶対にそれは嘘だろ。


「今私が装備している服も自分で作った物で、この方の着ている装備も私が作った物です」


 メイドが着ている装備はわかるが、イケシルバーの装備もこいつが作った物だったのか。

 確認のためにイケシルバーの方を見ると、今度は視線をそらさずに深く頷いていた。執事服とスーツの中間のようなデザインだからプレイヤーメイドの物だとは思っていたが、メイドが作った物だったのか。

 ……今更だが、どうしてメイドはそのネームなのにゴスロリの服を着ているんだ? ネームからしてメイド服を着ていそうな感じなんだが。


「という訳で、とりあえずお近づきの印としてこれを差し上げます」


 何がという訳でなのかわからないが、メイドはそう言うとインベントリから何やら黒い物を取り出し、俺に渡してきた。割と強引に渡されたそれは、つばの広い三角帽子……俗に言う魔女帽子だった。

 

 何故魔女帽子? 


 やや強引に差し出されたので受け取ったが、どうしてこれを俺に渡すのかが良くわからない。まあ、お近づきの印として差し上げると言っているのだから、言葉通りにくれるという事だろう。とりあえず性能を見てみるか。


 見た目重視の装備って、FSOではあまり性能が良いって感じではないんだよな。だからあまり期待は出来……めっちゃ性能良くね? え? 今装備しているのがトップ層の装備より1段、物によっては2段くらい落ちる感じなんだが、それよりも全然上だ。下手するとトップ層の装備よりも上なんじゃないか?


 ただなぁ、FSOでは女アバターにしているけど別に女装好きではないし、コスプレ好きでもない。これは身バレ防止のためにTSしているだけで、そもそも美少女プレイが好きって訳ではないんだよな。まあ美少女が嫌いって訳でもないが、自分がそうなりたいという願望はない。


「あの、出来れば、装備していただきたいのですが」


 渡された装備を見て俺の反応があまり良くないのに気付いたのかメイドがそう声を掛けて来た。


「あー、何て言うか。俺、あまりコスプレとか好きな訳ではないんだよ」

「え? 嘘ですよね?」

「嘘ではないんだが」

「嘘です。そんな綺麗可愛いアバターを作っておいて、コスプレ嫌いなんてありえません」


 そもそも、好き嫌い以前に生まれてこの方コスプレなんてものはやったことはない。まあ、たしかにこういったアバターでプレイするのはコスプレみたいな物なのかもしれないけど、少なくとも現実でそういったことをしたことはない。学校の出し物も含めてだ。

 それにコスプレが好きだったら、自由にPM装備が作れるFSO内で課金装備だけでプレイはしていないだろう。


「別にロールプレイをしている訳でもないし、あくまでこれはノリと偶然の産物」

「いやいやいやいやいやいやいやいや。そんなものでそのアバターが出来る訳ないじゃないですか!」


 本当なんだがなぁ。つーか、この見た目になった最大の要因って種族がドラゴンレイスになったからなんだよな。だから、もう一度0から同じようにアバターを作れって言われたところで不可能だし。


 はぁ。だぶんこいつ、何を言っても意見を変えるような人じゃないよな。これ以上言っても平行線な気がする。さっさと話しを打ち切ってここから出よう。


「えーと、メイド…さん?」

「メイド、と呼び捨てでお願いします」

「何故?」


 そういえばさっきも呼び捨てにしろとか言っていたが呼び捨てを強要する理由がわからん。態度からして別に親しくなったから呼び捨てという感じでもない。そもそも初対面なうえに親しい訳でもないが。


「呼び捨てしてもらうためにこのネームにしたんです!」

「はい?」


 ちょっと理解できないんだが? どうして、呼び捨てにしてもらう=メイド、になるんだよ。


「メイドメイドって呼ばれると、私自身が他の方よりも格下扱いされているみたいで、とても……あぁ、いい!」


 うわぁ。ドMかよ。しかも一人で完結するタイプじゃなくて周囲も巻き込むタイプか。

 ゴスロリとは言え、見た目が可憐な少女のアバター。それが何を思い出しているのかはわからないが、いきなり恍惚な表情をし出せばいくら可愛かろうとさすがに引く。


 ……正直関わりたくないタイプなんだが。この手のタイプってとにかくマイペースなやつが多くて人の話を聞かないことが多々あるからあまり得意じゃない。まあ、全く話を聞かないタイプであればイケシルバーがこの場に連れて来るとは思えないから、ある程度は話が通じるのだろうが。


「メイドよ。ミヨ殿がとても困っているではないか。初対面なんじゃから、もう少し自重したらどうじゃ」

「え? あ! 申し訳ございません」


 初対面じゃなければ自重しなくてもいいのかイケシルバー。って、注意されて頬を薄ら赤くするとかマジかよ。

 言葉自体は上っ面だけじゃなさそうだが、あの様子を見ると何ていうかなぁ。反省している感じはあまり感じないし、おそらく今後関わることがあっても改善はされなさそうだな。

 

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