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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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53:情報共有


 

 第5エリアの主要都市に到着した。


 この街でイケシルバーに会う約束をしているが、その前にギルドに寄り、その後この間のアップデートで実装された転移装置へ登録をしに行く予定だ。


 転移装置はリスポーン地点と同じ場所だ。そういうわけなので街のほぼ中心に位置している噴水広場へ移動する。


 この街に到達しているプレイヤーの数はそこそこ居るらしい。

 まあ、余程ログイン率が低かったり、攻略に重きを置いていなかったりするプレイヤーも居るだろうから総プレイヤー数の半数は超えていないようだが。


 噴水広場に着いてリスポーン地点の更新と転移の登録を済ませた。


 さて、これからイケシルバーに会うわけだがその場所がよくわからないんだよな。指定された場所はあるんだが、店舗名だけ示されても初めて来た街でそれを探すのはなかなかに苦労する。

 前の時はマップも送られてきていたんだが今回はなかったんだよ。その後に聞かなかった俺も駄目だが、とりあえず街に着いたと連絡はしておこう。



 街の中をぶらぶらと歩く。この街の名前は……確認するのを忘れていたな。まあ、知らなかったところで不都合はないからいいか。


 それなりに街の中を見回してみた感じ、今までの街よりも発展しているように感じられた。今までの街は路地や裏道に入ると道が土そのままだったり砂利が多かったりしたのだが、この街は裏道までしっかりと石畳の道が続いていた。


「金がある街なのか。単にエリアが進んだから発展しただけなのか」

「……です」


 隣にいたシュラが石畳を踏みしめながら不満そうな声を上げる。どうやら石畳よりも土そのままの道の方が好きなようだ。


 荒野出身のキャラメルは気にしていないようだが、森でテイムしたぷらてあたちもシュラと同じ反応をしているところからして、もともと森や平原のフィールドで生きていたテイムモンスターは石の上というのが好きではないのかもしれない。まあ、岩場に生息しているようなモンスターなら嫌な反応はしないだろうが。


「この辺りのはずじゃが……」

「ん?」


 知覚からイケシルバーらしき声が聞こえて来た。しかし、周囲を見渡すもイケシルバーの姿は確認できない。


「こちらではないですか?」

「うん?」


 今度は知らない声が聞こえて来た。今回も同行しているプレイヤーが居るのか?

 前回は霊泉で、その前はエティテプ。今回はどんな奴なのか。


「こちらですね」

「そのようじゃの」


 声がさらに近付いてきた。どうやら何かを確認しながら俺の方へ向かって来ているようだ。


「ぬ、おお。ようやく見つけたぞい」

「よかった。でもどうして路地裏に……」


 裏道から本通りに続く曲がり角からイケシルバーが姿を現した。その様子と反応からしてやはり俺を探していたようだ。

 路地裏、というか裏道に入ったのは単に探索をしていたからだな。しかし、よく考えてみれば会う約束をしているのに探索するとか、阿保じゃないか俺? 少しは指定された場所を探すとかすればいいじゃないかよ。


「すまん。初めて来た街だったから探索をしたくなってな。わるいな」

「まあ良い。儂も連絡をした際にマップをつけ忘れておったしのぅ」


 お互い様、と言いたいところだが、状況的に俺の方が悪くないか? 意図していなかったとはいえ、約束をほっぽり出そうとしていたわけだしな。


「とりあえず予定の場所に移動しません? ここで話していると何か後ろ暗い事を企んでいるように見えますから」


 イケシルバーの後ろに控えていた女性アバターのプレイヤーがそう言う。

 低身長のゴスロリ衣装か。完全に狙っている装備だな。しかし、既存の装備にはこういったものはないから、完全にプレイヤーメイドの装備になるはずだが、どれだけFs掛かっているんだろうな。


「そうじゃの。移動しようぞ。良いかのミヨ殿」


 ゴスロリさん(仮)はあまりこういう場所に居たくないのだろう。俺が返事をするよりも先に本通りの方へ行ってしまった。


「ああ、問題ない」


 俺はすぐに返事をしてイケシルバーと共に、先に行ってしまったゴスロリさん (仮)の後を追った。

 

 

「先にイベントの報酬で得た卵から孵ったモンスターを見せてもらいたいのじゃが」


 予定していた店に入るとイケシルバーは一緒に来ているゴスロリさん (仮)の自己紹介を後回しにしてそう切り出してきた。ゴスロリさん (仮)も同意しているのか単に俺に興味がないだけなのか、特に何を言うわけでもなく話を聞いている。


「ああ。卵から孵った奴はさっきから見えていたと思うがこいつだ。やちゃる」

「ちゃー……」


 俺が呼びかけたことでやちゃるは俺の腕の中から顔を出した。そして警戒しているのかイケシルバーたちの顔を恐る恐る窺っている。


「まさか、とは思っておったがやはり人型モンスターか。種族は何じゃ?」

「種族は精霊だな。卵から孵った後に1回進化させている。元は妖精だった」


 やちゃるの種族を説明しながらイケシルバーにやちゃるが孵った時のステータスと、精霊に進化した時のステータスを写したSSを送る。


「ふぅむ。生まれたばかりとは言え、偏りはあるがステータスはやや高めと言ったところかの」

「高い、というか卵から孵った段階で1度進化しているんだと思うぞ。シュラたちが1回進化した後、2段階目のステの合計に近いし」

「そうかもしれんの。ただ、妖精は未発見故、何とも言えないがの」


 やっぱり未発見なのか。霊泉に素材の事を聞いた時に上がらなかったからそうかもしれないと思っていたが。


「卵から孵った他のモンスターはどうだったんだ?」

「まちまちじゃ。進化済みの個体もいればそうでない個体もいる。何か条件があるのかもしれんと話し合っているところじゃ。それについてはある程度の見当はついているがの」

「ふーん。なるほどな。って、おいやちゃる。背中の方に行っても隠れられないから、元の位置に戻れ」


 やちゃるは警戒心が強いというかビビり何だよな。何かにつけて隠れようとするし、他のプレイヤーに見られるのも嫌っぽい。


「っ!?」


 背中に回ろうとしていたやちゃるを腕の中に戻した瞬間、イケシルバーの隣で静かにしていたゴスロリさん(仮)が反応を示した。


「何か?」

「いえ、なにも」

「そうか?」


 どうやら今の反応はなかったことにしたらしい。本人がそういうなら追及はしないがなんか嫌な予感はしている。さっきと違って視線に熱がある気がするからな。


「それで、ミヨ殿。今回の卵から孵ったモンスターで何か気付いたことはあるかの」

「どういう意味だ?」

「今回、卵から孵るモンスターはランダムのはずじゃった。しかし、それにしては各プレイヤーに合わせたモンスターが生まれていることが多い。故にウロボロスでは各プレイヤーに合わせたランダムテーブルがあったのではないかと考えているんじゃよ」


 プレイヤーに合わせたねぇ。たしかに3000ポイントも掛けて取った卵から自分に合わないモンスターが生まれて来たら嫌だよな。運営がその辺を気にして何かしていてもおかしくはないかもしれない。


「どうだろうなぁ。あ、いや、でも属性被りはしてないな。俺もなるべく被らないようにテイムしていたし、その意図を汲まれた可能性はあるか」


 まあ、まだ5体目だからそうそうに被ることは無いと思うがな。


「なるほどの。確かミヨ殿のテイムモンスターは水・植物・毒・風じゃったな。ついでにミヨ殿が光と。それで、今回が闇じゃな」

「そうだな」


 俺自身の属性も考慮されるのかわからないが可能性はありそうだ。


「霊泉のモンスターも今のところ霊属性のみじゃしの、各プレイヤーのテイムモンスターをテイムする基準を参考にしている可能性が一番高そうじゃ」

「進化しているかどうかはどうなんだ?」

「それは単純にテイムスキルのレベルによって変わってそうじゃな。参考にしているプレイヤーが少ないから確実とは言えぬが」

「あ、あー」


 有りそうだな。確かにそこがランダムだとテイムスキルが低くい状態で進化したモンスターを手に入れられるのはな。大したことではないがちょっとモヤるな。


「話は終わったの?」


 イケシルバーとの話に区切りがついたところで、ゴスロリさん(仮)が声を掛けて来た。他に話すことが無いかイケシルバーに視線を送ってみたが、これ以上聞きたいことはないらしい。


「報酬については先に話しておるしの。終わりと言えば終わりじゃのぅ」


 そう言ってイケシルバーはこちらに視線を向けるが、俺も聞きたい話は今のところないので問題はない。


「なら次は私の話、で、良いわよね?」

「あ、はい」


 ゴスロリさん(仮)はそう言いながら俺の方へ身を乗り出してきた。

 なんかちょっと凄まれたんだけど……


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